狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

サッカー部コーチの暴行について雑感

秀岳館高校サッカー部のコーチによる暴行事件、注目しています。

4月20日、30代のサッカー部コーチが高校生に暴力をふるう動画がSNSで拡散されました。22日に開かれたミーティングで、サッカー部監督が、動画をアップさせた生徒を「加害者」呼ばわりし、自分を「完全な被害者は俺」と発言、その音声も流出。23日、3年生が騒動を主体的に(ではないのでは?)謝罪する動画がアップされるも、のちに削除されます。学校は、5月5日にパワハラに関して謝罪会見したものの、上級生から下級生への暴力問題なども明るみになっているようです。

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部活ふくめ日本の学校現場の指導を一言でいえば、「ガキは黙ってろ」です。生徒が絶対的な上下関係や理不尽な校則を疑ったりしようものなら、徹底的に頭を抑えつけます。考えたり反抗したりすることを徹底的に抑圧するのです。結果、「お上に逆らうもんじゃねえ」と萎縮する社会の歯車が育ちます。社会に出て、「指示待ち人間になるな」なんて言われますけど、自発的に仕事するはずがありません。

必読の1冊『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』にはこんなことが書かれています。スウェーデンの小学校高学年が学んでいる社会科教科書の第2章「メディア」より。

あなた自身も社会に影響を与えることができます。あなたが世論を形成してオピニオンリーダーになる方法は、新聞への投書、FacebookやTwitterなどSNSの活用、人を集めてデモをすること、政治家に直接訴えることなど、です。説得力のある文章を書くために自国語を学びましょう、ともあります。

(略)学校の職員や両親、近所の人々、コーチ、そして最終的に政治家を味方につけるためには、誤字などの誤りがなく、正しく書くことが重要となります。あなたが、しっかりと準備が整っており、ちゃんとした文章が書け、そして自分の意見を冷静にしっかりと伝えることができるということを示しましょう。

学校が髪型や服装に決まりを作っていたら、奇抜な恰好で登校してみよう、という記述にもビックリしました。《髪型やファッションを変えて規範を打ち破ってやろうとするなら、それを何度も繰り返しているうちに、それでいいのではないかと思われるようになるかもしれません》。私は人権を侵害する校則とは徹底して戦うべし、と考えていますが、まさか、教科書にそう書いてあるとは。

日本と違い、自分の頭で考え、行動する人間を育てるスウェーデンの教育。グレタ・トゥーンベリを生み出した国は日本と違い、子供も一人前の人格として扱っています。

私は、今回、秀英高校サッカー部部員が、暴力行為を訴えるために動画をSNSに公開したことは、完全に正しかったと考えるのです。学校に訴えても潰されるでしょう。高校生自らが発信したことを大いに讃えたい。他校の生徒も、変な校則や部活の規律があれば、どんどん同じ手段で世論に訴えればいいと考えます。みんな、不当な圧力に負けるな!

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学校における部活が軍隊式なのは、戦後のスポーツ指導が軍隊経験者によってなされたからだという論文を読んだことがあります。

ショックだったのは、暴行したサッカー部コーチが30代だったということです。鉄拳制裁の指導を疑問視する声はだんだん大きくなっていて、皆無にならないまでも、若い世代は継承していないのではないか──いや、違うな──継承していなければいいな、と願っていたからです。

男性中心主義、マイノリティへの差別、いじめなどといった旧弊な価値観をなくすのは並大抵のことではないと溜息をつきました。それでも、社会をよりよくするために、考え、発信しつづけていかなければ。

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