しばらく前のこと。
外出先でビール飲みながら、買ったばかりの田中圭太郎『ルポ 大学崩壊』(ちくま新書)を読み始めたらクラクラしました。小泉政権、安倍政権下で、大学の腐敗がここまで進んでいるとは。
たとえば、国公立大学の学長の権限が大きくなりすぎて、筑波大、大分大、東京大、下関私立大学など国公立大学で学長の独裁化が起きていることなどは、断片的に知っていました。しかし、安倍政権に批判的だった北海道大学の学長が、大学に出向していた文科省の役人にパワハラ疑惑をでっちあげられ、萩生田によって解任されたとか……知らなかったし、怖すぎます。
新自由主義とは、歯止めのきかない資本主義のこと。稼ぎたい人が、自分に都合のいいルールをつくってより稼ぐことです。非正規労働者を増やすルールをつくった人物が人材派遣会社をつくって儲けているのがいい例です。
大学には自治があり、自由な場所であるはず。アカデミズムとは50年後、100年後に役に立つかもしれない研究をすることであり、政府は口を出さずにカネだけ出していればいいのです。かつてはそんな場所でした。
ところが、国公立大学は今や文科官僚の出向先・天下り先になっているようです。天下りが発覚し、文科事務次官・前川喜平が辞任した2017年以降も事態は変わらず、文科省のOBがトップに居座って教職員を圧迫しているらしいのです。非正規雇用の教職員が雇い止めに遭うなどの問題も起きています。
私立大学がまともだというわけではありません。たとえば、山梨学院は理事長が堂々と「教育より収入」と宣言し、定年切り下げや雇い止め、人件費削減などを進めているそうです。複数の会社が作られ、そこに多くのカネが流れているという疑惑も……。
怖いよ怖いよ。ホラーです。
J・ブレーデン、R・グッドマン『日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030』には、 同族経営の私立大学には学問・研究重視の文化はほとんどないと書かれていて、ショックを受けました。官僚の天下り先になったり中央の政治家とコネを作って生き残りをはかっているようだと書かれていて──つまり、金もうけ、資本主義なのです。