狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

保守の対義語がリベラル?

妻がニュースを見てこんなことを呟きました。「保守の政治家ってぜんぜん保守的に見えないんだけど?」……よし、このさい考えてみましょう。

保守主義とは何でしょうか? ボーッと生きてんじゃねえよ。(チコちゃんって、ほとんど見たことないので、使い方が違っていたらゴメンなさい)

完璧な人間はいません。先人たちが営々として築き上げてきた伝統や社会システムに敬意を表するけれど、それとて人間が創ったものだから綻びがあります。だから私たちは、誤った部分を少しずつ改善しながら社会を良くしていく……これが、エドマンド・バークが提唱した保守主義です。彼にとって革命とは、先人たちの努力を無にし、不完全な人間が一から社会を創る暴挙でした。

一方、リベラルとは、自由な、寛容な、といった意味合いです。中島岳志は、保守とリベラルは対義語ではないといい、「リベラル保守」を自称しています。

では、保守主義の対義語は何でしょうか? 私が学生のころは革新主義もしくは進歩主義でした。

リベラリズムの対義語はパターナリズム(父権主義)です。強い者が弱い者の言動に介入したり束縛したりする非寛容な態度のこと。

つまり、私は下記のように使います。

保守主義←→革新主義・進歩主義
リベラリズム←→パターナリズム

どうやら、1990年前後に、アメリカの「保守」と「リベラル」の概念を日本の政治に持ちこんだようです。しかし、アメリカの場合、保守もリベラルも基本的に自由主義に立脚していて、状況が日本とは違うのです。たとえば経済や教会に多くの自由を与えるのが保守(小さな政府)で、野放図な自由はよくないから政府が少し介入する(比較的大きな政府)のをリベラルといいます。例を挙げれば、人工妊娠中絶や銃規制に反対するのを保守、賛成するのをリベラルと呼びます。もしかすると、小さな政府=新自由主義=保守、大きな政府=共産主義=リベラル、という置き換えがあったのかもしれませんが、アメリカの言葉の意味とは違いますし、エドマンド・バークの保守主義とも違います。保守/革新で良かったのです。

さらに、右翼=保守、左翼=革新というのも違います。革新右派もあれば保守左派もありうるでしょう。

自称保守の安倍晋三元首相が「働き方改革」「生産性革命」「人づくり革命」などと軽々しく言ったのは不思議でした。本当の保守が革命なんて口にするでしょうか。戦前回帰の動きも謎でした。時計の針を戻す保守なんていないはずです。漸進主義ですから。

自民党と言えば、昨年5月にこんな記事がありました。

 自民党で24日から28日にかけて、同性愛者など性的少数者(LGBT)への理解増進を図る法案をめぐり激論が交わされた。菅義偉(すが・よしひで)政権が発足して以降、党内ではLGBT法案推進だけでなく、選択的夫婦別姓を容認しようとするなどの動きも目立つ。自民党保守派は「これではまるでリベラル政党だ」として、党内の議論に警戒を強めている。

多様性を認める態度をリベラルと呼ぶのは正しい。しかし、非寛容な社会の綻び(この場合は性的マイノリティに対する不理解)を見つけて改善するのは保守的な態度です。保守とリベラルを対立させる用法がおかしいことが、上記の例でも理解できます。

産経新聞の意図はわかりませんが、この記事は写真とセットでギャグになっています。どこが可笑しいか、写真をよく見て探してください。

稲田議員の背後に架けられている自民党の垂れ幕?には、「Lib Dems」と書かれています。右の赤い垂れ幕は、略さず「Liberal Democratic Party of Japan」とありますね。そう、自民党は、リベラルで民主的な政党なのです。「これではまるでリベラル政党だ」って、おいおい、自民党はずっとリベラル政党なんですよ。

おあとがよろしいようで。