インターミッテント・トレーニングについて書かれている本があるとネット検索で知り、取り寄せてみました。本間俊之『40代から最短で速くなるマラソン上達法』(SB新書)です。
SB新書のマラソン本って玉石混淆です。吉岡利貢さんの本など何冊かは繰り返し読んでいますが、正直「こんなん、よう本にしたな」と感じるほど内容の薄いものもあります。タイトル長くて覚えられないのは共通していますね。
『40代から最短で速くなるマラソン上達法』の著者・本間さんは、48歳で走り始め、53歳9か月でフル2時間44分03秒(東京マラソン)という記録を持つ市民ランナーだそうです。1963年生まれだから、私より二つ年上です。
玉か? 石か? よよいのよい。
おそるおそる斜め読みしました。本文の級数(文字のサイズ)が異様にでかい。^^
ま、異色ではありますが「石」とは思いません。
ご自身もあとがきで書かれているように、タイムを伸ばす方法は十人十色であり、自分に有効な手段が1年後に変わっている可能性もあります。したがって、この本では、過去にご自身が読んだ本、体験した練習会などでのトレーニングのうち「そのときどきの自分に有用だったもの」を選別して列挙しているのでしょう。
田中宏暁先生の『賢く走るフルマラソン』がバイブルだとおっしゃっていて、うれしくなりました。インターミッテント・トレーニングも好意的に紹介されていますが、こういうの、田中先生の著作で読みたかったなあ、と思わないでもありません。『ランニングする前に読む本』にも書かれていませんから……。
異色であるのは、まさしく田中先生ほか、他の人が書いた練習法を「いいとこどり」で紹介しているからですが、オリジナルの著者が納得されていれば問題ありません。「速くなったある市民ランナーの体験談」として読めば、充分刺戟的です。
みんな、いろいろ情報を集めて試行錯誤じゃないかって本です。著者のように先入観なくなんでも素直に試してみましょう。私も書棚にあまたあるマラソン本を見直してみようかな。
ところで。
Amazonでこの本のレビュー見ていたら、「著者はもともと才能があった。この本は参考にならない」みたいなクソレビュー(下品な言葉遣いですみません)が散見されるんです。ほかの本でも同じようなのを見かけました。そういう人には、自分が何年間どんな努力をしてどうダメだったのか、具体的に書いてみろと言いたい。
人類進化生物学教授ダニエル・E・リーバーマンは、ヒトがほかの動物より優れているのは持久走だけだと書いています。100mをウサイン・ボルトより速く走る野生動物はいますが、フルマラソンを走り切る動物はいないのです。そういう意味でいえば、才能があるかないかに議論の余地はありません。問題は、人間に備わっている才能を伸ばすか伸ばさないか、だけです。
知恵をしぼって努力した人に向かって「もともと才能があったんだよ」と毒づき、思考停止に陥る態度って許せんな、と義憤にかられたのでありました。