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映画『テレビで会えない芸人』と余談

日本映画専門チャンネルで『テレビで会えない芸人』を録画して、少し前に見ました。松元ヒロを追ったドキュメントです。2月に、もう一度再放送があるそうです。(→日本映画専門チャンネル。私は『松元ヒロの世界』を見なくちゃ。

松元ヒロは以前ザ・ニュースーペーパーにいましたが、政府を批判することに規制が入るのを嫌い、すわしんじ(現・すわ親治)とともに脱会。現在は、ひとりで、舞台に立って披露しています。とてもいい人で、真面目で、言っていることはマトモだし、笑いがバンバン起こるのに、政治批判のネタをするからテレビに出られません。

若い人は知らないでしょうが、昔はテレビの演芸会で、誰彼なく「まあその〜」とか「あ〜う〜」とか、田中角栄や大平正芳の物真似をしていたんです。ところが、最近では、政治批判どころか、政治家の物真似でさえやらないらしい。もしかすると、清水ミチコが小池百合子の物真似をしているかもしれませんけど。一方で、与党政治家をヨイショする芸人はテレビに出られますし、「芸能人が政治を語るな」と罵倒されることはありません。

テレビはダメでも、松元ヒロはたまにラジオに出演します。ラジオ派の私は、松元氏の立川談志や永六輔とのエピソードなどは聴いていましたが、鹿児島実業の駅伝選手だったとは初めて知り、驚きました。検索してみると、区間賞を取ったりもしているらしい。また、ドリフのコントに「アチョーッ」といきなり乱入してきた見習い・すわ親治とは鹿実の同級生だそうです。

永氏は生前、「9条をよろしく」と松元氏に託しました。「憲法くん」という有名なネタがあります。松元氏が憲法前文を諳んじるシーンが圧巻でした。憲法前文、いい文章です。ぜひ読み直してください。

映画を視聴できる方は、ぜひ。

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余談です。

松元ヒロが抜けたザ・ニュースペーパーは、文化放送『吉田照美 翔べサルバトール』(私は聴いたり聴かなかったり)という番組で、週に一度コントをやっていました。

ある日たまたま聴くと、吉田照美が森友事件について語っていました。国会では話題でしたが、メディアは報道に及び腰で、ラジオでさえ取り上げなかった時期でした。当時の首相・安倍晋三は「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」と国会で啖呵を切ったことを取り上げたあと、吉田氏は少し逡巡しながらも「安倍さんはアウトだと思います」と言いました。感心しました。

ところが、吉田照美が休みの日に、代打で司会をしたザ・ニュースペーパーが、ゲストに安倍昭恵を呼んだのです。彼らが安倍晋三の真似をしているのを見た昭恵が連絡し、晋三に紹介したのだとか。つまり、取りこんだのです。安倍氏は、自分を批判したと言われる芸能人とすぐさま食事し、一緒に写った写真を公開したりしました。

吉田氏は休み明けにそのことに言及しなかったのですが、番組の最終回で、「自分がいない日とはいえ、番組に昭恵さんを招いたことには忸怩たる思いがある」という意味のことを言いました。私は、吉田氏の高い声が苦手でしたが、今ではファンです。