狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

大原扁理『年収90万円でハッピーライフ』

高校卒業して進学も就職もせず、バイトで貯めたお金で世界一周した後、東京・国立駅から徒歩20分──私のジョギング圏内ですから、すれちがってるかもしれません──の家賃2万8千円の風呂付きワンルームに住み、週休5日の自称隠居生活。

いまは台湾にいるのかな? コロナで台湾に戻れなくなり日本にいるんだっけ?

「大竹まことゴールデンラジオ」にゲスト出演したとき、「日本では知り合い以外はみんな他人だけど、台湾は自分と他人のあいだに何段階かあって、友だちじゃなくても声をかけてくれたり助けてくれたりする」みたいなことを言っていたのが印象的でした。

おっと脱線。本を読むかぎり大原氏は積極的に多くの人とコミュニケーションを持つタイプではありません。読書や散歩を趣味とし、冷暖房を使わず、自炊し、多摩川で野草をとっています。学生時代は両親との関係や学校でのいじめに悩んでいたとありますし、性的マイノリティでもあるそうです。きちんと働けという人もいるかもしれませんが、毎晩バリバリ仕事して、帰りにみんなと焼き鳥食うみたいな生活だけが人生ではないよなあ。

食事法など私の考え方と異なるところは多々ありますが、当人がよければそれでいい。彼は気候変動とか脱成長とかのための年収90万円生活ではないでしょうけど、まったくかまいません。きちんと頭で考えて自律的に行動しています。ここが重要です。

その昔、男はいい大学に行っていい企業に入って28歳くらいで24歳くらいの女と結婚して3人子供をつくるのが社会的成功のレールで、そこから脱線したらアウトだと、なんとなく思われていましたよね。でも、大原氏は大学に進まず企業にも属せず、アクティブとはいえませんが、それでも日々楽しそうです。いいんですよ、幸せならば。資本主義の周辺にいたら、搾取されることも、搾取することも少ないし。

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以下、脱線。この本で多用される1行アキ、必要なんでしょうか。ブログの書き方の延長なのかなあ。解説の小島慶子さんの文章はぎっしり詰まっていて、例の口調が乗り移ったような文章だからマシンガンにダダダダダ……と連射されているよう。本編と解説の文体の違いに面食らった私。