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放送法の問題。メモ。

全然更新していません。WBCはほとんど見ず、参議院予算委員会見て、本読んで、軽いジョギングして……です。今日からしばらく1日1投稿いたします。

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ひとまず、放送法のことをメモっておきましょう。

3月7日、立憲民主党・小西洋之議員が、総務省から出てきた行政文書を示しました。

文書には、2014年から翌年にかけて礒崎陽輔首相補佐官(当時)が放送法の解釈を捩じ曲げるべく総務省に働きかけた経緯が記録されていたのです。

テレビ局はひとつの番組が偏っていたとしても放送事業者の番組全体(その局の番組すべて)で政治的公平性が保てていればいいとしていたのですが、ひとつの番組が偏っていれば停波できると解釈を変えよというのです。礒崎氏にすごまれた総務省は困り果てたことでしょう、「変なヤクザに絡まれた」などと記しています。

礒崎氏は安倍晋三首相(当時)の補佐官でしかなく、そもそも法律に物申すのは越権行為です。しかし総務省は屈せざるをえず、2016年2月8日の衆院予算委で高市早苗が停波発言をしたのです。

そのころからテレビ界が萎縮してしまい、多くのニュースやワイドショーは政権批判を抑え、モノ申すコメンテーターは画面から消えていったことはみなさんご承知の通り。直接、政治家から怒りの電話がかかってきたなんて話も洩れ伝わります。

今も内閣広報室はニュースやワイドショーを文字起こししてチェックしていると政府は認めました。世論を動向を探るため、みたいなことを言っていましたが、事実上の検閲です。

脱線=私はひとつ疑問があるんです。放送法第174条にこうあります。《総務大臣は、放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。)がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、3月以内の期間を定めて、放送の業務の停止を命ずることができる。》「特定地上基幹放送事業者」とは、いわゆる地上波のチャンネルや、AM、FMのラジオ局などを指すらしいので、テレビ局を停波できないんじゃないかなあ。閑話休題。

いわゆる小西文書に、高市早苗総務大臣(当時)が何度か登場します。高市氏は、「この文書を見て初めて礒崎氏を知った。自分が登場する4枚は捏造である」と言い、「本物だったら議員を辞める」と啖呵を切りました。すぐに礒崎氏と高市氏が知り合いだったことがバレて、Twitterでなにやら言い訳していましたけど。3月8日には「このような(文書にある)レクを受けたはずもございません」が14日の参議院予算委では「レクっていうのはありえたんではないかと思います」と後退。そのうえ、「私は羽鳥さんの大ファンで」「テレビ朝日をディスるはずもない」などと暴走しました。国会で「ディスる」なんて言ったのは初めてではないでしょうか。

しかし、問題の本質は高市ではなく、放送法の解釈が正式なプロセスを経ずに捩じ曲げられたことです。ところが、高市の「辞める発言」のせいかわざとなのか、「野党が寄ってたかって高市の首を狙ってる」と矮小化しました。礒崎氏(野党は証人喚問を要求するも、与党が認めない)が主役なのに、プレーヤーの一人に過ぎない高市にばかり注目するのです。

総務省は文書を本物と認めています。ただ、「不正確なところもあるかもしれません」とつけ加えました。絶妙なパスだと思われます。総務省のいう「不正確」はせいぜい「テープ起こしではないので会話の部分は逐語的に正確とはいえません」くらいの意味でしょう。ところが、高市は「ほら、総務省も不正確と認めている。自分が登場するところは捏造だ」と言い張りました。よく思いますが、与党は悪知恵を働かせることにかけては天才です。

もうワヤですわ。

小西議員は、衆議院の憲法審査委員会が毎週ひらかれていることなどを「サルのやること」などと発言してあちこちから批判されています。これで放送法の問題はうやむやになりそうです。つまり、テレビは萎縮したままです。

もうワヤですわ。