甲野善紀・松村卓『「筋肉」よりも「骨」を使え!』(ディスカバー携書)を読みました。松村氏の骨ストレッチは『誰でも速く走れる骨ストレッチ』を参考に、わりと実践しています。甲野氏は養老孟司先生との共著以来(全著書ではありませんが)20年くらいの愛読者です。一時期流行ったナンバ走りほか、抽象的な部分が多く、私にとっては大半が未解決なんですが、甲野氏のように身体の操りかたを深く知り、生活やランニングに活かせればいいなあと思っています。
そのふたりの対談です。
科学的な分析や筋肉の出力が重要視されるスポーツ・トレーニングのありかたを見直す内容になっています。叱られるそうなくらい大雑把にポイントをまとめれば、《科学よりも感覚》《筋肉よりも骨》《力むよりゆるむ》《パワーよりもコツ(骨)や技》とそういうことになるでしょうか。「ええっ、非常識だろ!」というほど驚きはしませんよ、両著者の基本的な考えは知っていますから。
「ハラ」や「丹田」がラクに実感できる方法など、非常に面白いことが書かれていますが、具体的なことは本書をお読みください。
現在、松村氏は、100m9秒台を狙う桐生祥秀選手の指導をしているんだとか。桐生選手のトレーニングについて、松村氏はこう発言しています。(カッコ内は引用者註)
まず、(桐生選手は)ウエイトトレをやっていない。腹筋も背筋も腕立ても、いま流行の体幹トレも、ストレッチも一切していない。好きなもの食べているだけで、プロテインもアミノ酸も飲んでいない。(中略)いまは骨ストレッチで身体の硬いところをほぐしているだけなんです。
私の場合、今シーズンは筋トレ(コアや広背筋、脊柱起立筋、腹筋など)と股関節を中心としたストレッチをしようと決め、実践しているので少々とまどいます。筋トレのメニューを軽くするなど、少々トレーニングを修正するかもしれません。松村氏の別の本を読んでから考えます。
桐生選手といえば、さきほど、日本陸上競技選手権の男子100mで優勝しました。高校が同じであるというだけでずっと応援している山縣亮太選手が負けたのは悔しいんですが、桐生選手にももちろん成績を伸ばしていってもらいたい。たまたま『「筋肉」よりも「骨」を使え!』を読んだ直後だっただけに、彼の走りをじっくりチェックすることにします。
準決勝の動画(→男子 100m 準決勝 1組 第98回 日本陸上競技選手権大会)です。例の10秒01もですけど、桐生選手がうまく走っているときは力感が少なく、スーッと流れるように前に伸びていきます。