狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

読書

『あなたの観ている多くの試合に台本が存在する』

あなたの見ている多くの試合に台本が存在する 作者:デクラン・ヒル カンゼン Amazon 『黒いワールドカップ』の著書もある、ジャーナリスト・研究者デクラン・ヒルの『あなたの見ている多くの試合に台本が存在する』(山田敏博訳、KANAZEN)を読了しました。…

『脱学校の社会』

脱学校の社会 (現代社会科学叢書) 作者:イヴァン・イリッチ 東京創元社 Amazon イヴァン・イリイチ『脱学校の社会』(東京創元社)を読みました。原著は1970年刊行。(東京創元社の表記では、イリッチですが、イリイチに統一します。原題は、Deschooling Soc…

カイキ月ショク

私は月マニアでして、怪しげなものをふくめ月に関する本をたくさん読んできました。ここで月の蘊蓄を語るのはよしましょう。ご興味のある方は、以前も紹介した松岡正剛『ルナティックス』をお読みください。ブックガイドとしても使える一冊です。 今夜は皆既…

イリイチとNHK「消滅集落の家族」

コンヴィヴィアリティのための道具 (ちくま学芸文庫) 作者:イヴァン イリイチ 筑摩書房 Amazon 狩猟採集社会から派生した私の興味のひとつは、資本主義の外側を探ることです。 深夜、読みかけのイヴァン・イリイチ『コンヴィヴィアリティのための道具』を片…

『ボビー・フィッシャーを探して』映画と原作

映画『ボビー・フィッシャーを探して Searching for Bobby Fischer』(1993米、監督スティーヴン・ザイリアン、マックス・ポメランク、ジョー・マンテーニャ、ジョアン・アレン、ベン・キングズレー、ローレンス・フィッシュバーン)は、日本で公開された199…

家族と分配

人類史のなかの定住革命 (講談社学術文庫) 作者:西田 正規 講談社 Amazon 引きつづき、西田正規『人類史のなかの定住革命』について。良い本ですが、定住に関する前半の記述についてはいろんなところで読んだので、途中まで確認という意味合いが強かったんで…

知里幸恵『アイヌ神謡集』

NHK 100分 de 名著 知里幸恵『アイヌ神謡集』 2022年 9月 (NHKテキスト) 作者:中川 裕 NHK出版 Amazon 書き忘れていましたが、知里幸恵を扱ったNHKの100分de名著「アイヌ神謡集」を見ました(→名著123「アイヌ神謡集」知里幸恵 - 100分de名著)。 ア…

保守の対義語がリベラル?

妻がニュースを見てこんなことを呟きました。「保守の政治家ってぜんぜん保守的に見えないんだけど?」……よし、このさい考えてみましょう。 保守主義とは何でしょうか? ボーッと生きてんじゃねえよ。(チコちゃんって、ほとんど見たことないので、使い方が…

『戦争の起源』第一章

戦争の起源 (ちくま学芸文庫) 作者:フェリル,アーサー 筑摩書房 Amazon アーサー・フェリル『戦争の起源』(ちくま学芸文庫)の第一章「先史時代の戦争」を読みました。ロシアによるウクライナ侵攻の関連本として書店に置かれているのではないでしょうか。第…

『西太平洋の遠洋航海者』は解説までが読書です

西太平洋の遠洋航海者 (講談社学術文庫) 作者:ブロニスワフ・マリノフスキ 講談社 Amazon B・マリノフスキ『西太平洋の遠洋航海者』(講談社学術文庫)やっとこさ読了。 人類学の古典でありますが、何度も途中で放りだしては、別の本に浮気していました。 …

川越宗一『熱源』

熱源 (文春文庫) 作者:川越 宗一 文藝春秋 Amazon 文庫化された川越宗一『熱源』を読みました。2019年下半期の直木賞受賞作です。アイヌが主人公というので気になっていたんです。 ★ ★ ★ 尾本惠一『ヒトと文明』(ちくま新書)によると、狩猟採集民は3種類…

原爆下での対局

原爆下での対局。囲碁界では有名かもしれませんが、私は十数年前に橋本宇太郎『囲碁一期一会』を読んで知りました。 同書は「なにわ塾叢書」と銘打った新書シリーズの1冊で、橋本宇一郎を聞き手がインタビューする形式で講義した記録です。(同シリーズは、…

ユクスキュル『生物から見た世界』

生物から見た世界 (岩波文庫) 作者:ユクスキュル,クリサート 岩波書店 Amazon 「花が美しいのは、花粉を運んでくれる蝶や蜂を招くためだ」という文章に何度か出くわしたことがあります。「まさか。花の美醜は人間が評価しているだけで、虫はそんなこと考えて…

國分功一郎『暇と退屈の倫理学』感想2

暇と退屈の倫理学(新潮文庫) 作者:國分功一郎 新潮社 Amazon 國分氏によるルソー『人間不平等起源論』の解釈 『暇と退屈の倫理学』の「第四章 暇と退屈の疎外論」で気になるところがあったので、メモしておきます。ルソー『人間不平等起源論』についてのこ…

國分功一郎『暇と退屈の倫理学』感想1

暇と退屈の倫理学(新潮文庫) 作者:國分功一郎 新潮社 Amazon 書店で、新潮文庫の平台に國分功一郎『暇と退屈の倫理学』があるのを見つけました。國分氏は『中動態の世界』などの著書がある哲学者ですが、平凡社ライブラリーならまだしも、新潮文庫に入る著…

参議院選の感想

日曜日に衆議院選挙が開票されました。与党が勝利。「予想通りで、とくにショックはありません」と感じてしまう自分がイヤ。 野党が負けたとはいえ、山添拓、辻元清美、小西洋之、山本太郎、水道橋博士、伊波洋一、福島瑞穂といった候補が国会に届けられたこ…

世間論

【問題1】不祥事を起こして逮捕された芸能人が釈放されると「このたびはお騒がせして誠に申し訳ありません」と頭を下げます。いったい、誰に向かって謝罪しているのでしょうか。【問題2】コロナ流行当初、休業要請を守らないパチンコ屋を監視する自粛警察…

『人類の起源』と日本人のルーツ

人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」 (中公新書) 作者:篠田謙一 中央公論新社 Amazon 色々あった。 何年か前、大勢集まったある宴席で「日本人はどこから来たか」という話題になったんです。あっちから来た、こっちから来た、とみんな…

『学校制服とは何か』

学校制服とは何か その歴史と思想 (朝日新書) 作者:小林 哲夫 朝日新聞出版 Amazon たいへん勉強になりました、小林哲夫『学校制服とは何か』(朝日新書)。著者の肩書きはジャーナリストで、1960年生まれとのこと。私より5歳上です。 まずは、個人的なこと…

稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』

映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形 (光文社新書) 作者:稲田 豊史 光文社 Amazon 稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ──コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)を読みました。興味深いことが…

設楽博己『縄文vs.弥生』感想

縄文vs.弥生 ――先史時代を九つの視点で比較する (ちくま新書) 作者:設楽 博己 筑摩書房 Amazon 縄文と聞いてイメージするのは土器や竪穴式住居ですが、定住した縄文中期以降の文化であって、私が知りたいノマド(遊動)的狩猟採集民ではありません。尾本惠一…

『ホモ・エコノミクス』

ホモ・エコノミクス ──「利己的人間」の思想史 (ちくま新書) 作者:重田園江 筑摩書房 Amazon 雨がやんだらロードバイクに乗ろうと思っていたのに、重田園江『ホモ・エコノミクス──「利己的人間」の思想史』(ちくま新書)を開いたら面白く、読了してしまいま…

狩猟採集民という救済?

磯野真穂『他者を生きる』を読みました。磯野氏の文章を読むのは初めてかな。集英社新書編集部はなかなか良い仕事をしていると思っています。 ごく大雑把に書きますが、死や病気に関して、われわれが常識と感じていることや、定型文みたいな情報発信を警戒し…

サッカー部コーチの暴行について雑感

秀岳館高校サッカー部のコーチによる暴行事件、注目しています。 4月20日、30代のサッカー部コーチが高校生に暴力をふるう動画がSNSで拡散されました。22日に開かれたミーティングで、サッカー部監督が、動画をアップさせた生徒を「加害者」呼ばわりし、自…

中野区野方と共産党と資本主義

原武史『レッドアローとスターハウス』や『滝山コミューン一九七四』などは昨年読みました。どちらもたいへん面白かったんですが、迂闊なことに感想を当ブログに書いてなかったようです。ほかのところに書いたのをほぼコピペします。 ★ ★ ★ かつて、西武線の…

センバツ高校野球を見て

甲子園野球と日本人―メディアのつくったイベント (歴史文化ライブラリー) 作者:有山 輝雄 吉川弘文館 Amazon 3月30日、高校野球を見ようとテレビを点けました。昼食の準備をしながら遠目に画面を見ると、サヨナラホームランで勝った近江高校がグラウンドから…

上野千鶴子『増補〈私〉探しゲーム』

「私」探しゲーム―欲望私民社会論 (ちくま学芸文庫) 作者:上野 千鶴子 筑摩書房 Amazon 上野千鶴子『増補〈私〉探しゲーム』(ちくま文庫)を本棚から引っ張り出して、ときたまパラパラめくります。原著は1987年1月刊。ちくま文庫版は1992年6月刊です。 大…

『優生学と人間社会』

優生学と人間社会 (講談社現代新書) 作者:昌平, 米本,ぬで島 次郎,洋子, 松原,容孝, 市野川 講談社 Amazon ここ数日、風呂では米本昌平+松原洋子+橳島次郎+市野川容孝『優生学と人間社会』(講談社新書)を読んでいました。優生学とは、犯罪者、精神病、…

ご当地ラーメンの話

たまには堅苦しくない話でも……。 今日、ラジオを聞いていたら、ご当地ラーメンに関する話題になり、「和歌山のラーメン文化」とか「替え玉文化は博多だけだと思った」といったセリフが飛び交っていました。和歌山ラーメンというのがあるらしい。 ご当地ラー…

「市民の抵抗」より。

Russian kid who surrendered cries when a Ukrainian woman helped him face time his mom.#Ukriane #UkraineWar #RussianUkrainianWar #RussianArmy #RussianWarCrimes #Surrender #DefendUkraine #StopPutinNOW #UkraineKrieg pic.twitter.com/bR8AePuOn2…