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『ゼロベースランニング』と、台形&大転子

ゼロベースランニング 走りの常識を変える! フォームをリセットする!

ゼロベースランニング 走りの常識を変える! フォームをリセットする!

  • 作者:高岡 尚司
  • 発売日: 2016/12/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

先日来、何度も読み返しているランニングフォームに関する本です。著者・高岡尚司さんは、裸足でフルマラソンを2時間45分39秒(裸足ランの日本記録)で走られた方です(ランニングシューズを否定している本ではありませんので念のため)。

ときどき「裸足で走ればすべてが解決する」という意見を耳にしますが、私は疑っています。素足もしくは裸足系シューズを履いたランナーを観察すると、踵着地でおそるおそる走っている人が案外多い。アベベは裸足で世界最高記録を出したけど、たいていの人は、裸足になるとランニングシューズを履いたよりずいぶん遅くなるはずです。かくいう私もビブラム・ファイブフィンガーズではキロ5くらいまでしか出しません。

高岡氏は、裸足で走り始めてから、ふくらはぎを左右それぞれ3回ずつ痛めたそうです。故障を通じてたどりついたフォームの基本は、胴体を使って走るということ。私はいま「胸部から骨盤までを使って走り、手足はついてくるもの」という考えていますから、いい本に巡り会えました。

そのうえで、着地や腕振りなど、いろんな動きを解説しています。フォームやストレッチのモデルとなっているのは著者自身。写真がたくさん挿入されています。

私は、月に3〜4回、裸足系ランニングを取り入れています。VFFやサンダルで走ると、身体のおかしなところがビビッドに自覚できるというメリットがあるからです。


さて、本文の内容に少し触れます。《胴体の動きは四肢の動きに先行する》《脚は自然についてくる》などの項目は私の考えを補強してくれます。「蹴ってはいけない」とか「踵着地はいけない」というのは、ランニング初心者には参考になるでしょう。

私がビックリしたところはたとえば……。
接地時間は短ければいいわけではない》は初耳でした。
大転子で加速する》も、どういうことなのか考えさせられます。いままで大転子を気にしたことがなかったんです。身体を台形に使うことで大転子が移動し、バネが生きるとあります。私なりには、支持脚になって踏み込む瞬間、その脚に体重がきちんとかかり、地面反力を全身で受ける姿勢のつくりかただろうと解釈しています。

著者が書くことが、アフリカ人の男性ランナーのフォームの解説になっているのがおもしろい。ケニアやエチオピアのランナーは(よく見たら全員というわけではありませんが)フォアフットで着地し、胸を出すようなフォームです。腕振りも似通っています。つまり、彼らは理にかなった走り方をしている、ということでしょう。

日本人は体格や筋肉の質が異なることがあったとしても、目指す走り方は同じだと私は考えています。この本のフォームを完全に習得するには時間がかかるでしょうが、読者が真剣に考えることで、跳ね返ってくることが大きいという予感があります。

繰り返し読みます。

今年2回目の練習会……12月8日の日記。

 スピードを出す気になれないので、きちんと週1で練習会に顔を出すことにしました。ただ、いつも参加する中級クラスがお休みの日でした。
 本日の設定は、5,000m(R=400m)2,000m(R=200m)フリー1,000m。
 5,000mと2,000mは、ペース走(ロングインターバル走?)で、上級クラスは3:50/km、初級クラスは4:50/kmというペース設定……。

 迷わず後者を選択したのでした。

 おろしたてのミズノ WAVE EKIDEN を履いていました。初めて履くシューズは、27.0cmと26.5cmでいつも迷い、小さい方を選ぶと必ず後悔するんです。右の親指の爪が黒くなっちゃったかなあ、と痛みをこらえて走ってました。バカです。安定性も今ひとつな気がします。残念だけどジョグ用にしよう。
 4:50/kmはきつくないペースですけど、こらえ性がありません。シューズのせいにしてやめちゃおうかな、なんてふと思うのが情けない。ほかのランナーのフォームを見たり遠くを眺めて気をまぎらわせました。練習もレースも「やる気」が大事ですね。モチベーションを維持して最後まで走り通す気持ちを養わなければ。
 ラストの1,000mは、前に飛び出した人を追い、ビルドアップ気味に差をつめていましたが、とらえられず、無念。それでも3:39は、自分ではまあまあかな。

 4:45/4:45/4:48/4:48/4:47(2:25)4:50/4:50(1:12)3:39
 =40:50(4'44/km、距離8.6km)

 アップとダウンあわせて14キロ走りました。

金栗足袋について……『陸王』を読みました。

 池井戸潤『陸王』(集英社)の感想です。

 零細企業である老舗の足袋専門業者「こはぜ屋」の社長が、マラソン足袋「陸王」開発を思い立ち、社員はじめいろんな人と協力し合いながら悪戦苦闘するストーリーです。改良に改良を重ねた陸王を、怪我から復帰した実業団選手が履いてくれることになりますが、ライバル会社の妨害があったり、取引銀行から融資を受けられなかったりと、いくつもの障壁が立ちはだかるのでした……。
 さすが定評のあるエンタテイメント作家です。面白くて一気に読みました。何にしてもすんなり進まないところが魅力ですね。予定調和へ一直線じゃつまらないもの。
 ちなみに、主人公・紘一の「紘」の字は、戦後から昭和51年まで人名に使えない漢字でした。八紘一宇の「紘」だからでしょう。おそらく主人公は昭和30年代か40年代生まれなので……あ、こんな情報不要でしたね。
 装丁がまた素晴らしい。カバーは小説風ではないけど、悪くない。表紙の蓮の絵もいい。たぶん誰も気にしないんでしょうが、見返しと別丁扉の用紙の選定がみごとです。

 駅伝やフルマラソンのシーンもあり、盛り上がります。
 私に不満があるとすれば、ベアフット系シューズの魅力が期待したほど書かれていないことでしょうか。
 裸足系ランはフォアフット着地を促し「人間本来の、怪我しにくい走り方を実現できる」と説明され(エビデンスレベルはわかりませんが、そういう研究はあります)、薄いサンダルで山岳ウルトラレースを走破するタラウマラ族も紹介されています。
 でも、おそらくずっと踵着地だったであろう実業団選手が陸王に足をいれたときのファーストインプレッションや、フォームの変化なども読みたかった。そういえば、レース中の茂木選手の心理状態もほとんど書かれなかったような。私のないものねだりかな。著者が勝手な空想を書かない主義であれば、もちろん尊重します。

 マラソン足袋の歴史にもあまり触れられません。
 以下は、後藤正治『マラソンランナー』(文春新書)から得た知識です。
 のちに日本マラソンの父と呼ばれる金栗四三は、1912年、足袋を履いてストックホルムオリンピックを走りました。途中で倒れてゴールできなかったものの、55年後、同地にに招かれ、ゴールテープを切りました。フィニッシュタイム54年8ヶ月6日5時間32分20秒3は世界一遅いフルマラソン記録だとか。ゴール時の写真を見ると革靴です。(余談ですが、『陸王』は金栗四三に「かなぐりしぞう」とルビを振っています。「しそう」と思っていましたが、どちらでもよいとの説も。55年後に発行されたストックホルムオリンピックでの完走証にも「Shizo」とありました)
 1936年、朝鮮半島が日本統治下にあったため日本選手としてベルリンオリンピックに参加し、優勝した孫基禎も足袋を履いていました。
 金栗は、東京ハリマヤ足袋店の主人・黒坂辛作とともに研究し、自転車のゴム底を貼った足袋を考案。1950年代はじめまで日本人ランナーは「金栗足袋」を履きました。
 1951年、ボストンマラソンで広島出身の田中茂樹が優勝。足袋シューズでの快挙でした。レース後のインタビューでは《アメリカの記者たちはしきりに "魔法のシューズ" について訊いてくる。足先の割れた「金栗足袋」である。日本選手が国際大会で足袋を履いた最後のレースでもあった》(72ページ)
 金栗の伝記『走れ二十五万キロ──マラソンの父 金栗四三伝 復刻版(第2版)』でも、黒坂と共同開発したマラソン足袋に関して詳しく書かれています。金栗四三とその弟子・秋葉祐之は、その足袋で下関─東京1200キロを走破したのでした。
『陸王』のなかでは、こはぜ屋の先代がマラソン足袋の開発を試みています。1960年代のことだとすると、廃れた競技用の足袋を復活させようとしたのかもしれません。
 
 ハリマヤ足袋について検索していると、下記のサイトが見つかりました。

 ところで。
 裸足系ランニングだと自然にフォアフット着地になる、といたるところに書かれています。素足でも踵から着地する人を何人も見ているから私は信じてはいませんが……。金栗足袋がどんなふうに磨り減っているのか、画像検索したところ、はっきりわからず。金栗、孫、田中各選手のフォームもヒットしますが、フォアフットである確信は得られません。
 福岡国際マラソンHPのプレーバックをチェックしたところ、第3回優勝の古賀選手はたぶん足袋ですが踵着地に見えますね。

『陸王』のモデルになったマラソン足袋は「MUTEKI」です。私は試し履きしたことしかないんですが、好感触でした。いま履いているビブラム・ファイブフィンガーズがダメになったら購入します。

陸王

陸王

 
マラソンランナー (文春新書)

マラソンランナー (文春新書)

 
走れ二十五万キロ マラソンの父 金栗四三伝 復刻版(第2版)

走れ二十五万キロ マラソンの父 金栗四三伝 復刻版(第2版)

 
 

最近の裸足系ランニングの悩み。

 私、ときどきビブラム・ファイブフィンガーズ(VFF)やルナサンダルなどの裸足系ランニングをします。普段のランニングシューズも格別ソールが分厚いわけではないんですが、裸足系のシューズだと、自分の身体のどこが痛いか、どんなフォームになっているか、よくわかるんです。
 ファイブフィンガーズを最初に履いたのは2010年9月のこと。以前書いた記事と重複するので、今回は繰り返しません。

 今年から骨盤主導を意識するようになり、足がムチのようにしなっている感覚があります。骨盤が回旋して、それにともない足先がついてきて、地面を叩く感じ……そもそも身体の中心しか考えていないので、自分では蹴っているつもりはありません。
 ところが、そのせいか、アスファルトを何キロか走ると、拇指の裏に水ぶくれができて、痛いの痛くないの! 以前は VFF で30kmくらい走ったし、サブフォーくらいできると思っていたのに、今はキロ6分に落としてもダメです。
 水ぶくれは、帰宅後、安全ピンでプチって穴をあければ、それですむんですが、走っているさいちゅうは一歩ごとに痛むのです。
 走り方が悪いのか、単に皮膚が硬くなれば解決する話なのか、わかりません。
 
 ちなみに一夜明けて、大腰筋や腹斜筋、広背筋、お尻周りやハムストリングがうっすら筋肉痛になっている感じです。使いたい部分(身体の中心)を使えている証拠だと思うんですが……問題は水ぶくれです。

湘南国際マラソン応援……12月4日の日記

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 湘南国際マラソンの応援に行ってきました。
 私は平塚駅で降り、相模川の橋を渡るあたりまでジョギング。
 その後、ランナーではないけどマラソンを見てみたいという、仕事上お世話になっている知り合い2人と合流し、3時間半から4時間半くらいのランナーを応援しました。
 写真は、平塚から海に向かって進んだ歩道橋の上から。晴れてて暑かったけど富士山がよく見えました。 参加されたみなさんお疲れさまです。
  その後、近所に住む仕事仲間の先輩に会いに行きました。

 飲みながら、福岡国際マラソンの結果をチェック。故障のため欠場かも、と伝えられていた川内優輝選手がサブテンで3位と知り、驚きました。
 やはりすごいなあ!