狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

読書

親鸞や一遍と悪党

ゴールデンウイーク、マイナ保険証普及のため税金使って広報すると発表されました。マイナンバーカードが普及すると政府に近い大企業は儲かります。CMや新聞広告を打つと、広告代理店が潤いますし、テレビや新聞にもカネが落ちるのでいろいろ問題があるマ…

原田信男『歴史のなかの米と肉』

歴史のなかの米と肉 (平凡社ライブラリー) 作者:原田 信男 平凡社 Amazon しばらく前に買った原田信男『歴史のなかの米と肉 食物と天皇・差別』(平凡社ライブラリー、2005)を通読。なぜ読もうと思ったのか、にわかに思い出せませんが、予想した数倍も刺激…

『死してなお踊れ 一遍上人伝』

死してなお踊れ: 一遍上人伝 (河出文庫 く 20-1) 作者:栗原康 河出書房新社 Amazon 一遍たちは未知の領域にふみこんでいった。人間の限界の限界の、さらに限界をこえて、ありえないようなうごきをみせはじめた。まるで痙攣でもおこしているかのように、ブル…

神一行『閨閥 改訂新版』

閨閥 改訂新版 特権階級の盛衰の系譜 (角川文庫) 作者:神 一行 KADOKAWA Amazon 政略結婚で姻戚関係をつくり、政財界を支配している特権家系がある──と書くと、藤原摂関家や中世の話のようですが、現代日本もそうなのです。 たとえば、いまの総理大臣の岸田…

『スモール・イズ・ビューティフル』2/2

スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫) 作者:F・アーンスト・シューマッハー 講談社 Amazon 引きつづき、『スモール イズ ビューティフル』(講談社学術文庫)からメモ。雑談みたいなものです。 ★ ★ ★ 民主主義、自由、人間の尊厳、生活水準、自己…

『スモール・イズ・ビューティフル』1/2

スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫) 作者:F・アーンスト・シューマッハー 講談社 Amazon 私は技術の発展に新しい方向を与え、技術を人間の真の必要物に立ち返らせることができると信じている。それは人間の背丈に合わせる方向でもある。人間は小…

草の家、木の家、レンガの家

台湾で大地震──。能登半島の地震につづき、ニュース映像にショックを受けました。1人でも多くの人が助かりますように。わずかながら支援のため募金をしました。 ★ ★ ★ ジャレド・ダイアモンドが『昨日までの世界』下巻に書かれていたエピソードです。本が見…

間永次郎『ガンディーの真実』2/2

ガンディーの真実 ――非暴力思想とは何か (ちくま新書) 作者:間永次郎 筑摩書房 Amazon ロンドンで英国法定弁護士資格を取得したガンディーは、南アフリカにわたり、インド人移民が多かった南アフリカに渡ります。 1880年代、彼の地で、ガンディーは理不尽な…

間永次郎『ガンディーの真実』1/2

ガンディーの真実 ――非暴力思想とは何か (ちくま新書) 作者:間永次郎 筑摩書房 Amazon あたくしは、反権力について考えています。ガンディーの非暴力不服従とはどんなものだったか、知りたくなりまして、ちょうど書店で『ガンディーの真実 非暴力思想とは何…

イリイチ『シャドウ・ワーク』

シャドウ・ワーク (岩波文庫 白232-1) 作者:イリイチ 岩波書店 Amazon 中学のとき日本史の先生がこう言いました。「古来、男は外で仕事をして稼いでくる。女はセックスでお返しをする」──そのときは言葉の成否を深く考えず、セックスという言葉を聞くだけで…

『奴隷のしつけ方』

奴隷のしつけ方 (ちくま文庫) 作者:マルクス・シドニウス・ファルクス,ジェリー・トナー 筑摩書房 Amazon 少し前に、マルクス・シドニウス・ファルクス著/ジェリー・トナー解説『奴隷のしつけ方』(橘明美・訳、ちくま文庫)を読みました。 私は、階級のな…

川田順造『「悲しき熱帯」の記憶』

「悲しき熱帯」の記憶―レヴィ=ストロースから50年 (中公文庫 か 29-2) 作者:川田 順造 中央公論新社 Amazon ちゃんとメモしておかないといけないなあ。読んだことを忘れてた! 川田順造『「悲しき熱帯」の記憶 レヴィ=ストロースから50年』を読んだのは、昨…

鶴見済『0円で生きる』

0円で生きる―小さくても豊かな経済の作り方― 作者:鶴見済 新潮社 Amazon なにかの本で紹介されていた鶴見済『0円で生きる』(新潮社)を読みました。サブタイトルは、「小さくても豊かな経済の作り方」です。 著者はなるべく金を使わない生活を実践している…

ケイレブ・エヴェレット『数の発明』

数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた 作者:ケイレブ・エヴェレット みすず書房 Amazon 最近読んだ本から。 ケイレブ・エヴェレット『数の発明』(みすず書房)を読了しました。著者は、『ピダハン』を書いたダニエル・エヴェレットの息子で、父親…

自民党(とくに安倍派)の裏金問題は時代劇

「あいつもか、あいつもか……」 自民党とくに安倍派の裏金問題が、燎原の火みたいに燃え広がっています。昨年夏、旧統一教会と関係を持った議員(とくに安倍派)が次々と明るみになったのとよく似た現象です。 安倍派議員は当選回数などに応じて政治資金パー…

もう一度、利他の話。

ところで、『「みんな違ってみんないい」のか?』に、利他に関する記述がありました。メモのつもりで。 最後通牒ゲームなどいろんな実験で、《人間は、自分の利益をなげうってでも、利益を独占しようとする「不正な人間」を罰しようとする》ことがわかってい…

『「みんな違ってみんないい」のか?』

「みんな違ってみんないい」のか? ──相対主義と普遍主義の問題 (ちくまプリマー新書) 作者:山口裕之 筑摩書房 Amazon 「おいおい、多様性に喧嘩売ってんのかよ」と、書店でツッコみ(もちろん心の中で)、でもまあ勝負してやるかと購入した本、山口裕之『「…

『「利他」の生物学』と『緑の哲学』

「利他」の生物学 適者生存を超える進化のドラマ (中公新書) 作者:鈴木正彦,末光隆志 中央公論新社 Amazon 『「利他」の生物学』に教わったことのひとつ。 ★ ★ ★ 植物の三大栄養素は、窒素、リン酸、カリウムです。以下、リンと窒素について。 リン──植物の…

『「利他」の生物学』

「利他」の生物学 適者生存を超える進化のドラマ (中公新書) 作者:鈴木正彦,末光隆志 中央公論新社 Amazon 10日前にも触れましたが、狩猟採集生活の本を読んでいると、「利他」というテーマにも突き当たります。 ★ ★ ★ いろんな動物で、血縁者のあいだでは、…

知性、利他のことなど

長沼毅「ヒューマニティの未来」(「現代思想」特集=変貌する人類史 2017.6)から、メモ。 ★ ★ ★ スタンフォード大学のジェラルド・クラブトゥリー(1946〜)の論文「われわれの脆弱な知性」(2013)によると、人間の知性や感性は2000〜6000年前(もっとも…

道路を歩行者に返せ(後編)

コンヴィヴィアリティのための道具 (ちくま学芸文庫) 作者:イヴァン イリイチ 筑摩書房 Amazon 自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47) 作者:宇沢 弘文 岩波書店 Amazon 社会的共通資本 (岩波新書) 作者:宇沢 弘文 岩波書店 Amazon 五輪と戦後: 上演として…

E・M・トーマス『ハームレス・ピープル』

店名は内緒ですが、ある古本屋には人類学関係の本がたくさん置かれています。そこで、E・M・トーマス『ハームレス・ピープル──原始に生きるブッシュマン』(1977、海鳴社、原著は1959刊)を見つけたのでした。 エリザベス・マーシャル・トーマスの母ローナ…

小国善弘『戦後教育史』

戦後教育史-貧困・校内暴力・いじめから、不登校・発達障害問題まで (中公新書 2747) 作者:小国 喜弘 中央公論新社 Amazon 10月はいろいろあって90kmしか走っていません。来月は100kmだ(苦笑)。仕事が落ちついてきたので、ここ1、2ヶ月考えていること・…

国立民族学博物館

大阪で一泊。朝4時ごろ目が覚めたので、時間をつぶすのに骨が折れました。御堂筋線とモノレールを乗り継いで、目的地へ。ミャクミャクくんがラッピングされたモノレール車両がありました。あんなヘドロの妖怪みたいなのを、みんな毎日見せられているなんて…

通天閣から、大阪ディープサウスへ。

9月3日、オダサク散歩──炎天下2万歩コース──のあと、クタクタになって安ホテルにチェックイン。この日、昼メシになにを食べたんだっけな……まったく思いだせない私。朝・昼は抜いたのかもしれません。(追記=朝、早く出かけすぎてしまい、広島市内のファ…

オダサク文学散歩

夫婦善哉 正続 他十二篇 (岩波文庫) 作者:織田 作之助 岩波書店 Amazon 六白金星・可能性の文学 他十一篇 (岩波文庫) 作者:織田 作之助 岩波書店 Amazon 9月3日(日)に、広島から大阪へ。新大阪から梅田に行きました。人が多いのう。 いま、大阪と資本主…

魯迅「賢人と馬鹿と奴隷」など

阿Q正伝・藤野先生 (講談社文芸文庫) 作者:魯迅 講談社 Amazon 5月半ばのこと、魯迅「賢人と馬鹿と奴隷」ってどんなんだったっけと、出かけたついでに図書館でコピーしてきました(文庫には入っていません。多分)。魯迅は1881年生まれの中国の文学者。儒…

夏目漱石『坊っちゃん』と資本主義

坊っちゃん (新潮文庫) 作者:漱石, 夏目 新潮社 Amazon 簡単に書けば、資本主義とは、誰かが誰かを搾取して儲けることです。資本家が儲けるのは、がんばる労働者からピンハネするから。 政府は資本主義が好き放題搾取するのを許しちゃいけません。誰かが儲け…

ケストナー『飛ぶ教室』

飛ぶ教室 (新潮文庫) 作者:エーリヒ ケストナー 新潮社 Amazon 何十年かぶりに、ケストナー『飛ぶ教室』(原題 Das fliegende Klassenzimmer)を読了。池内紀訳の新潮文庫版でした。ええ話じゃったわい。おじさん、心が温まりました。 舞台は、ヨハン・ジギ…

『女性差別はどう作られてきたか』

女性差別はどう作られてきたか (集英社新書) 作者:中村 敏子 集英社 Amazon ジェンダー研究の歴史について何か読もうと、書店で見つけた本です。著者は政治学者、北海学園名誉教授だそうです。福澤諭吉、ホッブズに関する著書、キャロル・ペイトマンの訳書が…