狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

ネパール唯一の狩猟採集民ラウテ

いろいろあってサボッていた、放送大学の講義をやっつけています。

稲村哲也・池谷和信「フィールドワークと民族誌」全15回のうち、今夜、第3回と第4回を視聴し、小テストを解きました。人類学の、フィールドワークの実践について語る授業です。

第4回は、ネパール唯一の狩猟採集民ラウテの話題でした。季節により、標高800〜1600mを上下する遊動的狩猟採集民で、サルしか狩猟しない130人くらいの集団らしい。森の木を伐採して木工品を作り、農耕民と物々交換するそうです(池谷氏は、日本の木地師との共通性を見いだせるかもしれないと言います)。交易で獲得する穀物が主食という珍しい狩猟採集民です。

サルしか獲らない理由を彼らは「昔からこうしてきた」と言うだけ。稲村氏は、ヒンドゥ教では食べてはいけない動物であると同時に、畑を荒らす厄介な存在であるサルを駆除することで、ラウテは農民と共生しているのではないかと推測しています。

1996年、マオイスト(毛沢東主義派)が擡頭し、ネパールは内戦状態になりました。彼らの主張は、多言語・他宗教、王制廃止、カースト廃止、男女平等、マイノリティ・先住民保護、連邦制、資源の再配分、家父長制の変更など。

マオイストの主張が広まると、ラウテは「ネパール唯一の狩猟採集民」として注目され、政府や海外から支援を受けるようになります。物々交換で暮らしていたのに、貨幣経済に組み込まれていきました。そのおかげで、子供はお菓子を、若者は酒を、大人は煙草の味を覚え、木工品の品質も落ちました。とはいえ、彼らは自分たちの価値が「狩猟採集民であること」を知っていて、その生活をやめないだろうと、稲村氏は言いました。

ただ、この講義は2017年のものです。それから5年、今はどうなっているか検索すると……。

上記リンクのブログで知ったのですが、BBCニュースのネパール版2021年11月23日によれば、ラウテは潤沢な援助で得るお金で子供のころから酒浸りになり、存続が危ぶまれているとのこと。なんだか、泣けてきちゃいます。