しばらく前に読んだ、島泰三『親指はなぜ太いのか』(中公新書)は面白かった。
人間はもともと何を食べていたのか、どうして二足歩行を始めたかを考察した本です。糖質制限の本に引用されていて知ったのでした。
著者は、アイアイが堅い実を鋭い歯でむき、中身を長い指でかき出す様子を見て、猿は口と手を見たら主食がわかるはずだと仮説を立てました(口と手連合仮説)。その仮説をもとに、猿の仲間はそれぞれ主食(種子や草や昆虫など)に適した形状の手と口を持っていることを解説していきます。上等な本格推理小説を読んだときのような知的興奮を味わえます。
では、400万年前の初期人類は何を食べていたのか。
二足歩行しているけど、まだ複雑な道具を発明してないし火も使っていません。
人間の歯はエナメル質でかなり硬質。犬歯は肉食動物のような牙ではなく臼状。顎は回転する。手はものをにぎりやすい形です。
また、盲腸は食物繊維を消化する部分なので、主に植物を食べるサルはそこが働いているんだとか。人間の盲腸は形骸化しています(まあ、私は野菜を食べますけどね)。
賢明なる読者のみなさん。
真相につながるすべての手がかりは提示された。
初期人類の主食はなにか??
結論は、ええっと……ごめんなさい。推理小説の犯人を明かす気がするので書けません。手っ取り早く答えを知りたければ書名で検索してください。3秒でわかります。
非常に面白い本でした。学術的に見てどうなのかわかりませんけど。少なくとも私はソレを飲み込み消化する自信がないんです。誰か1ヶ月、ソレだけ食べる実験をしてくれないかなあ。
ソレはもちろんごはんや小麦ではありません。
『炭水化物が人類を滅ぼす』で夏井睦医師は、炭水化物をタバコや酒のような嗜好品だと書いていました。今は私もそう思います。たとえば、穀物や砂糖を食べると虫歯になります。本来、肉食の飼い犬が、残飯や砂糖入りのドッグフードを食べると虫歯になるのと同じですね。永久歯は一回しか生えない人間も、その体は甘い物を食べるようには設計されてないのです。コーラやガリガリくんを好むランナーは多いんですが、私は彼らの横で水を飲んでます。