足底筋膜炎とグラストン・テクニックと私

◉足底筋膜炎の発症

 2012年2月の東京マラソン、17〜18キロあたりでしたか、突然、右足裏にパチンッと未知の衝撃が走りました。気にせず走りきりましたが、それが足底筋膜炎の始まりだったのです。
 徐々に悪化し、左右とも足裏に痛みが出るようになりました。朝起きたらじんわり痛み、夕方走っていたら足裏に強力なゴムパッチンを喰らったような、釘を打たれたような激痛が襲います。
 4月に病院に行くと、スポーツドクターは「走りすぎですよ。休みなさい」と湿布を出してくれました。「わかりました。2、3日休みます」「2、3日じゃ治らないかもしれませんよ」「そうですか。では4、5日休みます」……結局2週間休み、整体で正しい身体の使い方を教わりながら回復を待ちました(特注インソールなどでは根本的な解決にはならないので頼らない方針)が、痛みは消えません。足底筋膜炎をネットなどで調べてもたいてい「決定的な治療法はないが、3週間から3年で自然に完治する」なんて書いてあるだけです。3年も待っていられるか。試行錯誤しながらジョグで月間400K、多いときは500K走っていました。瀬古選手はケガしていたときも、ジョグをしていたと言います。
 そのときの自己分析では、原因は《足首の可動域の狭さ》《足の外旋ができていない》《レースで履いていたターサーが合わなかった》《腓腹筋が張っていた》ことです。

◉足底筋膜炎より痛い(?)グラストン・テクニック

 秋になり、スピード練習を始めると、バチンッ、バチンッと、震度7クラスの激震が走ります。大地震にたとえたくなる衝撃なのです。「これじゃあ、2013年度のレースは全部走れないな」と絶望して、深夜なんとなく検索していると、「グラストン・テクニック」という耳慣れない治療法がヒットしたのでした。
 何をされるかわからないけど、どうせ高い金を取られた挙げ句、「治るまでは休め」と言われるのがオチだろう……と、まったく期待せずに某治療院に行ったんです。
 金属製の棒で患部をグリグリしごかれました。これがまあ、痛いの痛くないの! 先生を蹴り倒したいくらいの激痛です。最後に残ったわずかな理性でなんとか耐えましたが、うめき声はあげました。終わったら全身汗びっしょりになりました。
 運動により断裂した筋膜(筋肉を覆う膜)が、治ろうとするさい、本来離れているはずの別の筋膜と癒着してしまうそうです。次に動かしたときに、癒着した筋膜同士が剥がれて痛みが生じるのが足底筋膜炎なのだとか。器具で筋膜をリリースするのがグラストン・テクニックらしい。アメリカ生まれの治療法です。
 一回目の治療が終わるとき、先生はこんなことをおっしゃいました。
「この状態なら一週間おきの治療で3、4回やれば痛みは治まります。練習を休まなくてもいいし、予定のレースも全部出られますよ」
 な、なに!? 我が耳を疑いました。決定的な治療法はなく、自然治癒を待つだけの故障と聞いていたのに、1ヶ月で治るのか? 信じられないが、痛いのを我慢して続けるしかない。ほかに頼るものはないんだもんな。
 保険は適用されませんでしたが、税込2,100円也(消費税5%の時代です)。
 2012年11月6日のことでした。

f:id:mugibatake40ro:20140618105554p:plain

◉12月にレースを走れた!

 3、4回で完治するという先生のお見立ては残念ながら間違いでしたが、一週間おきの治療を7、8回繰り返すと回復しました。走るのは休まず、整骨院までの8.5kmを片道もしくは往復走ることもありました。同じ力で施術されてもしだいに痛みは減っていきます。治療院を出てから足裏がヒリヒリするので見てみたら、真っ赤なミミズ腫れができてましたけどね。
 あとで、私の足底筋膜炎は今まで診てきたどんな患者さんよりひどかったと言われました。えっへん。
 ハーフや11月のつくばマラソンは回避。しかし徐々に回復し、12月の防府読売マラソンには参戦できました。ペース走をやってなかったので不安でしたが、結果、3:13:51で無事完走。セカンドベストの成績で安堵しました。つづく東京マラソンでは自己ベストを更新できましたから、グラストン・テクニックには本当に感謝しています。
 実際、どんなふうにグリグリされるかは、動画をご覧下さい。
 足裏ごしごしは1分45秒くらいです。

◉足底筋膜炎のその後

 筋膜、筋膜リリースなどについてもあれこれ勉強しました。
 筋肉を覆っている組織です。魚肉ソーセージが筋肉だとすると、ソーセージを覆っているオレンジ色のビニールが筋膜。隣り合った筋肉はそれぞれ独立して動きたいのに、筋膜同士がくっついてしまうと、自由を奪われてしまうのです。
 グラストン・テクニックは筋膜リリースの方法のひとつです。足底筋膜炎のみならず、肩こりなんかにも劇的に効くそうですが、あの痛い治療をするくらいなら肩こりを我慢するほうがマシだと、みんな1度でやめてしまうんだとか。なんにせよ、相当な覚悟が必要な治療です。切羽詰まった人にしかおすすめしていません。

 私の場合、足底筋膜炎の原因は、ふくらはぎの筋肉の張りにあるんじゃないかと先生に言われ、足裏の次に、ふくらはぎを施術されました。しばらく通って筋肉のしこり(硬結)や過去の肉離れの痕(瘢痕)などをとってもらうと、ふくらはぎがかなり柔らかくなりました。もちろん激痛は伴いましたけどね。
 振り返るに、足底筋膜炎発症のころはふくらはぎもコチコチでした。そんな状態で青梅マラソンと東京マラソンを2週連続で走ったことが故障につながったのかもしれません。日々のケアは大切ですね。その後も、なにか違和感があったら、グラストン・テクニックでグリグリしてもらっています。
 足裏のバチンッはずっとおさまっていたんですが、つい先日、かすみがうらマラソンで友人のサブフォーをサポートしたとき、一年数ヶ月ぶりに痛みました。ぶっといゴムパッチンでした。震度7クラス。キロ5分半なら平気だろうと油断して、ASICSターサージールを履いていたんです。治療中、最後の激震に見舞われたときに履いていたシューズでした。二度履いて二度とも足底筋膜炎の症状がでたわけです。そもそも発症した東京マラソンではターサーブリッツを使っていたし、よほどターサーとは相性が悪いらしい。私の場合、レースも練習もアディゼロシリーズしかありえません。
 かすみがうらのあとは、2回ほどグラストン・テクニックをやってもらいました。いまは無事です。ひごろ、違和感があれば筋膜リリースでセルフケアしています。どんなことをしているかは、また別の機会に。

 グラストン・テクニックは対症療法です。
 足底筋膜炎を根治するには、どうしたらいいか。あれこれ考えていますが、これはみなさんに披露できるレベルにあるかどうかわかりません。