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新井貴浩監督の野球

不思議なことに、広島カープが1日だけ(7月27日終了時)首位に立ちました。

ほとんどのカープファンは、開幕前に優勝なんて意識したことがなく、「Aクラスになれれば御の字」と考えていたのではないでしょうか。前年から戦力はアップしていませんし。

新井貴浩新監督が佐々岡真司より面白い野球をしそうなのは予想できました。「カープは機動力野球が魅力」なんて言う人がいますが、佐々岡監督の3年間ではどんどん足を使わなくなっていた──つまり前任者がひどすぎたからです。3連覇したときのカープと、佐々岡監督の3年間を比較してみましょう。犠打には犠飛は含まれていません。カッコ内は143試合換算です。

緒方監督の4年間
順位 試合数 勝率 平均得点 平均失点 打率 盗塁 本塁打 犠打
2016 1 143 .631 4.78 3.48 .272 118 153 091
2017 1 143 .633 5.15 3.78 .273 112 152 116
2018 1 143 .582 5.04 4.55 .262 95 175 109
2019 4 143 .500 4.13 4.20 .254 81 140 111
佐々岡監督の3年間
順位 試合数 勝率 平均得点 平均失点  打率 盗塁 本塁打 犠打
2020 5 120 .481 4.36 4.41 .262 76.3 131.0 96.5
2021 4 143 .481 3.90 4.12 .264 60 123 085
2022 5 143 .471 3.86 3.80 .257 26 091 118
新井監督の90試合
順位 試合数 勝率 平均得点 平均失点  打率 盗塁 本塁打 犠打
2023 1 90 .578 3.51 3.24 .249 76.3 89.0 74.7


佐々岡時代、盗塁がどんどん減っています。丸佳浩や鈴木誠也が移籍したことでホームランも減り得点力が落ちました。緒方監督時代も犠打は多いのですが、佐々岡監督は1回無死1塁で送りバントのサインを出します。相手にしてみれば、わざわざ1つアウトをくれる攻撃ですし、「どんなふうに仕掛けてくるのか」という怖さはありません。

さて、新井監督になった2023年。首位に立った90試合目の結果です。良くなったのは、ふたたび足を使い始めたことと犠牲バントを多用しないこと。投手陣が頑張っていることです。失敗した選手を叱らない指導法や、適度に選手を休ませたり、若手を起用することなど、今のところうまくハマっていると思います。

ただ、長打が出ないんですよ、相変わらず。いまだ2桁本塁打の野手はいません。

カープは、大きなフライを打つ選手がいないんです。大谷翔平、柳田悠岐、村上宗隆みたいに、すくい上げるような、最近のトレンドの打法を身につけた選手が皆無です。秋山、西川といった主軸も、体格に恵まれた若手も、ライナーを打つのです。

★   ★   ★

こういう戦力では、采配がモノをいいます。カープが僅差で競り勝つことや、逆転勝ちが多いことなどを見ても、まずまずだと感じています。コーチ経験ゼロとは思えません。ヘッドコーチ・藤井彰人との相性もいいのかもしれません。

ところで。トップに立った翌日から、1位を争っているタイガースと3連戦がおこなわれました。初戦負け、次戦引き分けで迎えた第3戦──甲子園の試合でしたから1勝1敗1分なら良かったのですが──。

3点差で迎えた8回表、ラッキーな内野安打などで1点返し、まだ無死1、2塁。ここで、小園が初球を送りバントしました。私は打たせるべきだと思いましたし、最終的にバントをするにしても、せめて「なにをするかわからない」という雰囲気を漂わせてほしかった。結果、菊池と秋山が凡退し、2点差のまま3アウトとなります。

阪神・岡田彰布監督は、試合後、こうコメントしたようです。「一、二塁でちゃんとバントしてきてくれたからね、良かったよな、おーん。オレやったら打たしとったけどな(笑い)。いやいや、そらそうや。まあひとつ、分からんわけやから。小園の方が怖かったね。打たれた方が怖かった」(→スポニチ 23/7/30

小園が送りバントしてヒットが1本出ても、まだ同点です。結果論かもしれませんが、岡田と新井の采配の差が出たということでしょう。とくに長打力で劣るカープ。頭を使って接戦を制していくしかありません。