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テロと民主主義

2022年7月8日午前11時半ごろ、奈良市・大和西大寺駅近くで応援演説していた安倍晋三元首相が銃で撃たれたと報じられました。ニュースを聞いて最初に感じたことは「司法が機能していればこんなことにならなかったのに……」でした。

暴力による言論封殺は絶対に許されません。私は政治家としての安倍氏を評価しませんが、だからといって暴力が肯定されるはずがありません。これを書いている14時45分現在、安倍氏は心肺停止と言われています。回復を願っております。

テロ行為は民主主義の否定です。Twitter などを見ると、野党のリーダーが「暴力による言論封殺は許されない」という言葉が溢れています。私も同意見です。たった今、岸田文雄首相が記者会見をし、同様のことを発言しました。

しかし──とも思うのです。ここ10年ほどのあいだ、民主主義は破壊されつづけ、暴力による言論封殺が起きていたのではなかったか。

  • 憲法違反といえる重要法案を、熟議抜きに、強行採決で通した。
  • 国会で平然とウソをつき、時間を空費した。論理的に質問する野党を冷笑した。
  • 政府は学問や知性や科学をバカにしてきた。
  • とくに日本学術会議の任命拒否問題では、きちんとした説明もなく、政府批判をする学者を排除した。
  • 野党に要請されても臨時国会を開かなかった。
  • 官邸に反対する官僚を飛ばした。
  • 安倍氏に近しい人たちは逮捕状が出ていてさえ、逮捕されなかった。
  • 与党政治家は女性差別やLGBTQ差別を繰り返した。批判されたら「誤解を招いたとしたら申し訳ない」と、相手が誤解したような弁解をした。
  • 都合の悪い公文書は破棄したり改竄した。
  • 諸問題の第三者委員会がお手盛りの結論を出した。
  • 三権分立が機能しなかった。検察は与党の諸問題を追及せず、裁判所は政府に都合のいい判決を出した。
  • 自民党の応援演説に野次を飛ばした人を排除した。

思いつくまま挙げましたが、私は、そういったことごとも暴力による言論封殺で、民主主義への裏切りだと思うのです。それらの問題に対し、メディアや多くの人々は「絶対に許されない」と声を上げてきたでしょうか。先日、「野党の話を政府は聞かない」と山際大志郎大臣が発言したそうです。野党に投票した有権者を切り捨てる反民主主義的な考え方ではありませんか。すでに民主主義は壊れているのではないか……。

いやいや、いくらしんどくても、われわれは力に拠ることなく、あくまで話し合うべきです。今回の事件で国民に対する監視が強化され、自由が一層制限されるかもしれません。なにかと暗澹たる気分になってしまいます。

あらためて、安倍氏の回復を願っております。

【追記】=夕方、安倍晋三元首相の訃報が流れました。ご冥福をお祈りします。