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矮小化される、国連人権理事会の会見

今年8月4日に行われた、国連の人権理事会作業部会の記者会見。10日ほど経ちましたが、どうやらこの会見が軽視されているというか、矮小化されているようです。ぜひとも全部見てほしくて、リンクしました。

かねてより、国連の人権理事会がジャニーズの性加害について調査すると報じられていたので、私もそのつもりで見ていたのです。ところが、会見開始から1時間以上、当該問題に触れません。

彼らが2週間近くかけて調べたのは、「ジャニーズと人権」だけでなく、日本まるごとの「ビジネスと人権」に関する問題でした。順不同で書きますが、男女の賃金格差、LGBTQ+、障碍者、先住民アイヌ、被差別部落、技能実習生、ヘイトスピーチ、裁判官の人権意識の低さなどを列挙、これでもか、と差別問題を指摘しました。廃炉作業員が多層下請け問題(五層の中抜きが行われているという)や健康被害についても話しました。日本には性的ハラスメントを不問に付す文化があるとも話しました。ああ、恥ずかしい。ジャニー氏の性加害問題は日本に蔓延する「ビジネスと人権」における不平等・差別・人権意識の欠如が起こし、見過ごされてきたというわけです。

政府から独立した人権機関を設置すべきだと、彼らは提言しました。与党政治家の記者会見に馴れている私は、「頭のいい人の会見を久々に聴いたなあ」と感じました。

日本の報道機関は差別を問題視してこなかったと指摘されています。しかし、せっかく第三者の視点から日本社会の差別的構造を指摘されたのに、会見後の質問はジャニーズ問題に終始するのです。「政府から独立した人権機関のモデルとなる国はどこか」くらいの問いかけができないものでしょうか。

もちろんジャニー氏の性加害は大問題ですけど、あちこちで起きている人権意識の低い問題を長年放置していたから起きたとも言えます。言い換えれば、これをジャニーズとタレント「だけ」の問題に矮小化すると、同じような事件が起きてしまいます。

彼らの声明を日本の「ビジネスと人権」問題として報道した大手メディアはほとんどなかったのではないでしょうか? 松野博一官房長官はこの会見について訊かれ、「法的拘束力を有するものではない」とかわしました。つまり、現状のまま行くんでしょう。

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12日にこんなニュースが流れてきました。

8年前、東京・表参道の宝石店でおよそ1億円分の宝石が奪われた事件をめぐり、イギリスの裁判所は、警視庁が国際手配していたイギリス国籍の男の、日本への引き渡しを認めないとする判決を言い渡しました。

日本の捜査機関による取り調べで人権侵害を被るおそれが拭えないなどとしています。

記事によると、自白強要を迫る日本の取り調べにより容疑者の人権が侵害されかねないとロンドンの裁判所が判断した模様。これ見て、国連人権理事会の会見を思いだした次第です。