映画『天狗飛脚』

夜、なんとなく見はじめた時代劇『天狗飛脚』(1949、大映)、期待していなかったこともあり意外な面白さに驚きました。監督/丸根賛太郎、出演/市川右太衛門、小杉勇、相馬千恵子、志村喬、加東大介、上田吉二郎、沢村貞子、子役の澤村マサヒコ(津川雅彦)。ちなみに沢村貞子の弟が加東大介で、甥が長門裕之・津川雅彦です。

天狗飛脚

天狗飛脚

  • 発売日: 2020/09/27
  • メディア: Prime Video
 

飛脚問屋「天狗屋」はエース飛脚を引き抜かれて廃業寸前です。そこに現れたのが長太(市川右太衛門)でした。江戸・大坂を6日で往復する韋駄天ぶりです。1日200km弱かしら。長太をスカウトしてV字回復の大繁盛を見せる天狗屋。しかし、そのころ江戸市中を荒らし回る俊足の大泥棒がいて、それが長太だという噂が立ったため、店はふたたび傾きます。長太と相思相愛らしい天狗屋の娘おしゅん(相馬千恵子)は家業再建の支援をうけるため、やむなく大阪へ嫁ぐことを決意します。ヤケ酒を飲む長太は泥棒の嫌疑で目明かしの源七(石黒達也)に捕縛されそうになる始末。問題は重なるもの、子供だけが罹る流行病に罹り、長太を慕う少年・平太郎(澤村マサヒコ)も倒れてしまいます。蘭医仁斎(小杉勇)の命を受け、長太は特効薬を求めるべく大坂を往復することになりました。同じころ、なぜか源七も西に出奔していたのでした。

よくできた映画です。展開のテンポが良くコメディ要素もふんだん。音響効果もなかなかのものです。ストーリーもよく練られています。奉行の久内(志村喬)とお尋ね者となった長太が同居するアイデアなど、ちょっと浮かびにくいのでは。

映画の原初的な面白さって追いかけっこだと思っているんです。本作、最後はマラソンのトップ争いさながらではありませんか。コマ落としで速く見せているとはいえ市川右太衛門はじめみんなよく走ります。ミステリー解決と恋愛成就と人命救助を主人公の脚にかかっているんです。

舗装されてない箱根などの街道を眺めるのも楽しかった。

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大小二本差しの侍も少し出てきますが、チャンバラシーンはありません。小刀が出てくる程度です。戦後、GHQの統治下であった1945〜1951年まで、チャンバラ映画は軍国主義的だとされ禁止されました。だから時代劇の大スター片岡千恵蔵はその時期、現代劇である多羅尾伴内シリーズに出演したのです。七つの顔を持つ男も面白いけどね。他方、時代劇は時代劇でも剣戟シーン禁止のルールのなかで知恵をふりしぼってこんな娯楽映画つくっていたんだから日本映画界もなかなかしぶとい。