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藤井聡太、八冠すべてを制覇

藤井聡太八冠が誕生。八冠独占の偉業、おめでとうございます。

王座戦五番勝負第4局、ジョギングを忘れて観戦していました。

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将棋のタイトルは八つあります。

竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖(序列は優勝賞金による。多分)

藤井は、王座だけ唯一持っていなかったのです。王座戦挑戦者決定トーナメントはリーグ制ではなくトーナメント制です。通算勝率8割超の藤井ですが、トーナメントではたまたま1度負けたらそれでおしまいですから。

今期の挑戦者決定トーナメントはベスト8で対戦した村田顕弘六段との対局が危なかった。終盤は敗色濃厚。ところが、ABEMAのAI評価値(期待勝率。以下、評価値)で 5:95 くらいの大差から謎の銀のタダ捨てを繰り出し、大逆転したのです。準決勝、決勝は、ともに接戦でしたが、それぞれ羽生善治九段、豊島将之九段に勝利して、ついに八冠めのタイトルの挑戦権を獲得しました。

31歳の永井拓矢王座と21歳の藤井聡太七冠の王座戦五番勝負。

今、藤井に勝つには、相手はAIを駆使して作戦を立て、藤井が知らない局面に誘導するしかありません。序中盤でリードを奪い、藤井の持ち時間を削るのです。その点、このシリーズで永瀬は巧みでした。初戦は後手番だったにもかかわらず先勝。今期、藤井が先手番で負けた唯一の対局が王座戦第1局です。

第2局も永瀬がリード。追いこまれた藤井は、永瀬のミスを衝いて、絶対につかまらないほうへ逃げだします。永瀬がなかなか投了しないところに執念を見ました。続く第3局は、後手・永瀬が袖飛車という珍しい戦法を採用してリード。しかし、藤井が評価値 5:95 の劣勢を逆転しました。永瀬は1分将棋で△4一飛と打ったのが悔やまれます。

そして第4局。またもや藤井が評価値 2:98(中継アプリでは 0:100)くらいから大逆転。両者1分将棋でした。精密計算機みたいに言われる藤井ですが、負けそうになると、局面を複雑化して逆転を狙う勝負師の一面も持ちます。

AIの評価値は「すべてを計算し尽くした結果」であり、トップ棋士とはいえ1分では読み切れないこともあるのでしょう。永瀬は▲5三馬が失着だとすぐ気づいたようで、頭を叩いたり髪をかきむしったり溜息ついたりするのが印象的でした。

結果、3勝1敗で藤井挑戦者が王座を奪いました。

藤井聡太はほとんどトップ棋士としか対戦していないのに、今季も勝率が8割を上回っています。タイトル戦に限れば、登場18回ですべて勝利していて、通算64勝16敗(.800)とのこと。

ただ、今回ばかりは、永瀬が3戦全勝もしくは3勝1敗で防衛していてもおかしくない内容でした。藤井とよく練習将棋を指す彼は、藤井との戦い方を徹底的に研究し、紙一重のところまで肉薄していると思われます。永瀬が次に挑戦するとしたら、来年の王将戦か名人戦。期待しています。