狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

「嫉妬深い男の社会は息苦しい」

何度も書いているとおり、私は「人間は本来どんな風に走っていたのか」「糖質制限なんていうけど、人間は本来なにを食べていたのか」なんて疑問から派生し、狩猟採集社会を探るようになりました。プリミティブな移動型狩猟採集社会は首長もいませんし、財産を持たないので戦争もなく、平等分配的な社会だと言われます。(異論もあります)

子どものころから理不尽な上下関係が苦手で、威張られたり威張ったりすることが嫌いな私は狩猟採集民に憧れてしまったわけです。

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リンクの記事を読み、赤木雅子さんは社会の本質を衝いているように感じました。

私は国会ウォッチャーですので、森友問題についてもずっとチェックしています。

市民共有の財産である国有地が近畿財務局により異例の大安売りをされました。土地にゴミが埋まっているというのが値引きの理由でしたが、森友学園が払える額まで引き下げるための方便だったことは明らかになっています。安倍昭恵夫人の存在が前例のない値引きにつながったと言われています。仮にそうでなくても、検察がきちんと調べて起訴すれば、脱法的な価格引き下げや公文書改竄で何人かが逮捕される事案です。

2017年2月17日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相が福島伸享議員(当時)の質問にキレて啖呵を切りました。「私や妻が関係していたということになれば、これゃもう、え〜、まさに、こりゃもう、私は総理大臣をもう、そりゃもう、間違いなく、総理大臣も国会議員も辞めることは、はっきりと申し上げておきたい」

安倍氏は少年時代、やってもないのに「宿題やった」と言って眠り、母やお手伝いさんが代わりにノートを埋めた、というエピソードが野上忠興『安倍晋三 沈黙の仮面』に紹介されています。嘘をついても周囲がなんとかしてくれると思っているのかもしれません。事実、このセリフに合わせて官僚たちが公文書を改竄することになりました。

同年2月24日、財務省理財局の佐川宣寿局長(当時)は、森友学園との交渉記録は「廃棄した」と言い、26日に近畿財務局の職員・赤木俊夫さんが上司から公文書改竄を指示されました。交渉記録から昭恵夫人の存在を消し去ろうとしたのでした。

「わたしの雇い主は日本国民」(憲法第十五条にいうところの「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」)と認識していた赤木氏は、公文書改竄の罪の大きさを気に病み、約1年後に自殺したといいます。

私は日本の絶対的な階層社会で苦しむ人を見たくありません。

ルース・ベネディクト『菊と刀 』に、日本は世界一のカースト社会だと書かれています。学校も会社も、まるで軍隊のように上下関係がハッキリしています。生まれたのが一か月違うだけで学年が違えば先輩には敬語を使わなきゃならず、制服もビジネススーツも軍服さながらです。

この厳格な階層社会はやはり軍隊同様で男中心です。SEALDsの若者や伊藤詩織さんやグレタ・トゥーンベリさんに対する日本人男性の反応を見たらよくわかります。女や子どもが社会に声を上げると黙ってろと怒鳴るのです。

階層の上のほうには有力政治家や実業家がいます。政治家には単に親の票田を継いだだけで受験勉強さえしたことがないという人も多いのに、下々はわけもわからずペコペコし、上の人を守るために法律さえ破ってしまうのが不思議です。私は理不尽な命令に反撥してバイトを辞めたことが2度ほどありますが、バイト仲間は唯々諾々と従っていました。なんでだろう? エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ『自発的隷従論』にはこう書かれています。

 あなたがたは、わざわざそれ(註=隷従)から逃れようと努めずとも、ただ逃れたいと望むだけで、逃れることができるのだ。もう隷従はしないと決意せよ。するとあなたがたは自由の身だ。

赤木俊夫さんの自死は、まっとうな感覚の人が異様なカースト社会から逃れるための唯一の方策だったのでしょうか。赤木雅子さんの戦いを見守ります。そして、どんなに地位が高くても逮捕されるべき人物が逮捕される社会になりますように。

安倍晋三 沈黙の仮面: その血脈と生い立ちの秘密

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  • 作者:野上 忠興
  • 発売日: 2015/11/12
  • メディア: 単行本
 
菊と刀 (講談社学術文庫)

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自発的隷従論 (ちくま学芸文庫)