狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

『育毛物語』

狩猟採集民を見ながら、シャンプーや石鹸って必要なのか?──と考えはじめたシリーズ。人体実験のあと個人的には結論が出てているので、これでおしまいにします。私は現在、洗髪はお湯のみ、身体を洗うのは純石鹸です。

【第1弾】2018/11/28 シャンプー、やめてみます
【第2弾】2019/03/07 シャンプーやめて3ヶ月
【第3弾】2019/05/27 シャンプー剤やめてちょうど半年
【第4弾】2019/06/19 『肌断食』『化粧品に頼らない素肌美人のつくりかた』
【第5弾】2020/01/23 シャンプー辞めて1年と2ヶ月

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しばらく前に読んだ本。

双田譲治『育毛物語』(コモンズ)。ヘアケア業界のルポルタージュです。2005年の本なので今とは違うかも知れませんけど、本質的には変わっていないのではないでしょうか。シャンプーなどの成分も詳しく書かれていて、単なる悪ふざけのルポではありません。

前半はSFの味わいです。

ア◎ランス、◎ートネイチャー、リー◎21などの育毛業界各社の無料体験(有料もあったかな)に著者は潜入取材をします。

薄毛のコンプレックスにつけこむ各会社の非科学的な説明や高額の施術料が生々しい。この業界、どんな科学的な方法で育毛するのでしょうか。年間百万円単位を払うようすすめられるのだから「育毛実績のデータを見せてください」と著者が言うのも無理はありますまい。ところが、みんな言葉を濁すのです。ある会社の若い女性から「頭皮が汚い」と言われた著者が、あなたの頭皮も見せてくださいと言うと、彼女のほうがギトギトだった、とか笑ってしまいました。

この本にも引用されていますが、五木寛之先生は髪を洗わないそうです。世界を旅してみたら一生洗髪しない人がいるので自分もやめたのだとか。私も狩猟採集民の写真を飽きるほど見たけど禿頭や白髪の人をがいないんですよね。

ほんとかうそか知りませんが、ホームレスは髪がふさふさと説く人もいる。著者がア◎ランスの担当者にそのことをと問うと、「(略)もし、ああいう人たちが髪を洗ったら、全部取れちゃう。あれ、上にのってるだけでしょ?」との返答でした。苦笑。

著者は上野に行き、ホームレスの頭髪を確認しようとしたり(はなはだ中途半端な調査ながら、薄毛・禿頭率は一般の人[?]変わらなかったとの印象)、日本毛髪科学協会や東大病院皮膚科に行ったり(あんなに悪評された著者の頭皮ですが、病院では正常だと言われるのです)、石鹸業界に話を聞いたりして、徹底しています。個人的には小児科で聞いた常在菌の話が興味深かった。

シャンプー剤は化学薬品の塊です。消費期限すらない。大袈裟なことを言えば環境破壊にもつながります。もしも、ですよ。もしも。毎日頭皮から吸収されるシャンプーやリンスの化学成分が髪や頭皮のトラブルの原因で、それにより生じた毛髪や頭皮のトラブルにより、育毛・かつら業界が潤っているのだとしたらマッチポンプじゃありませんか。万一そうであったとしても、化粧品や育毛業界は多額の広告費を払ってくれますから糾弾されることもありますまい。

行雲流水。なるようになるさ。ケ・セラ・セラ。What ever will be, will be.

この本に引用されている家事評論家・西川勢津子『ちょっとすてきなないしょ話』(文春文庫、1985)の文章がなかなかフルッてます。

花王の宣伝部長だった山形弥之助は「昭和のはじめに花王石鹸に入社して、1年に数えるほどしか髪を洗わなかった日本人に、月に一回から、とうとう週に一回シャンプーをさせるように習慣づけた、かくれた恩人なのです。髪は一年に一回、七夕の日に、ふのりや小麦粉で洗うだけ、なんて信じられないでしょうけど、昭和一桁というのはそんな時代だったのです。

やはりシャンプーなんて不要じゃないかなあ。

育毛物語―実録潜入ルポ

育毛物語―実録潜入ルポ

  • 作者:双田 譲治
  • 発売日: 2005/10/01
  • メディア: 単行本