狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

『緑の哲学』

服部文祥『お金に頼らず生きたい君へ』に、福岡正信『緑の哲学』が出てきたので、積ン読本からを見つけて読みました。

冒頭から面白い。 脱学校や脱道路を唱えたイリイチ(イリッチ)とも通じる思想です。

《私の自然農法が早く理解され、国民皆農が実践されるようになれば、私の理想国家の夢も実現するのだが、そのためには、為政者の社会機構の改革が断行されねばならない。》

《人々が、車や飛行機を乗り回し、あくせく働いても、何の意味もなかったことを知り、自分が生きるだけの食物を作り、食っちゃ寝、食べちゃ寝るだけの生活に満足するようになれば、すべては一挙に氷解する。/そういう村づくり、国づくりでできた理想の国では、宗教家や政治家、兵隊はいらない。》

初刊は1972年だから、おや、と首をかしげるところもあります。たとえば、《西欧の狩猟民族の血》が彼らを凶暴にし、《農耕民族として発達してきた》日本人は穀物を主食として温和な性質になった──なんて記述はまちがいです。日本は温暖で食うものが多かったので、農耕をはじめたのはヨーロッパに比較してむしろ遅いんです。

戦争や人口爆発や飢饉が起きたのは農耕以降とされます。しかし、カネにふりまわされて疲弊する都市生活より、一反(50Mプールくらいの広さ)で自然農法するほうが暮らしやすいんじゃないでしょうか。日本は昭和中期に減反をし、東北の出稼ぎ労働者をインフラ整備やオリンピック・万博のために使いました。つまり、資本主義のため食糧自給率を下げたんです。岸田政権はまるで戦争したがっているようですが、中国との貿易がストップすると、多くの日本人は餓死するでしょう。

福岡氏のいう「緑肥草生、米麦連続不耕起直播」とは、土を耕さず、クローバーの種と陸稲(または麦)を土の上に播く自然農法らしい。ほんとにうまくいくのか、実践したくなります。ラン友だちの一人が数年前から無農薬で農業をしているんですよね。彼女にインタビューしなきゃ。