狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

狩猟採集社会と現代社会、平等と不平等

『Humankind 希望の歴史』

Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章 作者:ルトガー・ブレグマン 文藝春秋 Amazon Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章 作者:ルトガー・ブレグマン 文藝春秋 Amazon スティーブン・ピンカーは統計を操作し「人…

J・S・ミル『自由論』

自由論 (光文社古典新訳文庫) 作者:ジョン・スチュアート ミル 光文社 Amazon J・S・ミル『自由論』(1859)を再読する気になったのは、この本に照らして日本がどのくらい酷いかを確認するためでした。今回は光文社古典新訳文庫を読みました。 内容をひと…

栗原康『はたらかないで、たらふく食べたい』

はたらかないで、たらふく食べたい 増補版 ――「生の負債」からの解放宣言 (ちくま文庫) 作者:栗原康 筑摩書房 Amazon 1ヶ月ほど前、NHKラジオの高橋源一郎「飛ぶ教室」に栗原康がゲスト出演しました。栗原氏も(高橋氏もですが)私と同じタイプだとすぐにわ…

『その農地、私が買います』

その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱 作者:高橋久美子 ミシマ社 Amazon 高橋久美子『その農地、私が買います』(ミシマ社)を通読。著者がなにかのラジオに出演されていたので知っていました。父親が売って太陽光パネルに覆われることになった愛媛…

『緑の哲学』

緑の哲学 農業革命論: 自然農法 一反百姓のすすめ 作者:福岡正信 春秋社 Amazon 服部文祥『お金に頼らず生きたい君へ』に、福岡正信『緑の哲学』が出てきたので、積ン読本からを見つけて読みました。 冒頭から面白い。 脱学校や脱道路を唱えたイリイチ(イリ…

服部文祥『お金に頼らず行きたい君へ』

お金に頼らず 生きたい君へ: 廃村「自力」生活記 (14歳の世渡り術) 作者:服部 文祥 河出書房新社 Amazon 1ヶ月ほど前に、服部文祥『お金に頼らず生きたい君へ』(河出書房新社)を読みました。 限界集落の廃屋と3000坪の土地を20万円で購入し(固定資産税は…

人材ぎらい……『学びの本質を解きほぐす』2

学びの本質を解きほぐす 作者:池田 賢市 新泉社 Amazon 「人材」「人的資本」「生産性」なんて単語を苦々しく見ていましたが、先史社会のことを考えるうち嫌悪感が増しました。現代人は人格全てが資本主義に取りこまれているみたいです。人間は材料でも資本…

『学びの本質を解きほぐす』1

学びの本質を解きほぐす 作者:池田 賢市 新泉社 Amazon 私はただいま57歳。微分積分とか三角関数とか、仕事上不必要なこともあり、私はいまだに理解していません。数学は崇高な学問と認識していますが、高校の数学を「ちゃんとやっておけばよかった」と後悔…

将基面貴巳『反「暴君」の思想史』と神宮外苑

反「暴君」の思想史 (平凡社新書) 作者:将基面 貴巳 平凡社 Amazon 先日書いた将基面貴巳『従順さのどこがいけないのか』(ちくまプリマー新書、2022刊)は、『反「暴君」の思想史』(平凡社新書、2002)を若い人向けに書いた本だとあったので、しばらく前に…

憲法第24条解釈のミスリード

今月10日の自民・世耕弘成議員の発言(→NHK)です。 (略)憲法24条の「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」という規定と同性婚の関係をめぐっては「今の憲法を読むかぎり、同性婚は認めていないのではないか」 世耕氏のみならず、自民党議員ならびに…

性的マイノリティの差別発言について

ちょっと仕事が忙しく、読んだり考えたりしていることをアウトプットできない日々。ただ、以下のことはメモ代わりに書いておきます。 ★ ★ ★ 一週間前の話。夜中、TBSラジオ「アシタノカレッジ」を聴きながら走っていると、澤田大樹記者がすごいニュースが飛…

島田雅彦『パンとサーカス』

パンとサーカス 作者:島田雅彦 講談社 Amazon 島田雅彦『パンとサーカス』読了。550ページの長編エンタテイメント小説でした。作品に書かれたテロリズムが安倍晋三元首相の銃殺を連想させるのか、事件後、よく読まれているらしい。 パンとサーカスとは、2世…

『従順さのどこがいけないのか』

従順さのどこがいけないのか (ちくまプリマー新書) 作者:将基面 貴巳 筑摩書房 Amazon 狩猟採集生活を知って驚いたことの一つは階級がないということです。リーダーさえいません。親も息子や娘に向かって「大人に従え」とは言いませんし、体罰もないようです…

『コン・ティキ号探検記』

コン・ティキ号探検記 (河出文庫) 作者:トール・ヘイエルダール 河出書房新社 Amazon 島泰三『魚食の人類史』で、簡単に魚が獲れる例としての話が出て来たので、ヘイエルダール『コン・ティキ号探検記』(河出文庫)を読みました。その昔、子ども向けの本を…

『魚食の人類史』

魚食の人類史: 出アフリカから日本列島へ (NHK BOOKS) 作者:泰三, 島 NHK出版 Amazon 島泰三『魚食の人類史』(NHKブックス)は、霊長類としての人間のニッチ(他種と競合しない食べ物)は魚であるということを前提に、人類史を俯瞰する一冊でした。島氏はサ…

『ぼくは猟師になった』

ぼくは猟師になった (新潮文庫) 作者:千松 信也 新潮社 Amazon 私もいずれ罠猟をしながら生活できないかと夢想しています。 千松信也『ぼくは猟師になった』(新潮文庫)を読みました。著者がどうやって罠猟を始めたのか、どんなふうに猟をしているのか、が…

『ギフトエコノミー』

ギフトエコノミー ―買わない暮らしのつくり方― 作者:リーズル・クラーク,レベッカ・ロックフェラー 青土社 Amazon たった100〜200年の間に、産業主義・資本主義は指数関数的な人口爆発を生み、過去にないスピードで環境を破壊してきました。労働者や貧しい国…

『大衆の反逆』

大衆の反逆 (ちくま学芸文庫) 作者:オルテガ・イ ガセット 筑摩書房 Amazon 大衆の反逆 (岩波文庫) 作者:オルテガ イ ガセット 岩波書店 Amazon 読まなきゃ読まなきゃ、と思っていたオルテガ・イ・ガゼット『大衆の反逆』を一週間ほど前に読了しました。オル…

BS特集 極北に生きる親子三代 イヌイットの日本人家族

バタバタ続きで、読んだり見たりしたことをなかなか記録できていません。『BS特集 極北に生きる親子三代 イヌイットの日本人家族』の話も、再放送前には書こうと思ったんですが、再々放送の前日になってしまいました。【NHK BS1 2022年12月26日(月)10:00~…

ネパール唯一の狩猟採集民ラウテ

いろいろあってサボッていた、放送大学の講義をやっつけています。 稲村哲也・池谷和信「フィールドワークと民族誌」全15回のうち、今夜、第3回と第4回を視聴し、小テストを解きました。人類学の、フィールドワークの実践について語る授業です。 第4回は…

『脱学校の社会』

脱学校の社会 (現代社会科学叢書) 作者:イヴァン・イリッチ 東京創元社 Amazon イヴァン・イリイチ『脱学校の社会』(東京創元社)を読みました。原著は1970年刊行。(東京創元社の表記では、イリッチですが、イリイチに統一します。原題は、Deschooling Soc…

家族と分配

人類史のなかの定住革命 (講談社学術文庫) 作者:西田 正規 講談社 Amazon 引きつづき、西田正規『人類史のなかの定住革命』について。良い本ですが、定住に関する前半の記述についてはいろんなところで読んだので、途中まで確認という意味合いが強かったんで…

西田正規『人類史のなかの定住革命』

人類史のなかの定住革命 (講談社学術文庫) 作者:西田 正規 講談社 Amazon 好著でした。 西田正規『人類史のなかの定住革命』(講談社学術文庫)を通読。著者は人類学者で筑波大学の名誉教授、1986年刊の本を2007年に文庫化したものです。何かの本で知って購…

知里幸恵『アイヌ神謡集』

NHK 100分 de 名著 知里幸恵『アイヌ神謡集』 2022年 9月 (NHKテキスト) 作者:中川 裕 NHK出版 Amazon 書き忘れていましたが、知里幸恵を扱ったNHKの100分de名著「アイヌ神謡集」を見ました(→名著123「アイヌ神謡集」知里幸恵 - 100分de名著)。 ア…

『戦争の起源』第一章

戦争の起源 (ちくま学芸文庫) 作者:フェリル,アーサー 筑摩書房 Amazon アーサー・フェリル『戦争の起源』(ちくま学芸文庫)の第一章「先史時代の戦争」を読みました。ロシアによるウクライナ侵攻の関連本として書店に置かれているのではないでしょうか。第…

『西太平洋の遠洋航海者』は解説までが読書です

西太平洋の遠洋航海者 (講談社学術文庫) 作者:ブロニスワフ・マリノフスキ 講談社 Amazon B・マリノフスキ『西太平洋の遠洋航海者』(講談社学術文庫)やっとこさ読了。 人類学の古典でありますが、何度も途中で放りだしては、別の本に浮気していました。 …

エリザベス女王の国葬

雑感です。エリザベス女王の功績を否定するわけではありません。 亡くなった女王の棺が安置されたウェストミンスターホールに弔問するため、多くの人々が並んだそうです。最大、24時間待ちだったとか。 イギリス国民はきちんと行列待ちする人たちであると読…

川越宗一『熱源』

熱源 (文春文庫) 作者:川越 宗一 文藝春秋 Amazon 文庫化された川越宗一『熱源』を読みました。2019年下半期の直木賞受賞作です。アイヌが主人公というので気になっていたんです。 ★ ★ ★ 尾本惠一『ヒトと文明』(ちくま新書)によると、狩猟採集民は3種類…

初の女性棋士、誕生なるか?

プロ編入試験がスタート 里見香奈女流五冠のプロ棋士編入試験が本日スタートしました。男性プロ棋士5人と対局して3勝すれば、史上初の女性プロ棋士が誕生します。 羽生善治九段や藤井聡太五冠ら将棋のプロは男性しかいなません。女流棋士と呼ばれる女性は…

『パラサイト 半地下の家族』

あたくしが会社勤めをしていたときによく行った中華料理屋の話です。20代のお腹すきすきマンだった私は、「チャーハンとラーメン」と頼むことがありました。店主のおじさんが「今日は半チャンラーメンの日じゃないんだよ」と必ず返します。 店に日替わりのサ…