新型コロナウイルスの政府対応について……

前口上

走ってはいますが、忙しくもあり、ブログを書いていませんでした。

仕事の合間、国会中継も見ています。いまは衆議院予算委員会。野党の議員は論理的で鋭い質問を浴びせますが、大臣連中や官僚がはぐらかし答弁を繰り返すのです。テーマは多岐にわたります。IR汚職、辺野古基地問題、経済の諸問題、検事長の脱法的な定年延長問題、入試改革問題、領土問題、環境問題、公文書管理法の問題……。「与党もひどいが野党もひどい」とか「国会では『桜を見る会』ばかり」という人は国会中継を見たことがないにちがいありません。どこかに転がっていた定型文を口から発しているだけなのです。宮台真司さん言うところの「言葉の自動機械」でしょう。

桜を見る会に関して、安倍首相は「議論すべきことがたくさんあるのに、この問題の質問ばかりだ」とか「前夜祭で出た寿司は久兵衛だと黒岩議員にデマを飛ばされた」などと野党にイラつきます。自分が正しいなら、前夜祭の明細書や招待客の推薦者名簿をドンッと出して「不正はないだろ!」と啖呵を切ればいい。寿司が久兵衛かどうかもわかります。やはり安倍さんは不正なんてしてなかったのね、カッケーとなり、支持率も急上昇するでしょう。でもね、どうしてなのか、自分が正しいことを証明する証拠をわざわざ探さないとか調査しないと言うのです……?

新形コロナウイルスに対する政府対応

現政権の、新型コロナウイルスの対応もおかしいのです。ご承知のとおり、武漢を中心とした新しい感染症が蔓延していることを1月にはみんな知っていて、中旬にはタイにも感染者がいることが明らかになりましたが……。

以下、時系列にみていきます。

昨年4月、共産・田村智子議員が「国立感染症研究所の人員と予算が削減されている」と参議院内閣委員会で質問。加計学園の獣医学部には金を出すのに、おかしいなあ。

1月16日に、日本国内で感染者の報告あり。(武漢から帰国後、1月10日に入院し、15日に退院)

2020年の中国の春節は1月24〜30日でした。1月23日、安倍氏は中国国民に向けて「祝辞」を出しました。《春節に際して、そしてまた、オリンピック・パラリンピック等の機会を通じて、更に多くの中国の皆様が訪日されることを楽しみにしています。その際、ぜひ東京以外の場所にも足を運び、その土地ならではの日本らしさを感じていただければ幸いです。》(すでに消されている模様。→まとめサイトhttps://togetter.com/li/1462521

1月29日、立憲・杉尾秀哉議員が「対策本部をつくらないのか」と質問(もっと以前から、野党は要求していたようです)。安倍氏は「明日つくる」と答弁。

1月30日、春節の最終日に対策本部を設置。第1回の議事概要を見ると、この段階でチャーター便で帰国した人ふくめ11人の感染者がいた……しかし、閣僚はじめ政府関係者しか出席せず、専門家が1人もいません。会議もたった10分で終了。翌日の第2回は50%増しの(?)15分

2月1日、ダイヤモンド・プリンセス号が沖縄に寄港。そのさい乗客と接触したタクシー運転手が新型肺炎と判明したのが14日のことです。

2月3日、同クルーズ船が横浜に入港。キットが足りないと言って全員検査をしません。船内感染がどんどん拡がっていきます。

2月6日、政府はWHOにも働きかけ、6日から日本の感染者数に「ダイヤモンド・プリンセス号」の感染者を含めず、同船の感染者は「Other」と表記されるようにさせたそうです。WHOに1000万ドル寄付した見返りなのかしら? マスコミにも、日本国内とクルーズ船の感染者数を分けるように指示。(→リテラhttps://lite-ra.com/2020/02/post-5256.html

2月8日、立憲・阿部知子が「人獣共通感染症の最先端研究をすると謳って設置認可された加計学園は新型コロナウイルスの研究をやっているのか」と質問。これに対し、萩生田大臣は「研究はしていませんが、授業で扱っています」と答弁、私はずっこけました。(日本一の獣医学部をつくると宣言した加計学園は、バイオセーフティレベル3の実験室をつくると言って認可されたのに、そんな実験室はないことが昨年、国民民主・森ゆうこ議員の質問で明らかになっています。そのときの内閣府の説明は以下の通り。「あ、あのう……最先端の研究と、バイオセイフティレベルは必ずしもリンクしません」──このときも私は椅子からズリ落ちました)

2月13日、神奈川県内に住む80代女性が死亡。テレビ朝日「モーニングショー」で、医療ガバナンス研究所理事長・上昌広医師が「このウイルスに限らず、ウイルスのPCR検査というのは日常的に(民間で)やられています」「(政府が)やる気になればすぐできます」と発言。しかし、国が保険適用にしないらしい。金がかかるから……なんのために国民は保険料を払っているんでしょう。

2月14日、菅義偉官房長官「現時点で国内流行と判断に至る疫学的情報が集まっているわけではなく、今後早急に収集を図る」と発言。前日に公明党が要求したのをうけ、自民党がやっと専門家会議を設置。

2月16日、最新のニュースでは、ダイヤモンド・プリンセス号の乗員乗客3711人のうち計355人(本日70人増えました。乗船客の1割近くが感染とは! うち111人は無症状)の感染が確認されたとのこと。チャーター機の帰国者をふくめ、日本国内で感染が確認された人は50人以上。

──クルーズ船に関していえば、確実に「人災」ですよね。感染するまで下船できない状態でした。まだ全員の検査は終わっていません。

桜を見る会問題にすら対応できない政権が、まともに新型コロナウイルスに対応できるでしょうか。彼らは国民の人権や健康より金を重視します。インバウンドを当てにして対策を遅らせ、東京オリンピック・パラリンピックのイメージ悪化を怖れて感染拡大を過小評価します。残念ながら安倍支持者には高齢者の生活困窮や病気を「自己責任」と言う人たちがいるのです。「新型肺炎といっても死ぬのは高齢者や糖尿病患者だろ」と問題を軽視する人たちがいないことを祈ります。

余談

新型コロナウイルスを当ブログ向けの話題にするなら……。

パンデミックは狩猟採集時代にはなかったのです。小集団で暮らしていて人口密度が低かったので、起こりようがありません。農耕が始まり人口爆発が起き、都市ができてネズミなどと暮らすようになり、環境が汚染されてから、ペストなどの集団感染が発生するようになりました。

もうひとつ。市民ランナーの端くれとしては言いにくいんですが、この状況が続くなら市民ランナーが参加するマラソン大会は中止したほうがいいのではないでしょうか。

世界中から人が集まる東京マラソンはとくに心配です。エリートランナーだけの大会にして、当選者には何かしてあげられないかなあ、と感じます。中止にしたらインバウンドが失われるし、なにより東京オリンピック・パラリンピックのイメージが落ちるから、おそらく強行するでしょうけど、それが正しい選択なのか……。

減量や、先日の練習のことなど。

私は消費カロリーと摂取カロリーの収支という栄養の質を無視した単純計算を疑っていますが、体験的に、少なくとも体重と走行距離には相関関係があるように感じます。短距離練習&筋トレで月間150km程度だった昨年の後半は徐々に体重が増えました。相変わらず、ごはんや麺類をとるのはお昼1食くらいで、摂らないこともあります。もともと甘い物が苦手ですから砂糖の入ったものは食べませんし、うちには砂糖そのものがありません。糖質制限は減量に有効だと信じています。1食でも食べるのは多いのかもしれません。狩猟採集民はもっと糖質を摂ってなかったはずですから。

毎朝、「マッパ」で体重計に載ります。

正月は65kg台でした。1月半ばに1日だけ66kgを越えたことがありました。ひええ。私はオフシーズンで62kgくらい、レースシーズンは60kg弱でした。今はレースを入れてないけど、せめて61kgくらいにしなきゃ走れません。

……というわけで、1月は脂肪燃焼モード(AeT値より少し上。乱暴に言ってしまうとLSDペースの「ゆるジョグ」です)でちんたら走っていました。風邪ひいたことや多忙をきわめたことで距離は増えず、ラン150kmに加えてスピンバイクも心拍が高くなりすぎないように少し漕いだ程度でしたが、今は63kgを切るかどうか、くらいまでにはなりました。

2月は300km くらいは走らなきゃ。体重も62kgを切ります──と高らかに宣言✨️

5日(水)は練習会で80mダッシュ15本でした。3日前のトラック3,000TTのあと、右の中臀筋が痛んでいましたけど、この程度では休めませぬ。ダッシュですか? 去年後半は短距離の練習をしていたんですから、お手のものよ(ウソ)。みんなより少し後方からスタートして抜くことを心がけ、なんとか全部終了しました。13本目くらいからお腹が攣りそうでした。

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練習会終了後は、両方のお尻が痛くて歩くのもままならず、帰宅ランは中止。昼間と違って寒かったあ。

6日(木)は夕方ゆるジョグ。さぶうてさぶうて……グローブをした手がかじかみます。いつだか、深夜ジョグのときにかじかみましたが、夕方は初めてではないかいな。ラスト2キロは自販機で温かい缶コーヒー(もちろんブラック)を買い、左右交互に手で握り、暖をとりながら走りました。走り終えたころは缶コーヒーも冷めてたぜ。

ナイキ、アルファフライ

ナイキの厚底規制について世界陸連がシューズのレギュレーションを明らかにしたのは6日前のことです。すると、出来レースだったと疑ってしまうくらいの早さで「アルファフライ」が登場しました。「カーボンプレートが禁止になるか、1枚だけ認められるか、3枚もOKなのか」わからない段階で、「カーボンプレートは1枚、ソールは40mm以内」という条件を満たしたシューズをナイキは開発していたことになります。

ナイキがロビイ活動をしていたかどうかわかりませんが、ビジネス小説みたいだわ。東京マラソンで記録が出れば、大々的な宣伝になりますね。

価格はヴェイパーフライネクスト%と同程度(3万円)で耐久性がよくなっているという噂もあります。私が履くかどうかは……ドロップが8ミリかあ。踵の高いシューズは合わないんですよね。

61歳女性でサブスリーの弓削田眞理子さん。

弓削田眞理子さん。

ランナーの神さまみたいですね。最近の私は、頑張る先輩ランナーの情報を集めて自分を鼓舞しています。60代の女性でサブスリーは彼女だけとのことで、世界マスターズ陸上のThe 2019 WMA Best Athletes(長距離部門→HP)に選ばれたとのこと。素晴らしい。

いま売っている雑誌「ランナーズ」3月号を購入して、弓削田眞理子さんの記事を繰り返し読んでいるのです。「ランニングマガジン クリール」3月号にも登場されています。子育てなどで陸上を中断されたあと40代から本格的に走り始め、2017年、58歳で初のサブスリー。2019年のさいたま国際マラソンでは(あの、きついコースですよ)2時間56分54秒をマークしたそうです。

「ランナーズ」で弓削田さんの最大酸素摂取量(Vo2max)を計測したところ46.2ml/kg/minで、《サブスリーの目安とされる60mlよりも大幅に低かった》とのこと。それでも換気性作業閾値(VT)は4分00秒だったそうです。

 それではなぜ弓削田さんは2時間56分で走れるのだろうか? 測定を行った山本雅彦先生は、「最大酸素摂取量が低くても、練習を積むことによって、マラソンのタイムを伸ばすことは可能です。弓削田さんは月600kmという、同年代の女性市民ランナーとしてはずば抜けて多い練習量、そしてそれを可能にする強靱な肉体を持っています。それがこの年齢・最大酸素摂取量でもサブスリーを出せる秘訣でしょう。驚異的な結果だと思います!」

月間距離を多くすることで、VTが上がるという経験、私もジョグ中心で月間400km以上走っていたころ感じていたんですよね。さすがに、500kmあたりが仕事に支障をきたさない限界で、それが私の頭打ちの原因だったのかもしれません。加えて弓削田さんはスピード練習もされていますし、レースに数多く参加されています。

 今回の弓削田さんの結果には非常に驚きました。持久力の指標である最大酸素摂取量の46.2mlは60代女性の平均値と比較すると圧倒的に優れていることは間違いありませんが、一般的に男性の場合、サブスリーの目安は60mlとされています。また、これまでに私が知るサブスリーランナーもみな50mlを超えていました。(略)
 61歳の女性が月500〜600km走れること自体がすごいのですが、週1回はインターバルトレーニングやペース走を行い、さらに毎週のようにレースに出場して全力で追い込んでいます。こうした速いペースで走るトレーニングは、心肺機能や速筋を鍛え、マラソンペースを向上させることに効果的ですし、年齢を感じさせない大きなランニングフォームで走れる要因にもなっています。

弓削田さんは定年後も埼玉県の高校に勤務し、陸上部の男子高校生と走っているそうです。

月刊ランナーズ2020年3月号

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  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 株式会社アールビーズ
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: 雑誌
 
ランニングマガジンクリール 2020年 03 月号 特集:故障&トラブル解決マニュアル

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  • 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: 雑誌
 

3,000TT……とほほ(笑)

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入ったきり、多忙や風邪でほとんど行っていない練習会で、3,000mのタイムトライアルをして記録を教えてくれと言われていたので、夕方、済美山(→google Map)に行ってトラックを走りました。

永福町駅の改札を出たところにあるコインロッカーにコートなどを預けて軽装になり、グラウンドまで1キロゆるジョグ。到着したのはほぼ16時。利用時間が17時までなので、人は少ないのです。

すこしだけ水を飲んで、ゴー。

トラックを走るときはガーミンのオートラップはオフにして手動でラップを取ります。シューズはアシックス・ソーティマジックRPです。あまり気負わず、でも90%くらいの力で走りました。最初の1,000mが、4分17秒。とほほ。やはり走力が落ちてます。次のラップが4分20秒。あれ、このままだと13分を切れないかも? あと2周半! だんだん息が苦しくなります。ゆっくり回っている人を追い抜くときに、ゼーハー言って恥ずかしい。ラスト100m、ペースを上げろ……あ、上がらない……。

チーン。12分57秒。とほほほほ。

4:17-20-19というラップでした。心拍数は以下のとおり。最高183bpmだそうです。12分以内で走っていた数年前はMAX 200bpm なんてこともありましたが、いまはこの程度なのでしょう。それでも久しぶりにスピードを出した感じはありました。

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去年、夏から短距離練習して月間100〜150kmしか走ってないし、先月測ったAT値も5分00秒だったので、いたしかたありません。ちょうど、10年前の2010年、サブ3.5をターゲットにした練習をしてフル3時間45分あたりを目指していた(すると秋に3時間半を切れました)ころの走力&体重と同じです。となると、数年頑張ればいちばん速かったころに戻るわい。ハッハッハ。

 オジイチャン、年齢ノコトハ考慮シテナイノネ

おお、ジョグノートの日記にときどき出てきた謎のお姉ちゃん! 今年もよろしく。おじいちゃんは初心者みたいなものだ。楽しみながら走りましょう。

ヴェイパーフライはOK

話題になっていたナイキの厚底シューズ問題、1月31日に、世界陸連(WA)が結論を発表したようです。簡単に書けば、現行のヴェイパーフライネクスト%はセーフで、キプチョゲが非公認記録ながらサブ2を達成したアルファフライはアウト。リンクの記事から引用します。

現状のナイキのVFは、ソールの厚さが最大で37ミリ、反発を生むカーボンファイバーは1枚のため“合法”に。昨年10月に男子の世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が昨秋の非公式レースで、人類初の2時間切りとなる1時間59分40秒を出した際に履いていたプロトタイプ「アルファフライ」については、カーボンプレートが3枚使用されており、規制される見込みとなった。

(1)カーボンプレート全面禁止
(2)カーボンプレート一枚はOK。複数枚はダメ。

多くの方がこのような予想をしていたんじゃないでしょうか。後者が選ばれたということですね。レギュレーションを明確にするのはよいことだと思います。

新ルールでは靴に関して、20年4月30日以降は、レースの4カ月前からオンライン、または店頭で購入できること(医学的理由などでカスタマイズされたものは許可される)が決められた。また、ソールの厚さは40ミリ以下、複数の剛性の埋め込みプレートは使用できないなどの要件を満たさない靴は無期限停止となる。

とありますが、4月30日まではアルファフライを履いてもいいということなんでしょうか。よくわかりません。そしたら、東京マラソンでは大迫傑選手や設楽悠太選手がアルファフライで日本記録を樹立するかも??

本気でマラソンをやると、結構お金がかかるものです。市民ランナーは比較的余裕のある方が多いようで、私の知り合い数人も定価3万円のヴェイパーフライを何足も所有しています。どうやら結果も伸びているようです。耐久性は低いけど金銭に見合う魅力があるのでしょう。陸上部の高校生にねだられる親は大変でしょうね。

食わず嫌いはよくないと、私も安売りしていたズームフライを試したんですが、合わなかったためそれっきりになっています(ズームフライは土踏まずのところが盛り上がっていますが、私は扁平足に見えるほど足裏の筋肉が発達しているので、土踏まずの部分だけが擦れて痛むのです)。

ナイキのヴェイパーフライについて比較的早く伝えたのは、『ガイアの夜明け』(テレビ東京)でした。2017年11月に放映された《老舗足袋メーカーvs巨大スポーツメーカー、無敵のランニングシューズ開発で「陸の王者」を目指す》(→HP )という回です。足袋メーカーとナイキを対決させるような、ついでに当時売れていた『陸王』を彷彿とさせるような煽情的なタイトルでしたが、なかみはしっかりしていました。

この番組で、謎のシューズだったヴェイパーフライのカーボンプレート構造を初めて見ました。普通のシューズで走る際、離地する瞬間、力がいろんな方向に逃げるけど、このカーボンは無駄になっていた力も効率よく推進力に変えてくれる、という説明でした。

f:id:mugibatake40ro:20200201150315p:plainこのプレートを見せてくれた、体型からして持久走とは無縁そうなナイキのシューズ開発者は、次のような身も蓋もない話をしました。

──正しい走り方というのはある種の神話で、これが理想的な走り方というのはないんです。走り方には、爪先から着地する「フォアフット」、足全体で着地する「ミッドフット」、踵から着地する走り方と、いろんなタイプがありますが、この靴はいろんなランナーに試しましたが、どのランナーでも速く走ることができます。

日本の男性選手は昨シーズン、サブテン(2時間10分切り)ランナーがたくさん誕生しました。踵着地気味の選手も多かった。ヴェイパーフライを履く女子選手も同様です。

でも……。へなちょこランナーの私があえて言いますが、自分がナチュラルラン派だからかな、「理想的な走り方なんてない」というセリフには反撥を感じるんです。

クッション性のあるシューズは人間本来の機能を損なうと、『BORN TO RUN』でマクドゥーガルはナイキをケチョンケチョンに批判していましたが、そんなの気に介さず、どんな走り方でも速く走れますよ〜と、ナイキは我が道を行ったわけです。企業としては正しい選択なのでしょう。

私は厚底シューズの報道を見るたび「正しい走り方というのはある種の神話だ」という、自分では走らないであろう開発者のセリフが思い出されたことでありました。

今後は、各社が厚底で勝負しはじめるんでしょうか。

ルソー『社会契約論』

社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫)

社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者:ルソー
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/12/20
  • メディア: Kindle版
 

数十年ぶりに『社会契約論』を読み直しました。初読のときは『人間不平等起源論』を読んでいなかったので、理解しづらかった。ルソーはそもそも難解ではないうえに、古典新訳文庫の訳文はより平易です。

18世紀の哲学者ジャン=ジャック・ルソーは狩猟採集社会を「発見」した最初の人物かもしれません。16世紀に、エティエンヌ・ド・ラ・ボエシは原始社会のレポートを読んだかのような『自発的隷従論』を書いています。人類学者ピエール・クラストルも、ちくま文庫の巻末に掲載されている論考で同様の指摘をしていますが、推測の域を出ないようです。ラ・ボエシの本をルソーが読んで影響を受けているかもしれませんが、そちらも現段階で証拠はないのだとか。

大航海時代、世界各地の未開の社会を見つけ、航海誌に記録しました。彼ら自然人(野生人)は野蛮でも好戦的でもなく、平等分配をしながら幸せに暮らしていました。当ブログを読んでくださった方にはお馴染みの社会です。ルソーは原始的な生活こそ自然状態だと認識します。ところが、私有財産という概念が生じました。貧富の差が生まれ、奴隷制度まで出来てしまった。ルソーは「自然に還れ」と説きますが、もちろん、時計を巻き戻すことはできません。

そこで、ルソーは国家の成員が平等で幸せに暮らせる社会を模索し、政治哲学の一冊『社会契約論』をものしたのです。

本書を読むうえでのポイントは「人民主権」と「一般意志」です。共同の利益を目的とするのが「一般意志」であり、個別意志が一致した「全体意志」は私的な利益を目指すものであり、「一般意志」とは明確に切り離されています。

誤解を恐れずに「一般意志」を簡潔にいってしまえば、「みんな等しく幸せで自由な社会を目指そう」です。自然人(野生人)のように、自由に、平等に暮らそうよ、とルソーは主張しているのですよ。たぶんね。

では、貧富の差はどのくらいに留めておくべきか。

富の平等とは、いかなる市民も他の市民を買えるほどに富裕にならないこと、いかなる市民も身売りせざるをえないほどに貧しくならないことを意味するものと理解すべきである。(111p.)

誰かが誰かの奴隷にならない程度に再分配しましょう、と書いているのです。

新自由主義者がおこなったアベノミクスでは、潤った金持ちからのおこぼれがしたたり落ちてくる「トリクルダウン」が起きると言われましたが、タックスヘイブンなどで富裕層や大企業は税金を回避し、代わりに貧困層も支払わなければならない消費税が上がる一方です。

日本国憲法第25条は生存権について次のように書いています。

第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

憲法は政治家や官僚が守るべきもの。私には彼らが遵守しているようには思えません。

 国家が解体する場合には、二つの道筋がある。
 第一の場合は、統治者がもはや法律にしたがって国家を統治せず、主権を簒奪した場合である。(174p.)

不幸にも失敗した人、生まれながらにしてハンデを負った人に向かって「自己責任だ」と、心ない言葉を浴びせる政治家や支持者を見ると、「一般意志」が霧消し「全体意志」が幅を利かせている気がしてならないのです。

今日も衆議院予算委員会を聞きながら仕事していたんですけど、

脱線しますが、安倍晋三首相、「募る」が「募集する」と同じ意味だと知らなかったのにはビックリ。椅子からずり落ちそうになりました

すくなくとも今の与党政治家は「一般意志」などお構いなしです。IR汚職事件で政治家に賄賂を渡したのは日本人カジノ客から金を巻き上げようとする外資系企業です。桜を見る会では、首相みずからが後援会を税金で接待していました(見え透いた言い訳をし、公開すべき公文書を廃棄する官邸や官僚が憲法改正を口にする不思議)。私人・昭恵さんからの推薦もあったとのこと。与党は教育費の無償化や給付型奨学金を検討する素振りもなく、まだ受験改革で利権を貪ろうとしています。民意を無視する沖縄差別もひどいものです。LGBTや夫婦別姓を認めることにより幸福になれる人もいる(不幸になる人いる?)のに、「生産性がない」「夫婦別姓がいいなら結婚するな」という政治家がいる。非正規雇用が増えているのに、正社員との同一労働同一賃金なんて夢のまた夢。働かざるをえないお母さんのための育児施設も足りていない。首相の友だちだと土地を安く払い下げられたり、大学の認可ももらえる。アメリカから何か要求されれば、日本の利害など関係なく応じます。下手に手を出した北方領土は、結局ロシアに譲り渡しました。拉致被害者は一人でも帰ってきたか? 「金委員長と条件なしで向き合う」と安倍首相が初めて発言してから1年半近くが経ちます。

国民を分断し、弱者を切り捨て、「全体意志」に従う日本の政治。

『社会契約論』は労働力など経済面が弱いようです。アダム・スミスやカール・マルクスら、後の経済学者を待てということでしょう。

『社会契約論』には鋭い警句に充ちていました。いくつか引用しておしまいとします。

 悪しき統治のもとでは、この平等は見掛けだけのもの、幻にすぎない。この平等は貧者を貧困の状態に放置し、金持ちを横領の状態に放置するにすぎない。実際に法律というものは、つねに持てる者に有利に、何も持たざる者に不利に働くものである。だから社会状態が人間にとって好ましいものであるのは、すべての人がある程度のものを所有し、誰も過剰な財産を所有していない場合に限られるのである。(57p.)

 こうして意見の違いが少なくなると、意志の一般性も低くなる。(66p.)

(略)世襲による貴族政は、あらゆる政府の中でも最悪のものである。(141p.)

 他人に命令するように育てられた人をみると、その人が正義感と理性を喪失してしまうべく、すべてのことが力を合わせているかにみえる。(152p.)

人間不平等起源論 (光文社古典新訳文庫)

人間不平等起源論 (光文社古典新訳文庫)

 
自発的隷従論 (ちくま学芸文庫)

自発的隷従論 (ちくま学芸文庫)