Twitterかなにかで、NHK「ろんぶ〜ん」(→公式サイト)という番組を知りました。さまざまな論文を紹介する番組らしく、その一週目が、ランニングとバッティングの動作解析の話とのことでした。
再放送を探して視聴しました。紹介された論文は木越清信、加藤彰浩、筒井清次郎「小学生における合理的な疾走動作習得のための補助具の開発」(「体育学研究 57」2012→PDF)です。
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番組には、ロンドンブーツ田村淳と元巨人の仁志敏久が登場。おお、なつかしや筑波大学。つくばマラソン走ったあと、ここ通ってバス停に向かったものです。
筑波大学の木越清信先生が登場。運動のコツを教わってもすぐに動作向上に結びつかないので、外部からの意識を変えることで走技術の向上を目指すという説明がなされます。《疾走能力の高い児童の特徴として,地面に接地していない脚(遊脚)の腿上げ角度が高いこと,および同じく遊脚の膝関節がより屈曲していること》(上記論文より引用)が知られているので、その2点を改善するために、手作りの器具を開発したそうです。
下記のふたつがその器具です。
左の器具は、歩くたびにピコピコ鳴る子供用サンダルを改良したもので、マジックテープで腿の裏に装着します。ふくらはぎで叩いてピコピコ鳴らす外部意識をもつことで、足が流れず、引きつけがうまくなる、とのこと。折りたたんでコンパクトに引きつけることで、ピッチを上げることができます。
右の器具は、足首より少し上にマジックテープで……ええい、面倒くさい。ミズノから製品化されているそうなので、そちらをご覧下さい(→ダッシュビート)。番組はもっと下に装着していましたけど。腿上げが高くなれば、より大きな位置エネルギーを獲得できますから、足を振り下ろしたさいに強い地面反力を得られるのです。たぶんね。
ふたつの器具をつけて、仁志氏が走った様子がこちら。
仁志氏、50Mダッシュだったんですけど、軽く走っているのか、あるいは野球選手の特性なのか、スピードが上がって胸をはるような動作をしないんですよね(番組後半のバッティングの話では本領を発揮していましたよ)。足が流れていたのは明らかに改善されたようです。
論文に触れられていますが、腿裏にセットするピコピコは、もともと速い子につけさせるとかえって遅くなる場合があったとか。そのせいか製品化はされていないようです。
ん〜と、噂に聞いていたロンブー淳の不思議な走り。動作が大きなわりに足踏みみたいになっていて推進力につながっていません。器具2をつけて走っていましたけど、なにかが劇的に変わったということはなかったようです。