狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

利他

もう一度、利他の話。

ところで、『「みんな違ってみんないい」のか?』に、利他に関する記述がありました。メモのつもりで。 最後通牒ゲームなどいろんな実験で、《人間は、自分の利益をなげうってでも、利益を独占しようとする「不正な人間」を罰しようとする》ことがわかってい…

『「利他」の生物学』と『緑の哲学』

「利他」の生物学 適者生存を超える進化のドラマ (中公新書) 作者:鈴木正彦,末光隆志 中央公論新社 Amazon 『「利他」の生物学』に教わったことのひとつ。 ★ ★ ★ 植物の三大栄養素は、窒素、リン酸、カリウムです。以下、リンと窒素について。 リン──植物の…

『「利他」の生物学』

「利他」の生物学 適者生存を超える進化のドラマ (中公新書) 作者:鈴木正彦,末光隆志 中央公論新社 Amazon 10日前にも触れましたが、狩猟採集生活の本を読んでいると、「利他」というテーマにも突き当たります。 ★ ★ ★ いろんな動物で、血縁者のあいだでは、…

知性、利他のことなど

長沼毅「ヒューマニティの未来」(「現代思想」特集=変貌する人類史 2017.6)から、メモ。 ★ ★ ★ スタンフォード大学のジェラルド・クラブトゥリー(1946〜)の論文「われわれの脆弱な知性」(2013)によると、人間の知性や感性は2000〜6000年前(もっとも…

『Humankind 希望の歴史』

Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章 作者:ルトガー・ブレグマン 文藝春秋 Amazon Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章 作者:ルトガー・ブレグマン 文藝春秋 Amazon スティーブン・ピンカーは統計を操作し「人…

『戦争の起源』第一章

戦争の起源 (ちくま学芸文庫) 作者:フェリル,アーサー 筑摩書房 Amazon アーサー・フェリル『戦争の起源』(ちくま学芸文庫)の第一章「先史時代の戦争」を読みました。ロシアによるウクライナ侵攻の関連本として書店に置かれているのではないでしょうか。第…

稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』

映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形 (光文社新書) 作者:稲田 豊史 光文社 Amazon 稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ──コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)を読みました。興味深いことが…

『ホモ・エコノミクス』

ホモ・エコノミクス ──「利己的人間」の思想史 (ちくま新書) 作者:重田園江 筑摩書房 Amazon 雨がやんだらロードバイクに乗ろうと思っていたのに、重田園江『ホモ・エコノミクス──「利己的人間」の思想史』(ちくま新書)を開いたら面白く、読了してしまいま…

損得勘定、カネとコネ

何から何まで真暗闇よ 筋の通らぬことばかり 右を向いても左を見ても カネとコネの絡み合い どこに男の夢がある (50歳以下には鶴田浩二の替え歌は伝わらないよなあ。古いやつだとお思いでしょうが……) コロナと東京オリンピック騒動、お友だち案件がいろい…

独占したがる人たち

久しく狩猟採集社会について直接書いてないので、今朝考えていた雑感をメモします。 ★ ★ ★ 狩猟採集民は平等分配することで知られます。熱帯の森に暮らす人から厳寒のイヌイットまで共通する特徴です。(ほかにも、リーダーがいないとか、いくつか共通点があ…

煎本孝『こころの人類学』

煎本孝『こころの人類学──人間性の起源を探る』(ちくま新書)読了。 カナダ・インディアン、日本のアイヌ、ロシアのトナカイ遊牧民コリアーク、モンゴルの遊牧民、ラダック王朝──狩猟採集社会、首長制社会、遊牧民、王国など──著者がフィールドワークしてき…

『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』……自殺希少地域とは。

その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く―― 作者:森川すいめい 発売日: 2016/06/24 メディア: 単行本 狩猟採集民ピダハン族と何年も暮らして彼らの言葉を研究した著者ダニエル・L・エヴェレットが、ついにキリスト教を布…

映画『デルス・ウザーラ』

原作につづき映画『デルス・ウザーラ』(1975年、ソ連・日本合作映画)のDVDを入手し、走るのをサボって観ました。 監督は黒澤明、出演・ユーリー・ソローミン(アルセーニエフ)、マクシム・ムンズク(デルス・ウザーラ)です。 完璧主義で権威的なイメ…

3月11日から9年間。そして今年の3月11日。

以前も書きましたが、東日本大震災では、東北に住む妻の親戚が津波被害を受け、何人か亡くなりました。半月くらいは連絡がとれず、存否確認に忙しかった。 あの日から私の人生観は確実に変わりました。定住、財産、所有などを根本的に疑り始めました。物欲も…