マラソン後の疲労回復

 萩往還140kmを走ったことを後悔しています。

 過去の最長距離は、2012年7月、所沢8耐で記録した81.15km(7時間53分11秒)でしたが、ウォーキングをまじえて140kmを踏破できないなんてまったく考えなかったのです。準備不足だったので6km以上コースアウトするなど余計に時間がかかりはしたものの完踏はできました。不本意なことに最後は大腿四頭筋が痛くて歩いたんですが、あの程度で「地獄を見た」なんて言うつもりはありません。
 しかし、不安定な石畳を走ったことで両膝に軽い炎症が残っていたり、筋肉痛が終わったあとでも身体の芯に疲れが居座っている感じがして、もう2週間も経つのにジョグしかできないんです。

 今のところ、真剣にウルトラマラソンを目指そうという気はありません。萩往還140kmは、70kmの部を走る友人たちとの楽しいレクレーションでした。たしかに楽しかったけど、このダメージは大きい……。梅雨前の、スピード養成にもってこいの時季にジョグしかできないとは、いかにももどかしいのです。

 いったいいつになったらきちんと回復するのか。私の身体に何が起きているのか。

 疲労回復のメカニズムを探るために、アレックス・ハッチンソン著『良いトレーニング、無駄なトレーニング』(草思社)を取り出してきました。近年の研究をもとに運動に関する知見がたくさん紹介されている非常に興味深い本です。「フルマラソンなどハードな運動から回復するのに必要な時間は?」の項(p.212)にこんなことが書かれていました。以下は引用ではなく、要約です。

 フルマラソンなどの持久系スポーツではいろんな筋肉が損傷を受ける。
 心筋も損傷を受け、心外傷の可能性が高まるが、1週間で回復する。
 脚の痛みはレース後、1〜3日でピークを迎え、1週間ほど続く。痛みがそれより長引く場合、より深刻な損傷の可能性がある。
 痛みが消えてからも、筋肉疲労が数週間続くことはよくある。充分にトレーニングを積んだランナーを対象に、フルマラソン1週間後に電極を使用して筋収縮を起こしたところ(例のカエルの実験ですね)筋肉自体は完全に回復していたが、被験者が自主的に筋肉を収縮させようとすると、レース前よりかなり筋力が落ちていた。この結果、マラソン後も続く疲労は神経筋に由来しているということが考えられる。脳が筋繊維に送る信号が送信経路の途中で妨害されているのである。

 心筋とは本人の意思とは関係なく動く不随意筋であり、本書に書かれた「神経筋」は随意筋を指すのだと思います。つまり、フルマラソンのあとは、不随意筋同様、随意筋の筋損傷も一週間くらいで回復するものの脳から指令を送る道路が壊れていて、復旧にはなお時間を要する、ということなんでしょう。著者は、フルのあとは2週間かけて通常のトレーニングに戻していけ(逆テーパ方式)と書いています。

 ふむふむ。

 萩往還ではフルの3倍以上の距離をラン&ウォークしたわけですから、筋損傷の回復に2週間くらいかかってもおかしくない。あとは脳と筋肉がきちんと連絡するのを待つだけですね。フルのレースペースで2キロくらいなら走れるようになったし、少しずつ負荷を上げていかなければ。

良いトレーニング、無駄なトレーニング 科学が教える新常識

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  • 作者: アレックス・ハッチンソン,児島修
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2012/02/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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