狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

参議院選の感想

日曜日に衆議院選挙が開票されました。与党が勝利。「予想通りで、とくにショックはありません」と感じてしまう自分がイヤ。

野党が負けたとはいえ、山添拓、辻元清美、小西洋之、山本太郎、水道橋博士、伊波洋一、福島瑞穂といった候補が国会に届けられたことはありがたいことです。

しかし……お笑い番組を見るように質疑を眺めている国会ウォッチャーの私は、白眞勲、有田芳生、森裕子、辰巳孝太郎、大門実紀史といった優秀な「国会芸人」が落選したことに落ちこんでいます。いちおう野党を名乗る維新に、松野明美や中条きよしらが当選しましたが、彼ら新人国会芸人が上記の人たちより鋭い質問をすると思えないのです。

白井聡が近著で、「2012年体制」と書いています。この10年、いろんなものが徹底的に破壊されてきました。

政治家が国会で平然と嘘をつき、官僚は政治家を守るために公文書を改竄したり廃棄するようになりました。アベノミクスの効果を底上げするために基幹統計をごまかし、もはや客観的な数字がわからなくなっています。

テレビは「ニッポンすごい」と自画自賛。ワイドショーでは、橋下徹のような人間拡声器が矛盾だらけの自説をガーガーわめき、それなりに視聴率を取っているらしい。頭のいい東大生がタレントになり、クイズを解いて尊敬されています。なぜか「統一教会」の一言が言えず、「特定の宗教団体」と口走る。

天と地がひっくり返っています。

巷には歴史改竄する言説やヘイトスピーチが溢れています。司法も機能しません。大阪地裁は、同性婚を「子を産み育てる男女」でないからという理由で却下。東京地裁は、性風俗業へのコロナ給付金不支給を「大体数の国民の道徳意識に反する」商売として肯定しました。

もしかすると、すでにポイント・オブ・ノーリターンを踏み越えてしまったのではないか。すでに全体主義へまっしぐらではないか、とそんな怖いことを考えてしまいます。

故・橋本治は、韓国の朴槿恵大統領が、友人の崔順実の言いなりになっていたという報道を見て、《「後宮の女官が皇帝を意のままに操った」という種類の事件と同種》であると書いています。(橋本『思いつきで世界は進む』ちくま新書、195ページ)

同様に、日本はまだ江戸時代と同じく、世襲的な封建制社会なのです。ご主人さまが上にいて、そのまた上にご主人さまがいて、そのまたうえに……という具合。故・安倍晋三元首相も薩長政権の三代目。強いアメリカにペコペコし、弱いと思う国には威張っていました。

日本の有権者は「主権者」であることを忘れ、積極的に従者となり、世襲の庄屋さまや殿様にお仕えしているようです。そう考えると選挙の結果も予想できたわけです。当たらなくてもよい予想でしたが……。このままいくとどうなるのか。