狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

藤井聡太時代、到来。

ランニングと狩猟採集社会について書くブログですけど、ときどき将棋の話題も書くのだ。

いつかきちんと私の将棋歴を書きますけど──中高六年一貫校に通った私は中学一年の3学期から3年ほど将棋に熱中しました。高校一年夏には高校将棋選手権団体戦の部(三人)で広島県代表になりまして、全国大会ではベスト8で敗れました。それを境に将棋熱が冷め、ふたたび将棋を見はじめたのは羽生フィーバーが起きたころ。日本将棋連盟の道場に行くとアマ四段(プロとは飛車落ち)あたり、ずいぶん指していませんが、ネット将棋ではレーティング2000に届くかどうかという棋力です。

藤井聡太七段が挑戦していた棋聖戦五番勝負、本日3勝目を挙げ、史上最年少でのタイトル獲得を果たしました。オールドファンにとっては「東海にタイトルを」と言っていた故・板谷四郎・進親子の悲願が叶ったわけです。その意味でも感慨深いものがあります。

新聞や雑誌の片隅に載っている詰将棋は一種のパズル。玉を詰めるまで何百手もかかる問題や、さまざまな趣向を凝らした詰将棋があり、一種マニアックな世界です。実戦の将棋の勉強に役立つかに関しては議論がありますけど、少なくとも「手を読む」という点では指し将棋と同じです。

プロ棋士や詰将棋作家も参加する「詰将棋解答選手権」で小学生が優勝した、というニュースに驚いたのは2015年のことでした。 それが藤井聡太少年です。藤井は群を抜いた「読む力」を持っているのです。史上5人目の中学生棋士、しかも14歳2ヶ月という史上最年少棋士としてデビューしたのち、いきなり29連勝して世間を驚かせたのはご記憶のとおりです。

AI vs. 人間の結着がつき、AI を活用する時代に入りました。藤井は、将棋ソフトを活用して勉強する第一世代です。先輩ブロ棋士が大盤解説で「昔なら破門される手ですね」なんて言われる手をよく指します。今回の棋聖戦でいちばん印象に残ったのは、第2局の△3一銀です。かつての感覚では浮かばない手で、事実、控え室のプロ棋士も驚いたといいます。

その手に関して、こんなツイートが話題になりました。いまの最強ソフト「水匠2」が人間に浮かびにくい△3一銀を最善手に挙げたというのです。それも、4億手読ませた段階では△3一銀は候補にも挙がらなかったのに、6億手読ませたらいきなり浮上した、というのです。

藤井聡太は6億手読んだのか、と驚く人多数。それに対する加藤一二三先生のツイートがまたまた絶品なのでした。

ふふ。そうだそうだ。ちなみに、加藤先生は羽生善治や藤井を語るときに、自己アピールをすることも忘れません。すなわち、〈天才棋士〉のなかには加藤先生ご自身も含まれるのです。いや、異存はありませんけど、なんかおかしい。

藤井聡太棋聖は恵まれています。

いわゆる羽生世代(森内俊之九段、佐藤康光九段ら)が登場してきたころは、旧世代からバッシングされていました。旧世代は「将棋は人生を映す芸事だ」などと言い、飲む打つ買うも修行のうち、という考え方。こうるさい個性派も多かった。彼らからすれば、「将棋はゲーム」と言い放って勝ちまくる羽生世代は宇宙人だったのでしょう。

藤井は、羽生世代の敷いたレールの先にいて、最年少棋士であるにもかかわらず、みなに一目置かれ、棋界の宝物のように扱われている感じです。「おれはあんな若造には負けん」とライバル心を燃やす棋士もいていいんですけど。

今のところ彼に立ちはだかる壁は、4戦して一度も勝っていない豊島将之竜王・名人ですね。王位戦七番勝負で木村一基王位に挑戦している藤井棋聖ですが、今年中にもうひとつタイトルに挑戦できるとしたら竜王戦です。豊島竜王との番勝負が実現したらワクワクしますけど、ほかの棋士も黙っちゃいないと信じたい。いずれにしても、これから数十年、将棋界が藤井聡太を中心に回っていくのは間違いありません。高校卒業できるのかな。コロナ第二波でまた東京への移動制限が出たらどうするんだろう。