狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

藤井聡太七段、最年少タイトル挑記録更新!

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やりました! 藤井聡太七段。

棋聖戦挑戦者決定トーナメント決勝戦で永瀬拓矢二冠(王座・叡王)を破り、タイトル戦の史上最年少記録を更新しました。屋敷伸之四段(現九段)が17歳10ヶ月24日を4日更新したのです(羽生は19歳0ヶ月22日)。昨年7月、竜王戦決勝トーナメントで豊島将之名人に敗れ、やはり昨年の11月、王将戦挑戦者決定戦で広瀬章人竜王に劇的な敗戦を喰らい、タイトル挑戦を果たせませんでした。今回、おそらく将棋連盟が最年少記録が可能な過密日程を組んだと思われますが、6月2日の準決勝と4日の決勝に勝利し、ほんとうにタイトル挑戦を達成してしまいました。

永瀬二冠は27歳。若手の実力者です。

本局は永瀬二冠の研究手順だったようです。正直、少し勝ちにくい将棋かなあ、と眺めていたんです。AbemaTVで解説しているプロ棋士も永瀬持ちでしたし、私ふくめアマチュアも攻め込んでいる永瀬がよく見えたと思うのです。しかし、AbemaTVで映し出されているAIの評価値は、不気味なことにほぼ互角。対局者同士は「自分が有利だ」と思ってなかったのではありますまいか。受け続けていた藤井が夕方やっと反撃し、残り時間を多く残していた永瀬が長考に沈みます。

永瀬に緩手があったらしく、藤井が徐々にリードしたようです。

こういう、ギリギリの斬り合いをきっちり制す──。藤井将棋は、確実性を増しているように感じます。ついにタイトル挑戦という壁を突破しました。

コロナ騒動の自粛により日程に余裕がなくなっている将棋界、棋聖戦は来週の月曜日に開幕します。藤井時代の幕開けかもしれませんよ。

メレル・ベイパーグローブの感想。

MERRELL VAPOR GLOVE(メレル・ベイパーグローブ)というシューズを購入し、履いてみました。ヴェイバーって蒸気ですよね。気体みたいに走れるということかしら。ナイキのヴェイパーフライと名前は似てますが、全然コンセプトが違います。

メレルのサイトによる商品案内には

MERRELLベアフットシリーズの最薄モデル。足と地面がより近くなることで足裏の感覚を研ぎ澄まし、より「裸足感覚」を実感することができます。アウトソールはメレル専用のVibram®TC5+ソールを採用し、グリップ性にも期待できます。
(ヒール:6.5mm / つま先:6.5mm [0mmドロップ])

とあります。ファイブフィンガーズ、足袋、サンダルなどを試してきた私に打ってつけではありませんか。

ネットで衝動買いしたあとで「メレルには一度懲りたことがあった」と思い出しました。私は扁平足と間違われるほど足裏の筋肉が発達していて、土踏まずが盛り上がっているシューズを履くと、そこだけこすれてヒリヒリ痛むのです。

f:id:mugibatake40ro:20200604122909j:plain届いたシューズを見ると、やはり土踏まずは少し盛り上がっています。心配でしたが、結果的には問題ありませんでした。ご覧のようにぐにゃぐにゃです。

本日夕方、履いてみたところ、んんんんんん?

第一印象は「普通のシューズみたいだな」です。現在、私はルナサンダルかアシックス・ソーティマジックRPで走っています。無敵やToe-biやルナサンダルよりもソールが厚い。グリップもよく利きます。ベアフット系シューズだと思うと、少々物足りません。ゼロドロップのシューズでフォアフット着地の練習をしたい人、ベアフット系シューズを始めたい人にはおすすめです。

案外よく進みます。坂を上ってみたんですけど、ゆっくり走るつもりが自然に速くなり、ゼエゼエ息が荒くなってしまいました。13キロ走りましたが、さすがに10キロ過ぎて足はヒリヒリしました。ちなみに、本日はソックスを穿いて走りましたが、裸足で履けそうです。

ベアフット系シューズとしては不満もありますけど、おもしろいシューズなので、しばらくソーティマジックの代わりとして履いてみます。

🎵 ジュー年前がライバル〜(5月のジョグ)

ジョグばかりです。全部ジョグ。新型コロナウイルスの騒動のさなか白眼視されるランナーの一人として、ゼーハー、ヒーヒーせず、鼻呼吸で走れるペースにしています。雨の日や深夜を除いて多摩川堤の舗装路には歩行者やランナーがたくさんいるので、人の疎らな住宅地を走ります。信号待ちが多いけどしかたありません。人が見えたら首に巻いているネックゲイターを鼻にひっかけます。

足袋シューズ無敵もしくはルナサンダルを履いて、6:00〜6:30/kmぐらいのペースのゆるジョグか、シューズ(アシックス・ソーティRP)を履いて5:30〜6:00/kmあたりのジョグが中心です。ソーティを履いているときはなるべく坂道を選択しています。

ロング走はしていません。21kmが最高です。着替えを背負ってどこか知らないとこに行き、スーパー銭湯に浸かって一杯呑んで、電車で帰って来るという気儘な一人旅もやりづらい。

連休もあったというのに走行距離は312キロでした。

同世代のラン仲間の女性は今月700キロ走ったそうです。前年末、べつの女性ランナーがやはり700キロ走りました。みんなどんどん成長していくなあ……。私が400〜500キロ走っていたころは彼女たちが驚いていたものです(遠い目)。

いやいや、私のライバルは10年前の自分。「頑張ってサブ3.5の練習をしたら3時間45分くらいでは走れるんではないかいな」と考えていたころの私です(ネットですけど、11月のつくばマラソンでは3時間29分くらいで走れました)。

見直すと、ライバル(2010年の私)と今年の私の走行距離はこんなもんです。(端数切り捨て)

2010年(累計) 2020年(累計) 
1月 215km0(215km) 149km0(149km)
2月 208km0(423km) 251km0(400km)
3月 217km0(640km) 310km0(710km)
4月 240km0(880km) 250km0(960km)
5月 320km(1200km) 312km(1272km)
6月 302km(1502km) ---
7月 311km(1813km) ---
8月 310km(2123km) ---
9月 303km(2426km) ---
10月 312km(2738km) ---
11月 321km(3059km) ---
12月 316km(3375km) ---

なかなかええ勝負しとるじゃないか。今月は負けたばい。ちなみに、2010年の当月が初の300km越えでした。あのときはうれしかったなあ(ふたたび遠い目)。

あたりまえですが10年前より10歳老けてます。でも、あのころは闇雲に走っていて、フォームや練習法の知識は今より格段に少なかった。今はストイックさは足りませんが、経験や知識の蓄積があります。筋力が低下した感じもありません。見ててご覧なさい、私はまだ衰えてませんよ。

 🎵 ジュー年前がライバル〜、撃〜ち落とせラ〜イバル〜!

「オ、オジイチャン、年寄リノ冷ヤ水ナンジャナイノ?」
「出たな、謎のお姉ちゃん。姉ちゃんもわしも歳をとらんのだ。」
「ダッテ若イ人ハ『じゅりーガらいばる』ノ駄洒落ナンテ思イツカナイワヨ」
「ぎゃふん」
「ギャフンモ古イワヨ」
「むむむ………わかんねえだろうなあ………」

 

ブルーインパルス

昨日はビックリしました。SNSに航空ショーの写真が一斉にアップされました。そういえば、新型コロナウイルスに対応してくれている医療従事者に感謝をあらわすためにブルーインパルスを飛ばすと言っていたな、と思い出しました。雲の少ない青空に白いスモークを一直線に引きながら飛行したそうで、そりゃカッコよかったでしょう。

賛否両論を読むのは面白かった。

「都心だけ飛ばしてメディアに撮影させることで政府広報をやっているんだ」という批判がありました。たしかに23区中心を飛んでいますが、米軍が管理する広大な横田空域を避けたらああなるんだと思われます。ブルーインパルスはオリンピックの予行演習(あるいは代替飛行)という面もあるかもしれません。

「ブルーインパルスを飛ばして医療従事者への感謝になるのか」は、なるほど素朴な疑問です。アメリカでは4月にサンダーバーズがラスベガスの病院上空を飛んだそうで、そのあたりからの発想でしょう。「飛行機飛ばす費用を医療に回せ」もそうかもしれませんけど、経費はいつも練習している範囲内かもしれませんし、いくらかかったのかは私にはわかりません。

この時期、メディアが病院の屋上に入っていたのがすごい。それが自衛隊中央病院なんですから、自衛隊全面協力。やはり政府広報(プロパガンダ)かなあ。ネットのニュース映像を見ると、駒込病院の方々も喜んでおられたようです。

「医療従事者への感謝なのだから素直に受け止めよう。見てて感動したし」は、《目的が良いものだから良い》と感じるバイアスが働いているようにも感じます。いつも出す例ですけど「江戸しぐさはウソだけどマナーとしては正しいのだからいいじゃん」とか「アイラブユーを月が綺麗ですねと夏目漱石が訳したというのはウソだけどロマンチックでいいじゃん」みたいな。立派な歴史修正主義なんですが。

私は自衛隊のあのショーに反対というより──警戒しているのです。頭のなかにアラート音が響きます。理由は、飛行ショーが勇ましくてカッコいいからです。

政府が医療従事者に自衛隊のショーをもって感謝の意を表す。東京の多くの人がみんな同じほうを見て感歎する。あっという間にSNSに勇ましくてカッコいい画像や動画が拡散される。ニュースはその模様を無批判に全国放送で流す……。

ナチスに似た制服を着たアイドルグループが非難されたことがありますが、なぜそんなことをしちゃうかというと、ナチのあれこれが格好いいからです。制服はヒューゴ・ボスによるデザイン、軍用車はワーゲン、ヒトラー政権下はオリンピックをプロパガンダに利用し、ベルリンオリンピックを記録した映画『民族の祭典』(レニ・リーフェンシュタール監督)は傑作です。ソビエト連邦時代の、黒と赤を基調としたプロパガンダポスターも素晴らしいデザインでした。

国家による勇ましくてカッコいいものはいとも簡単に全体主義につながります。警戒しすぎるくらいでちょうどいい。

私は国家的行事は冷静に眺めています。メディアや国民が昂奮して一体化するのが怖いんです。生中継では見ていませんが、昨年の改元フィーバーはひどかった。オリンピックも海外でやってほしい。みんなが同じ行動・思考をして多様性を失うのは心配です。青空を眺めるのは気持ちいいけど、国民がみんなで見るなら私は下を向きます。町内会の祭りやカープの優勝なら楽しむけど国の祭りとなると身構えてしまいます。

安倍氏は勇ましい言葉をつかってカッコつけようとするからタチが悪い。安倍氏はショーを眺めるため、わざわざ参院本会議を退席して一緒に動画におさまっています(→Instagram)。やはり政府広報(プロパガンダ)なんだろうなあ。支持率が少しアップするかもしれませんね。

「はじめ人間ギャートルズ」最終回と「人間不平等起源論」

アニメ「はじめ人間ギャートルズ」(原作・園山俊二)は1974年10月5日から1976年3月27日まで放映されたそうです。面白かったり退屈だったり、不思議な味わいでしたが、今思えば狩猟採集生活を好意的に描いていたのだと感じます。かつて、映画や漫画に出てくる先史時代はムキムキ男が君臨する階級社会でしたから。

狩猟採集生活は、平和で、労働時間が短く、平等分配社会だと言われます。このアニメには石の硬貨や象形文字らしきものが出たりしますが、そこはご愛敬です。

ひとまず、ルソー『人間不平等起源論』の引用をお読みください。

ある広さの土地に囲いを作って、これはわたしのものだと宣言することを思いつき、それを信じてしまうほど素朴な人々をみいだした最初の人こそ、市民社会を創設した人なのである。そのときに、杭を引き抜き、溝を埋め、同胞たちに「この詐欺師の言うことに耳を貸すな。果実はみんなのものだし、土地は誰のものでもない。それを忘れたら、お前たちの身の破滅だ」と叫ぶ人がいたとしたら、人類はどれほど多くの犯罪、戦争、殺戮を免れることができただろう。どれほど多くの惨事と災厄を免れることができただろう。 

アニメ最終回「やつらの足音が聞こえた!の巻」(脚本・福富博)は、幼い私にある種の感動を与えたらしく、わりと覚えていたんです。あれはルソーの『人間不平等起源論』を下敷きにしたんじゃないかと、AmazonPrimeビデオで購入して昨晩見直しますと、果たせるかな、私の記憶以上に、ルソーなのでした。

最終回では──。(完全にネタバレです)

ある日、ギャートルズ平原にブンメーという男がやってきて、土地を自分のものだと主張、囲いをつくりました。ブンメーはゴリラを使い、土地を耕して種を播き始めます。ゴンの父ちゃんはブンメーに文句を言います。
父ちゃん「この平原はな、誰のものでもないんだ」
ブンメー「その通り。だから余が最初に名乗りを上げたんだ。今まで誰も自分のものだと言わなかっただけじゃ。今日からは余のものじゃ」
父ちゃん「そんな勝手な……」
ブンメー「それじゃあ、お前の住んでいる家は誰のものじゃ?」
父ちゃん「そりゃあ、わしの……」
ブンメー「誰が決めた?」
父ちゃん「………」

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昼間、ブンメーは畑の真ん中に建てた高い櫓からゴリラを監視。ブンメーが寝ているあいだもゴリラの労働者たちは徹夜で働き、囲いを拡大させていきます。

はじめ人間には彼らのやっていることが理解できません。「タガヤス」とか「シューカク」というブンメーの言葉はちんぷんかんぷんです。

夏。ブンメーはゴリラたちに言います。「さあ、者どもよ、暑さがなんだ。見よこの広大な大地を。やがてこの大地に満ちあふれる実りが訪れる。そのとき、そのときこそお前らはより一歩文明に近づくのじゃ。餓えの心配もなくいつまでも豊かに暮らせるのじゃ。ガハハハハ……ただしこのブンメーさまの命ずるまま働けばの話じゃがな。ワハハハハ」

はじめ人間たちは価値観の違う新参者を追い出そうとしますが、ブンメーに説得されて戦うのをやめます。秋まで手下となって働き、シューカクを待つと決めたのです。サル酒以上の酒を飲めませてもらえるらしいしね(麦酒?)。

ゴンやピー子ちゃんは抵抗します。

ゴン「あんなやつの言いなりになるのはイヤだよ。ぼくたちははじめ人間なんだ。(見る限り穀物だらけで)地平線も見えないこんな狭いとこ、ぼくはイヤだ」
ピー子ちゃん「ゴンの言うとおりよ。あんな高いところから見張られて窮屈な生活するなんて、わたしはイヤ
反対するふたりを説得したのは長老でした。秋を待て、と長老は言います。

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やっと秋。麦が実り、いよいよ明日収穫という日に、渡りマンモスの大群がやってきました。最初に気づいたのは長老です。コツコツ畑仕事に励んでいたはじめ人間たちは目を醒ましたようにマンモスの群れに立ち向かいます。ゴンも長老とピー子ちゃんに送り出され、勇敢に石斧をふるいました。マンモスは柵を破り麦を踏み荒らし、櫓を壊します。転落したブンメーは気を失いました。

はじめ人間たちは何頭ものマンモスたちを倒し、ご満悦。父ちゃんは、これが自分たちのシューカクだ、と気づきます。

穀物が踏みつぶされた平原に地平線が見えました。

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見終わってもう一度ルソーの文章を読んで下さい。そっくりです。ピー子ちゃんの「あんな高いところから見張られて窮屈な生活するなんて私はイヤ」というセリフも農耕革命以後の不平等な階級社会を指摘しているようで、胸に響きます。 

ゴンたちの選択はひとまず正しかったように感じます。狩猟採集生活には所有という概念がありません。歴史的にはいくつかの段階がありますが、定住や農耕を始めるようになるに従い、人口が爆発的に増え、戦争が始まり、貧富の差ができ、階級が生じ、人獣共通感染症が生まれました。

ケトルベル

免疫低下を招かないよう筋トレは抑え気味でしたが、少し前から完全に再開しています。筋トレは、ケトルベルとチューブを使っています。

  1. ケトルベル両手スイング(16kg)20回3セット
  2. ケトルベルヘイロウ(12kg)20回[左右10回ずつ]3セット
  3. ケトルベルロシアンツイスト適宜

2日に1度、この3つをベースにし、別のケトルベル・トレーニングやバンドを使ったスクワットなどを組み合わせようと思っています。本日は12kgで片手スイング左右持ち替えながら20回2セットやバンドを膝のうえに装着したトレーニングなど。

両手スイングは、ケトルベル種目の代表です。股関節を折るところがミソですね。お尻やハムや腰、肩などの筋肉に働きかけます。片手でやれば広背筋にも効くとか。

ヘイロウは、頭の周りをぐるぐる回します。バランスを取ろうとして胴体全体の筋肉に効きますし、肩胛骨あたりのストレッチになります。

私は身体がもっていかれるほどの重さではトレーニングしていませんが、それなりにきつい。いろんな遊び方ができるオモチャみたいで楽しくもあります。

その他、松下タイケイ『ケトルベルマニュアル』などを読んでいろいろ試しています。私が使っているのは下にリンクしておきましょう。 8kgや12kgのやつは握る部分がスティール製ですけど、素手で握ると滑りが悪く、使い倒したらいずれ買い換えるかも。

身体を芯から鍛える!  ケトルベル マニュアル

身体を芯から鍛える! ケトルベル マニュアル

  • 作者:松下タイケイ
  • 発売日: 2016/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

新しい生活様式?

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ここ数日、小雨が続いています。多摩川の土手の舗装路など、歩行者やランナーが多いので避けていましたが、雨だと人が少なくて走れます。信号がなくて気持ちいい。写真は、私のジョギングコースに誰かが貼ったメッセージです。

ところで──あちこちから聞こえる「新しい生活様式」って何?

厚労省HP(→こちらには「人との間隔はできるだけ2m(最低1m)空ける」「遊びにいくなら屋内より屋外を選ぶ」「会話をする際は 、可能な限り真正面を避ける」などとあります。

なんだなんだなんだなんだ? 大きな違和感を覚えます。

私だって感染しないように以後も気をつけます。それが厚労省のいう「新しい生活様式」と合致するかもしれません。でも、政府がライフスタイルを提言するのは奇妙です。少し前、「ゴミ収集作業員の方はコロナ感染のリスクがあるなか働いてくれている。ゴミ袋に感謝の気持ちを書きましょう」と発言した大臣もいました。こちらも大きなお世話です。個々人が感謝の意を表明するのはよいことですし、市民が「エッセンシャル・ワーカーに感謝しましょう」とみんなに呼びかけるのもかまいません。でも、大臣が発信するのはお門違いです。

「新しい生活様式」って小説や映画に描かれる戦時下の様子に似ていませんか。

国民の心情も似通っています。自粛警察とかコロナ自警団と言われる人たちは隣組にそっくりです。「みんな自粛しているさなか営業しているパチンコ屋がある。通報しろ」「他県ナンバーのクルマがある。国賊だ、非国民だ」……。卒業旅行や帰省した人物を犯罪者呼ばわりし、名前を特定してさらす人もいるようです。法律に抵触していなくても自分たちの規範からはみ出したら、警察でもないのに叩く。「お上の要請には言わず従え」って正義感から発せられるんでしょうか、それともただの奴隷根性?

今の状況から類推するに、戦時下って案外みんな嬉々として工夫しながら生活していたんじゃないかと思えてきます。ランニングTシャツでマスクをつくる動画がありましたが、あれ、着物をほどいてモンペをつくるのに似ていませんか。

SNSで「ブックカバーチャレンジ」とか「おうちで筋トレ」なんてのが流行りました。私は違和感を覚えます。戦時下だからもしくはコロナ禍だから、「お上の要請に自らすすんでコミットします」と宣言しているみたい。私は参加しません。

いま、政府がやるべきことはライフスタイルを提案することではないのです。

自粛要請を的確に出したり解除すること。そのためにもスピーディに休業補償や生活補償をすること。PCR検査や抗体検査をどんどんやって感染者を隔離すること。

さらに、どういう条件だと感染しやすいか、科学的に例示することです。病院、介護施設、家庭内、ライブハウス、飲食店、スポーツジム、クラブなどがクラスターになったことはわかっています。富山の小学校で感染した例がありました。休む・休まないで話題になったパチンコ店で感染した人はいたんでしょうか? クルーズ船、タクシー、新幹線、飛行機、屋形船で感染したという報道は見ましたが、日々の満員電車はどうなのか? 映画館や劇場は? ドアノブを触ったことをきっかけに感染することはあるの? お札や硬貨は大丈夫? ランナーから感染した例はあるの?……きちんと情報が開示されれば、ひとりひとりが「自分の生活様式」を選択します。