狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

服部文祥『お金に頼らず行きたい君へ』

1ヶ月ほど前に、服部文祥『お金に頼らず生きたい君へ』(河出書房新社)を読みました。

限界集落の廃屋と3000坪の土地を20万円で購入し(固定資産税は年1万円)、家を修繕し、山から水を引き、最小限のソーラーパネルを設置し、狩猟や栽培をしながら極力カネを使わない生活をしてみた著者。とはいえ、服部氏は横浜に家族が暮らす二拠点生活で、山と溪谷社に勤めて原稿収入もあるので「しょせん趣味じゃないか」と読んでいましたが、あとがきによると会社を昨年辞めたそうです。

土間をつくる場面があります。母方の実家にも土間があったっけ。火を使う場所だから、不燃物を床にしたんですね。土・石灰・にがりの3つの材料を混ぜて叩くから「三和土」というんだそうです。知らなかった。

なぜそういう生活をするのか。服部氏は本質的なことを書きます。

日本は法治国家というより経済国家なのだ、と気がついて、自分の中でいろいろなことの筋がスッと通った。今の時代の国家とは経済活動でつながる集団のことかもしれない。少なくとも日本では、人命や生活の質(と私が考えるもの)より、経済効率が優先されている。

私たちはカネを稼いだり使ったりする世界を当たり前だと思っていますが、貨幣経済なんて歴史上つい最近始まったものです。大昔の人がタイムスリップして現代に来たら、きれいな絵が描かれたお札を奪い合う人びとを不思議に感じることでしょう。……と、気づいたのも狩猟採集民のレポートを読んでからです。

私の問題意識とも重なります。さて、老後をどう生きるか。