狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

狩猟採集社会と現代社会、平等と不平等

初の女性棋士、誕生なるか?

プロ編入試験がスタート 里見香奈女流五冠のプロ棋士編入試験が本日スタートしました。男性プロ棋士5人と対局して3勝すれば、史上初の女性プロ棋士が誕生します。 羽生善治九段や藤井聡太五冠ら将棋のプロは男性しかいなません。女流棋士と呼ばれる女性は…

『パラサイト 半地下の家族』

あたくしが会社勤めをしていたときによく行った中華料理屋の話です。20代のお腹すきすきマンだった私は、「チャーハンとラーメン」と頼むことがありました。店主のおじさんが「今日は半チャンラーメンの日じゃないんだよ」と必ず返します。 店に日替わりのサ…

國分功一郎『暇と退屈の倫理学』感想2

暇と退屈の倫理学(新潮文庫) 作者:國分功一郎 新潮社 Amazon 國分氏によるルソー『人間不平等起源論』の解釈 『暇と退屈の倫理学』の「第四章 暇と退屈の疎外論」で気になるところがあったので、メモしておきます。ルソー『人間不平等起源論』についてのこ…

國分功一郎『暇と退屈の倫理学』感想1

暇と退屈の倫理学(新潮文庫) 作者:國分功一郎 新潮社 Amazon 書店で、新潮文庫の平台に國分功一郎『暇と退屈の倫理学』があるのを見つけました。國分氏は『中動態の世界』などの著書がある哲学者ですが、平凡社ライブラリーならまだしも、新潮文庫に入る著…

世間論

【問題1】不祥事を起こして逮捕された芸能人が釈放されると「このたびはお騒がせして誠に申し訳ありません」と頭を下げます。いったい、誰に向かって謝罪しているのでしょうか。【問題2】コロナ流行当初、休業要請を守らないパチンコ屋を監視する自粛警察…

『学校制服とは何か』

学校制服とは何か その歴史と思想 (朝日新書) 作者:小林 哲夫 朝日新聞出版 Amazon たいへん勉強になりました、小林哲夫『学校制服とは何か』(朝日新書)。著者の肩書きはジャーナリストで、1960年生まれとのこと。私より5歳上です。 まずは、個人的なこと…

稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』

映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形 (光文社新書) 作者:稲田 豊史 光文社 Amazon 稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ──コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)を読みました。興味深いことが…

設楽博己『縄文vs.弥生』感想

縄文vs.弥生 ――先史時代を九つの視点で比較する (ちくま新書) 作者:設楽 博己 筑摩書房 Amazon 縄文と聞いてイメージするのは土器や竪穴式住居ですが、定住した縄文中期以降の文化であって、私が知りたいノマド(遊動)的狩猟採集民ではありません。尾本惠一…

『ホモ・エコノミクス』

ホモ・エコノミクス ──「利己的人間」の思想史 (ちくま新書) 作者:重田園江 筑摩書房 Amazon 雨がやんだらロードバイクに乗ろうと思っていたのに、重田園江『ホモ・エコノミクス──「利己的人間」の思想史』(ちくま新書)を開いたら面白く、読了してしまいま…

狩猟採集民という救済?

磯野真穂『他者を生きる』を読みました。磯野氏の文章を読むのは初めてかな。集英社新書編集部はなかなか良い仕事をしていると思っています。 ごく大雑把に書きますが、死や病気に関して、われわれが常識と感じていることや、定型文みたいな情報発信を警戒し…

サッカー部コーチの暴行について雑感

秀岳館高校サッカー部のコーチによる暴行事件、注目しています。 4月20日、30代のサッカー部コーチが高校生に暴力をふるう動画がSNSで拡散されました。22日に開かれたミーティングで、サッカー部監督が、動画をアップさせた生徒を「加害者」呼ばわりし、自…

『優生学と人間社会』

優生学と人間社会 (講談社現代新書) 作者:昌平, 米本,ぬで島 次郎,洋子, 松原,容孝, 市野川 講談社 Amazon ここ数日、風呂では米本昌平+松原洋子+橳島次郎+市野川容孝『優生学と人間社会』(講談社新書)を読んでいました。優生学とは、犯罪者、精神病、…

「市民の抵抗」より。

Russian kid who surrendered cries when a Ukrainian woman helped him face time his mom.#Ukriane #UkraineWar #RussianUkrainianWar #RussianArmy #RussianWarCrimes #Surrender #DefendUkraine #StopPutinNOW #UkraineKrieg pic.twitter.com/bR8AePuOn2…

『暴力はどこからきたか』より……メモ

暴力はどこからきたか 人間性の起源を探る (NHKブックス) 作者:山極 寿一 NHK出版 Amazon 山極壽一『暴力はどこからきたか』第一章「攻撃性をめぐる神話」より、人間の攻撃性に関する議論の歴史をメモ。 1949年 人類学者レイモンド・ダート(豪)は南アフリ…

放送大学『「人新世」時代の文化人類学』終了

「人新世」時代の文化人類学 (放送大学教材) 作者:大村 敬一,湖中 真哉 放送大学教育振興会 Amazon ふう……疲れた……。仕事が重なっていたのに加え、ここ2日ほどで放送大学のテストを解いていました。(コロナにつき、在宅で問題を解いて郵送します) 「学割…

『スマホ脳』を買って後悔

先日、radiko のタイムフリーでTBSラジオ「アシタノカレッジ」を聴きながら歩いていました。アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』の訳者で、スウェーデンで学校の先生をしている久山葉子さんが出演した回です(→TBS公式YouTube)。私は「放射脳」とか「スイーツ…

『土偶を読む』

土偶を読む――130年間解かれなかった縄文神話の謎 作者:竹倉 史人 晶文社 Amazon なにやら縄文ブームだそうです。竹倉史人『土偶を読む 130年間解かれなかった縄文神話の謎』(晶文社)という本が書店の平台に積まれているのは知っていましたが、これもブーム…

『スエロは洞窟で暮らすことにした』

スエロは洞窟で暮らすことにした 作者:マーク サンディーン 紀伊國屋書店 Amazon メンタリストの差別発言 どうやらテレビでは有名人らしいメンタリスト──メンタリストってなに? 最初はメダリストの間違いだと思ってました──なる人物の差別発言が話題になり…

とりあえず、一息。「ふう〜」

オリンピック閉会式も終わった模様です。長いあいだ水のなかに潜っていた気分です。とりあえず、一息つかせてください。「ふう〜」 選手やスタッフのみなさん、無観客およびコロナ感染のストレスのなか、たいへんお疲れさまでした。私は生中継はほとんど見ず…

感動は How much?

なにかのオリンピックで、スタンドにいた日本人観客が「感動をありがとう」という手書きのボードを並べて掲げていました。 それを見た瞬間、私は気づいてしまったのです、かねがねあやしく感じていた「感動をありがとう」なる定型句は、試合の結果に関係なく…

大原扁理『年収90万円でハッピーライフ』

年収90万円でハッピーライフ (ちくま文庫) 作者:扁理, 大原 筑摩書房 Amazon 高校卒業して進学も就職もせず、バイトで貯めたお金で世界一周した後、東京・国立駅から徒歩20分──私のジョギング圏内ですから、すれちがってるかもしれません──の家賃2万8千円…

『ぼくはお金を使わずに生きることにした』

ぼくはお金を使わずに生きることにした 作者:マーク ボイル 紀伊國屋書店 Amazon 毎夜、絶世の美女とエッチして生気を吸い取られていく男。変だと思った第三者が覗いて見ると、男と一緒にいるのは亡霊となった女の腐乱死体であった……なんて怪談ありますよね…

文明は幸せか?

わたしが尋ねたいのは、文明の生活と自然の生活のうちで、そこで生きる者にとって耐えがたいと感じられる生活はどちらだろうかということなのだ。わたしたちの周りを見渡してみよう。生活の苦しさを嘆く人ばかりではないだろうか。自分の一存で決めることが…

独占したがる人たち

久しく狩猟採集社会について直接書いてないので、今朝考えていた雑感をメモします。 ★ ★ ★ 狩猟採集民は平等分配することで知られます。熱帯の森に暮らす人から厳寒のイヌイットまで共通する特徴です。(ほかにも、リーダーがいないとか、いくつか共通点があ…

「ファシズムの今日的状況」

21世紀日本。国民は政治に無関心です。ナショナリズムを煽る権力者やそれに応える人々、排外的なムード、反対意見を聞くことなく数の力で悪法を押し通す政権、政治家に忖度する官僚……なんだかファシズム的な状況だなと感じていますが、まさに「ファシズムの…

丸山眞男「政事の構造」

最近、丸山眞男にハマっているのです。学生のころは政治や政治思想にも興味がなかったから不思議なことです。狩猟採集社会と現代人間社会を比較しているうちに、哲学、経済、日本の歴史や政治史などに興味が拡がっていきました。丸山について何度かに分けて…

犬の雑学、3つ。

今年読んだ本のなかから、印象に残った犬の話を3つメモ。ちなみに、犬は人間が最初に飼った動物です。オオカミが家畜化されたのは1万5千年くらい前と言われています。 その1……警察犬は何を嗅いでいるのか? まずは問題です。《足跡追求能力を特別な訓練…

コロナとオリンピックとつぎつぎになりゆくいきほひ

私、日本はコロナを封じこめたはずだと思うんです。島国ですから。台湾やオーストラリアやニュージーランドは新たな大きな波の発生を抑えています。 ウイルスは人とともに移動する。だから人の動きを止めればいい。──大昔からの常識です。ところが、昨年1月…

西丸震哉『さらば文明人』

古本のワゴンで拾った本『イバルナ人間』で西丸震哉に興味を持ったんです。西丸氏は文明人批判するのに原始人を引き合いに出すんですが、どんな非文明人を見てきたのか、まずは『さらば文明人──ニューギニア食人種紀行』(角川文庫)を読んでみました。 結果…

横山百合子『江戸東京の明治維新』

江戸東京の明治維新 (岩波新書) 作者:横山 百合子 発売日: 2018/08/22 メディア: 新書 日本の階層社会を検討するためには近世や近代について考える必要があります。日本人の文化や意識は千年以上連綿と続いてきたもの、江戸や明治になって生じたものもあり、…