藤井聡太四冠(19歳)が、渡辺明王将(37歳、三冠)に挑戦する第71期王将戦七番勝負が1月9日から10日にかけておこなわれました。
画像は、毎日新聞の王将戦特集ページより。
終局するのは2日目ですから、1日目はのんびり見ていたんですが、藤井四冠の▲8六歩にはおったまげました。
8七にあった歩をひとつ上に上げたのです。将棋がわからない方には「???」でしょうけど、こんな手、アマ3、4級くらいになれば、あまりに筋が悪すぎて、頭に浮かぶことさえありません。野球にたとえるなら、利き腕にグラブをはめたり、バットをさかさまに持つようなものです。
ネットニュースを見ると、副立会人・神谷広志八段は「なんだこれは! えー、うそでしょ!」と言い、立会人・森内俊之九段(十七世名人)も「何が起きたか分からないぐらいの衝撃。初心者が指したら“何だ、この手は”と怒られそう」と驚いたらしい。そりゃそうでしょう。
2日目の19時頃、ジョギングを終え、歩きながら棋譜をチェックすると、難解な終盤戦になっています。トップ棋士同士でも1分では読み切れないでしょうから「指運」が勝敗を左右した面があったかもしれません。最後、藤井四冠がきちんと詰みを読み切りました。
「名人に定跡なし」とは言うけれど、ほんと、将棋の常識を覆すなあ。今年も藤井四冠の指し手が楽しみです。