『山縣亮太100メートル9秒台への挑戦』

山縣亮太100メートル9秒台への挑戦 (学研スポーツブックス)

山縣亮太100メートル9秒台への挑戦 (学研スポーツブックス)

 

 山縣亮太選手はたまたま私の中学・高校時代の後輩です。面識はないのですが山縣選手の成績をチェックし、上京後(大学入学後)は追っかけをしています。

 山縣選手は指導者につかず、自分で創意工夫してきたことをさまざまなメディアで知りました。おそらくかなり頑固なことも察していました。
 経験豊かなコーチやスポーツ科学の研究の知見を得るのは悪くないと個人的には思っています。何も知らずに数学を独学し、ピタゴラスの定理を発見したら天才でしょうが、じつは周りの凡人は教わっている。先人の知識を聞けば、より高度なところからスタートできるはずです。山縣選手も何年か前、日本代表の合宿で朝原氏から着地のヒントを聞いてタイムが伸びたと聞きました。大学卒業後、アメリカに渡って有名コーチに会ったとも記憶しますが短期でしたね。
 そんな山縣選手が腰痛を発症していた時期、仲田健トレーナーと出会い、胸襟を開いて指導を受けはじめます。結果、トレーニング方法や調整法を見直し、自己ベストを更新していくのです。私は昨年、大阪・長居で自己ベスト10秒03を見ました。えっへん。
 仲田トレーナーとの経緯をまとめたのが、最近刊行された『山縣亮太100メートル9秒台への挑戦』(学研)です。サブタイトルは「トレーナー仲田健の改革」。仲田氏と山縣選手の対談にも一章割かれています。今年の世界陸上で山縣選手が好記録を出すと目論んで刊行したのでしょうが、故障明けで臨んだ日本陸上競技選手権で記録を出せず、山縣選手は切符を逃してしまいます。そんな今シーズンの悔しさも書かれています。
 ご承知のとおり世界陸上では、サニブラウン・ハキーム、ケンブリッジ飛鳥、多田修平、桐生祥秀、藤光謙司各選手らが大活躍しました。とくに200mで決勝に進んだサニブラウン選手の充実ぶりは素晴らしく、100mも9秒台が出ると感じていました。
 10秒00台の選手はたくさんいます。秋になり、追い風などの条件が整えば、いずれ誰かが日本人初の9秒台は出す可能性はあるでしょう。

 山縣選手の焦りもわかりますが、徐々に戻していくしかありません。
 
 本書には実用的な側面もあります。以前陸上雑誌にも紹介されていた、ストレッチポールやバランスボールを使ったトレーニングの図解が掲載されています。動的体幹トレーニングです。これがなかなか難しくて……。