狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

新型コロナウイルス雑感

新型コロナウイルスがひたひたと迫ってくる感じです。

3月29日、志村けんが死んでしまいました……。私の世代だと、彼が「見習い」のころから知っているはず。私はもうほとんどテレビを見てないのですが、志村が現役でテレビに出ていたことは知っています。最近は芸人もいろんな顔を持ちますが、志村けんはコメディアンとして人生をまっとうしましたね。

阪神の選手、サッカーの酒井高徳選手、脚本家・宮藤官九郎らの有名人も感染、本日は梨田昌孝・元楽天監督の陽性がニュースとなりました。私の知り合いも勤務している会社内で感染者が出たため在宅ワークを余儀なくされています。

ちょっと気になっているのですが……。

京都産業大学と県立広島大学の学生が卒業旅行をして感染したことがバッシングされています。私には強い違和感があるのです。同じことを感じている方がいらっしいました。

3月初め、ヨーロッパでの感染はイタリア以外はあまり話題になっていなかったのです。「日本にいるより大丈夫だよね」と感じたとしても不思議はありません。県立広島大学では1月23日、2月4日、3月4日の3度にわたって渡航自粛要請をしているそうですが、報道によれば、《「1、2回目は中国への渡航の中止を求めるものでしたが、3月については『渡航先を問わず、海外旅行を自粛してください』といった内容です。全学生に一斉メールで送信しました」(同大総務課)》とのこと(→日刊ゲンダイDIGITAL)。すなわち、中国以外の渡航自粛を呼びかけたのは同校の学生が旅行に行く前日だったのです。

それでも取りやめるべきだったという人もあるでしょう。

でもですよ、それほど深刻な状況にあったんだとしたら、空港の検疫はなにをやっていたのでしょう。Twitterなどを見ると、その後の世界的な感染拡大を受け、「日本に戻ったさいは長時間隔離されるんじゃないかと心配していたけど、すんなり入れた」みたいな投稿がたくさんあります。検査体制は充分だったといえないのではないでしょうか?

日本には《世間》というものがあり、相互監視している、と阿部謹也が書いています。警察のほかにポリコレ棒を振り回す《世間》が「バカやろう、卒業旅行なんて行くからだ」と怒るのです。リンクした記事の「実名報道して罰すべき」なんて書き込みが本当にあるのだとしたら、卒業旅行をした人は具合が悪くても検査を躊躇するかもしれません。

政府とメディアは科学的知見に基づいて情報をきちんと発し、検査の間口を拡げるべきです。オリンピックを開きたい、補償に金をかけたくない、などといった政治的バイアスを持ち込んではいけません。「若者は家にいろ」「年寄りこそ出歩くな」といった分断をつくらないように努力すべきです。

どんな事情であれ、感染した人にかける言葉は、

「お大事に。早く良くなってください」

──これじゃないの?

「世間」とは何か (講談社現代新書)

「世間」とは何か (講談社現代新書)

  • 作者:阿部 謹也
  • 発売日: 1995/07/20
  • メディア: 新書