狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

ウクライナ侵攻に関する報道にモヤモヤ

ちょっとモヤモヤすることを書きます。

今回、メディアも人々もおおむねプーチンを批判しています。「単純な善悪二元論で語るのはよくない」という意見はもっともです。慎重に、丁寧に、ものごとを見る必要があります。とはいえ、いかなる理由があれ軍事侵攻は許されません。ましてロシアは核保有国かつ国連の常任理事国です。

とはいえ、ロシアを批判する日本政府や報道を見ていると、腑に落ちないことがありまして……。

たとえば、2003年にアメリカがイラクに戦争をしかけたときはどうだったか。イラクが大量破壊兵器を持っているといい、アメリカはイギリスやオーストリアと戦争を始めました。ときの総理大臣・小泉純一郎はすぐさまアメリカを支持しました。メディアは今回のプーチンを批判するように、ジョージ・ブッシュを非難したでしょうか。結果、多くの無辜の人々が命を落としました。フセインが葬られたあと、大量破壊兵器は発見されなかったと報じられました。つまり戦争の大義はなかったのです。そのことで、メディアや日本の有権者はアメリカや日本政府を指弾したでしょうか。

日本はイラク戦争を支持したことを未だに反省していません。数年前、山本太郎議員の質問に対し、安倍晋三首相(当時)は「日本政府は、大量破壊兵器を持っていないことを証明しなかったフセインが悪いという立場を変えていない」(大意)と言いました。[→国会議事録 平成30年5月28日

「ないことを証明しなければ、在ることになる」はいわゆる「悪魔の証明」です。「ネッシーがいないと証明したやつはいないから、ネッシーはいるのだ」

このたび、プーチンは、「(ウクライナは)核兵器を取得し、核保有国の地位を得ようとしている。見過ごすわけにはいかない」と言ったそうです[→日経新聞 2022/3/6。でも、ゼレンスキー大統領に向かって「核開発の意図がないと証明せよ」と言う人はいませんし、そんなことは立証できません。

ウクライナでは多くの民間人が殺傷され、メディアではロシア軍の非道さが報じられています。海外の報道やSNSで、多くの動画が見られます。明らかに、非軍事施設を狙ってミサイルを撃ちこんでいます。

イラク戦争では、10万人の民間人が犠牲になったとも言われます。そのときメディアで見聞きしたのは「誤爆」というフレーズでした。本当に誤爆だったのでしょうか。

プーチンが悪いのは当たり前だとして、なんだか、アメリカが同じようなことをしたときとの反応に非対称性を感じ、私はモヤモヤしてしまうのです。

われわれはアメリカの論理で世界を語っている気がしてきます。過去のことを棚上げして、今回のことだけ語るのは許されるのか、否か。歴史を眺めれば、いろんな理不尽な戦争があり、日本が日本の理屈で加害をしたこともあります。

──無限のモヤモヤが頭のなかを駆け巡ります。