私は国会ウォッチャーなんです。
YouTube で配信されている中継を生で見ることもありますし、夜中や別の日に見ることもあります。予算委員会のみならず、各委員会もわりと見ているほうです。テレビ番組はほとんど見ませんけど、おそらくそんじょそこいらのヴァラエティ番組より感情を揺すぶられますよ。まともな議論かよ、と呆れるやら笑うやら。小学生の学級委員会以下です。
先週金曜日の共産・田村智子議員の質問はわかりやすい喜劇でした。
首相主催で行われている、各界から功労・功績が認められる人を招く「桜を見る会」に安倍晋三後援会が来ているというのです。今年は850人とか。首相の地元後援会の人にはどんな功績があったのかと言うと、安倍氏は「PTAや自治会の人と重複することもある」と不可思議な返答。全国の自治会やPTAの役員が呼ばれる会なの?
例年、安倍氏の後援会が泊まるホテルで前夜祭があり、安倍夫妻が出席するそうです。桜を見る会当日は17台のバスで新宿御苑に乗り込み、受付開始30分前に手荷物チェックも受けることなく公園に入り、首相と記念撮影をするんだとか。
セコい話しですけど、それが本当なら税金の私物化です。現政権による税金の使途や認識にかかわる問題ともいえます。
田村議員の質問のあと、「桜を見る会」に出席した後援会のみなさんがアップしたブログやSNS が発見され拡散されていました。すると、それら投稿がどんどん削除されるではありませんか。なるほど森友文書の改竄もこんなふうに始まったのでしょう。
狩猟採集民や隷従がテーマの私には、嬉々として首相との写真をアップする支援者が、まるで「私たちは奴隷です」と宣言しているように見えるのです。
ルソーは250年前に、今の日本の状況を予測していました。『人間不平等社会起源論』(中山元・訳)から引用します[太字は引用者]。
(略)都市の市民は汗を流し、たえず動き回り、もっとせわしない仕事を探して苛々しつづけるのである。彼は死ぬまで働く。そして生きることができるようにするために、ときには死に向かって突進することすらある。不死の命を求めて死ぬことだってするのだ。自分の憎んでいる権力者と、自分の軽蔑している金持ちに媚びへつらい、こうした人びとに仕える栄誉を手にするためなら、どんなことも厭わない。自分の卑しさと、こうした人びとからうける庇護を誇らしげに示し、自分の奴隷状態を自慢して、こうした奴隷状態に加わろうとしない人々を軽蔑する。
本来自由で平等であるべき社会なのに、死ぬまであくせく働く市民がいる。自由を求めて自死する人さえある。そして、権力者や金持ちにへつらい、オコボレをもらったと自慢し、同じようにへつらわないヤツをバカにするのです。 ほんとうの奴隷は自分が奴隷状態にあることを知りません。
みんな、目を醒まそう。
- 作者: ジャン=ジャックルソー,Jean‐Jacques Rousseau,中山元
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ラ・ボエシ『自発的隷従論』も併せてどうぞ。