狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

道路を歩行者に返せ(前編)

先日、マラソン愛好家に知られる方が次の記事を紹介していたのです。

記事がなくなるかもしれないので、引用。

 福岡県那珂川市の市道をランニング中に、ぬれたこけが原因で滑ってけがをしたとして、県内の50代男性が市に1650万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、福岡地裁であった。上田洋幸裁判長は「ぬれたこけを除去するなどの適切な措置を取らなかった」として、市に280万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2020年8月10日午前8時45分ごろ、峠にある市道をランニング中、ぬれたこけで滑って転倒。背中を地面に打ち付け、坂道を約5メートル下まで落ち、肋骨(ろっこつ)が折れるなどのけがをした。

 当時、歩道わきの壁から漏れた水で歩道一帯がぬれた状態となり、約5メートルにわたって、こけが歩道の表面を薄く覆っていた。上田裁判長は、「歩道が山地を切り開いたものであることを踏まえても、舗装された歩道の表面に約5メートルもこけが広がっていることが通常であるとは考え難い」とし、「事故の発生を予見し、回避することは十分可能であり、安全性を欠いていた」と、市の責任を認めた。

 市は「判決を確認していないのでコメントできない」としている。(西岡矩毅)

ここに寄せられた複数のコメントが興味深い。コピペするのは憚られるので大意を書きましょう。

  • どの自治体もカネがないから補修できないのはしかたない。
  • 自分の不注意を棚に上げて訴えるなんて恥ずかしい。
  • こんなことが続くとジョギング禁止の道が出てくる。

ちょっと震えましたよ。「自己責任論」がみごとなまでに頭に染み渡っています。

福岡県那珂川市は控訴した模様。もう少し詳しく見てみましょう。

この動画のコメント欄も自己責任論だらけです。

正論が通じない世の中ですが、車道と歩道を分けたのは市で、ここを歩けと言うなら、市が適切に管理しなきゃならんのです。怪我をした人が市の責任を問うのは全然おかしくない。

車道を走れば良かったという人もいますが、車道はクルマが走る道じゃないんかい。

「自治体はカネがないんだよ」という人へ。税金納めている側が、先回りして自治体の懐を気遣う必要はありません。最終的に賠償金がどうなるかわかりませんが、歩道からこの程度の苔を取り除く費用と賠償金とどっちがお高いんでしょうか。

この話、続きます。