大迫傑選手のこと、福岡国際マラソンのこと。

 福岡国際マラソンで優勝した服部勇馬選手、お見事でした。終盤の失速を40km走で克服したとか。苦手を克服する地道な努力が実を結んだんですね。「日本人1位」などというガラパゴス順位ではない、見事な優勝でした。またまたナイキ・ヴェイパーフライ4%がレースを制しました。
 服部勇馬選手は、大迫傑選手、設楽悠太選手など、近い世代のランナーに刺激されたに違いありません。多くの若い選手が、駅伝ではなくマラソンに主軸を移し、高いレベルで切磋琢磨する時代が来たのでしょうか。

 話は少し変わりまして。
 以下は、大迫傑選手の話題です。

 いつだったかな。
 買い物に行くと、分厚くて黒い雲がもくもくと広がり、ザッと土砂降りに見舞われました。ビニール傘を買うかどうか迷いましたが、すぐにやみそうな気配でしたから、書店で雑誌を購入し、同じビルの喫茶店で時間を潰したのです。
 選択したのは「Number Do」でした。表紙に大書された「おっさんずラン」が「おっさんずラブ」というドラマのパロディであるとは、流行語大賞のノミネートを聞くまで気づかなかった。私はあまりテレビを見ないので。

 立ち読みして、買わなきゃっ、と思わせたのは大迫傑選手のインタビューです。「大迫傑の覚悟」と題されたその記事、箴言のかたまりみたいでした。四半世紀先に生まれている私ですが、彼にいろんなことを教わりました。
 以下、引用です。

 もちろんきついときもありますけど、それをなるべく顔に出さないようにしています。頭と身体を別々にして、頭ではきついと感じても、身体は淡々と動かす。きつさは変わらなくても、それが身体に表れないようにどうセーブしていくか。そのひとつとして顔をリラックスしておくと、単純に力みがなくなって、タイムが少し良くなったりするんです。そう考えると、きつさってすごく主観的なもので、意外と対応できるものなんです。だから脳と身体は別々、集中集中、気持ち気持ち、って思いながら追い込んでいます。

強くなるって、実はすごく単純なことで、ハードなトレーニングを毎回続けて、ハードな毎日を過ごせばいいだけなんです。(略)実は意外とシンプルなトレーニングばかりで、ただ、それを毎週繰り返すだけの気持ちがあるかが重要なんです。ポイント練習の合間をいかに頑張って繫いで、さらにポイント練習も頑張る。それを何ヶ月も繰り返して強くなっていく。

僕が感じるのは、みんな時間をかけることを恐れているんじゃないかということ、半年やって結果が出ないから、自分の身体に合わなかったという人もいますけど、何事においても、とりあえず1年、2年はやってみたほうがいいと僕は思う。

速くなるためには、自分のことは自分で考えなきゃという思いが強い。結局100%考えてくれるのは自分だけですから。

レースまでの日々は、葛藤をしたり、今日はこれだけ自分に勝てたとか、これだけのメニューを継続してきたとか、これだけのものを我慢したとか、色々なことに向き合うわけです。だから、スタートラインに立ったら、もう全部やることはやった、といい意味で開き直って、あとは42.195kmを走り切れば何も考えなくていい、という楽しみな気持ちが強いですね。もう速く走って、早く終わらせたい(笑)。

 どうですか。
 大迫選手、27歳。
 哲学者ですね。

 私、53歳。まだ頑張ります。