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「反日的な人が五輪開催に強く反対」と「絆」

毎日新聞の記事「安倍前首相『反日的な人が五輪開催に強く反対』 月刊誌の対談に」(2021/7/3)より。

 安倍晋三前首相は発売中の月刊誌「Hanada」で、東京オリンピック・パラリンピックについて、「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対している」と批判した。具体的には共産党や5月の社説で中止を求めた朝日新聞を挙げた。

 安倍氏は五輪の意義について、「(日本人選手のメダル獲得などの)感動を共有することは日本人同士の絆を確かめ合うことになる」「自由と民主主義を奉じる日本がオリンピックを成功させることは歴史的な意味があり、日本にはその責任がある」と強調。五輪開催を批判する野党については「彼らは、日本でオリンピックが成功することに不快感を持っているのではないか」とも述べた。

へえ。東京オリンピック・パラリンピックにに反対すると「反日」なんだ。オリンピックは国内の感染リスクを増やすだけではなく、海外から来たみなさんがウイルスを持ち帰ることになるかもしれません。そんな心配をする国民を反日呼ばわりする人が前首相だとは。安倍氏は親日家なんですね。普通、親日家といえば外国人を指します。安倍さんはどこの国の方かしら

私は新型コロナの流行以前から東京オリンピック反対です。そんなもの返上して、予算と人材を復興と原発収束のために充ててほしいとこのブログにも書いています。もはやオリンピックそのものも不要だと考えています。私は反日のなかの反日なんでしょう。えっへん。

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「(日本人選手のメダル獲得などの)感動を共有することは日本人同士の絆を確かめ合うことになる」んだそうです。私は国際大会を見るときに「絶対に日本人に勝ってほしい」なんて思ってはいません。スポーツで日本人の絆とか、どうでもいいんです。

ちみなに「絆」について、いい機会なのでおさらいしましょう。

「絆」とは動物をつなぐ綱のことです。

脚絆や絆創膏などの単語を見るに、丸いものに巻きつけるイメージでしょうか。人間関係に使う場合は「人を束縛する義理・人情のたとえ」になるそうです(新漢和大字典)。ほだすとも訓読みします。意味は「しばって自由に動けなくする」。つまり「情に絆(ほだ)される」とは、「情にからめとられてそれ以外の思考ができなくなり」くらいの意味でしょう。こちらは悪い意味に使うとは限らないかも知れません。

私は読んでいませんが、サマセット・モーム『人間の絆』の原題はは Of Human Bondage らしい。Bondage の意味は、束縛、服従、奴隷などですから、中野好夫による邦訳が出た1950年には「絆」は本来の意味で使われていたはずです。今のように良い意味が拡がったのは1980年代くらいかなあ。氾濫したのは2011年のあとではないでしょうか。

改めて、安倍氏の「感動を共有することは日本人同士の絆を確かめ合うことになる」をもともとの意味で読んでみましょう。「感動を共有することは日本人同士の不自由さ・束縛を確かめ合うことになる」……怖い怖い。

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ふたたび記事に戻ります。

 また、安倍氏は6月9日に菅義偉首相と初の党首討論に臨んだ立憲民主党の枝野幸男代表の論戦姿勢について、「(演説)プランが崩れることを非常に嫌う」と述べ、「『非常に自己愛が強いので、批判されることに耐えられないのではないか』と見る人もいる」と指摘した。枝野氏について、「(当時首相だった安倍氏への)一方的な批判に終始するなど、インタラクティブ(双方向)な議論を避ける特徴がある」とも批判した。

「非常に自己愛が強いので、批判されることに耐えられない」人、「一方的な批判に終始するなど、インタラクティブ(双方向)な議論を避ける特徴がある」人って安倍氏のことではありませんか。国会でまたキレ芸を見せてください。

──オリンピックまであと19日。