ここ数日、小雨が続いています。多摩川の土手の舗装路など、歩行者やランナーが多いので避けていましたが、雨だと人が少なくて走れます。信号がなくて気持ちいい。写真は、私のジョギングコースに誰かが貼ったメッセージです。
★
ところで──あちこちから聞こえる「新しい生活様式」って何?
厚労省HP(→こちら)には「人との間隔はできるだけ2m(最低1m)空ける」「遊びにいくなら屋内より屋外を選ぶ」「会話をする際は 、可能な限り真正面を避ける」などとあります。
なんだなんだなんだなんだ? 大きな違和感を覚えます。
私だって感染しないように以後も気をつけます。それが厚労省のいう「新しい生活様式」と合致するかもしれません。でも、政府がライフスタイルを提言するのは奇妙です。少し前、「ゴミ収集作業員の方はコロナ感染のリスクがあるなか働いてくれている。ゴミ袋に感謝の気持ちを書きましょう」と発言した大臣もいました。こちらも大きなお世話です。個々人が感謝の意を表明するのはよいことですし、市民が「エッセンシャル・ワーカーに感謝しましょう」とみんなに呼びかけるのもかまいません。でも、大臣が発信するのはお門違いです。
「新しい生活様式」って小説や映画に描かれる戦時下の様子に似ていませんか。
国民の心情も似通っています。自粛警察とかコロナ自警団と言われる人たちは隣組にそっくりです。「みんな自粛しているさなか営業しているパチンコ屋がある。通報しろ」「他県ナンバーのクルマがある。国賊だ、非国民だ」……。卒業旅行や帰省した人物を犯罪者呼ばわりし、名前を特定してさらす人もいるようです。法律に抵触していなくても自分たちの規範からはみ出したら、警察でもないのに叩く。「お上の要請には言わず従え」って正義感から発せられるんでしょうか、それともただの奴隷根性?
今の状況から類推するに、戦時下って案外みんな嬉々として工夫しながら生活していたんじゃないかと思えてきます。ランニングTシャツでマスクをつくる動画がありましたが、あれ、着物をほどいてモンペをつくるのに似ていませんか。
SNSで「ブックカバーチャレンジ」とか「おうちで筋トレ」なんてのが流行りました。私は違和感を覚えます。戦時下だからもしくはコロナ禍だから、「お上の要請に自らすすんでコミットします」と宣言しているみたい。私は参加しません。
いま、政府がやるべきことはライフスタイルを提案することではないのです。
自粛要請を的確に出したり解除すること。そのためにもスピーディに休業補償や生活補償をすること。PCR検査や抗体検査をどんどんやって感染者を隔離すること。
さらに、どういう条件だと感染しやすいか、科学的に例示することです。病院、介護施設、家庭内、ライブハウス、飲食店、スポーツジム、クラブなどがクラスターになったことはわかっています。富山の小学校で感染した例がありました。休む・休まないで話題になったパチンコ店で感染した人はいたんでしょうか? クルーズ船、タクシー、新幹線、飛行機、屋形船で感染したという報道は見ましたが、日々の満員電車はどうなのか? 映画館や劇場は? ドアノブを触ったことをきっかけに感染することはあるの? お札や硬貨は大丈夫? ランナーから感染した例はあるの?……きちんと情報が開示されれば、ひとりひとりが「自分の生活様式」を選択します。