狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

足首の底屈・背屈と離地のタイミング

 キロ5分はめいっぱいのペースではないつもりですが、1月3日のフルマラソンで疲れたのでしょうか。9日に、30kmジョグのグループ走をやっていたところ、ハムストリングスやお尻が悲鳴をあげてしまい、19kmでリタイアしました。先輩ランナーから「お尻やハムが痛いということは地面を蹴っているのではないか・あるいは身体の一部に負担をかけすぎではないか」と指摘してもらいました。後者のご意見はそうかもしれませんが、優秀な長距離ランナーって筋肉痛がないのか、あっても全身満遍なく疲れるのか、わかりません。私の場合、いままで使えてなかった筋肉が目覚めて、鍛えられている最中という気もします。今後の研究課題です。
(ひとつ書き添えますと、最近大腰筋が攣ったりもするんですが、総じて、身体の中心近くが筋肉痛になるのって不快ではないんですよね。ジンワリとした疲労にはむしろ多幸感さえ覚えるんじゃないかと思います)

「地面を蹴るな」とよく言われます。おそらく足首を底屈(足関節の角度を大きく)させて地面を蹴るな、という意味だと思います。足首の底屈をする筋肉は、ヒラメ筋・腓腹筋・後頸骨筋・長腓骨筋・短腓骨筋などの、ふくらはぎの筋肉が主体です。
 私は最近、ふくらはぎのダメージはほとんどないんです。
 繰りかえしますが、筋肉痛になるのはハム、お尻、大腰筋など。
 ハムストリングスは股関節の伸展や膝関節の屈曲にかかわる筋肉群で、骨盤と膝あたりをつないでいます。お尻の筋肉とともにハムストリングスが蹴ることには貢献しない気がします。ともかくハムの負担を減らす方法を考えたいと思います。

 ところで。当面、私が気になるのは、足首の底屈ではなく背屈(横から見たときに、足関節の角度を小さくすること)なんです。私は学生時代よく正坐をしていたせいか底屈は得意なんですが、背屈が苦手です。このストレッチングボードにきちんと乗っていられるのは17.5度くらいまでじゃないかなあ。20度だと少し踵が浮きます。
 足首は硬いほうがアキレス腱の伸張 - 短縮サイクル(SSC)が発揮できていい、という話も聞くんですけどけど、それでも限度があるんじゃないでしょうか。可動域を少し拡げたい気もします。

『ゼロベースランニング』の著者・高岡尚司さんは、胴体の後方で接地しているのはアクセルになるから、身体の後方での接地時間は長くてよい、なるべく後方で離地せよと書かれています。離地を遅らせるドリルは、こちら。


書籍「ゼロベースランニング」P110◉カカトを押しつける〜離地を遅らせる〜

 着地は短いほうがいいと思っていましたが、高岡氏がおっしゃるように、着地してすぐに弾むと上へ跳んでしまいます。ガーミンのランニングダイナミクスを計測すると、やたら接地時間が短いくせに上下動の激しいヤツがいたなあ……(俺だよ!)。私は離地を遅らせてベクトルを前に向けるのが大事なんですね。

 よく引用される、榎本靖士ケニア人長距離選手の生理学的・バイオメカニクス的特徴の究明~日本人長距離選手の強化方策を探る~」(2007、PDF)には、接地時間に関する興味深い結果が出ています。日本人選手よりケニア選手のほうが接地時間が長かったのです。日本選手の接地時間が145±6msに対し、ケニア選手は156±9msとあります。

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 上図の説明を引用します。
(略)ケニア人選手と日本人選手の支持脚のキック動作をスティックピクチャで比較したものである.ケニア人選手では,接地から離地まで大腿の動作範囲が大きく,とくに支持期前半に下腿が大きく前傾し,その後大腿が大きくスウィングしている様子がわかる.とくに大腿が垂直になる姿勢では,その違いが顕著である.

 ケニア人の背屈角度は最大何度だろう? 今度、この図を測ってみますね。
 追記=膝が曲がった状態で、足首は30度くらいまで背屈していました。

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多摩川マラソングランプリで走り初め。

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 昨年1月3日のこと。ジョギングしていると、多摩川で大会をやっていました。エイドの方にたずねると、毎年開催しているフルマラソンだそうです。「それじゃあ、来年出てみよう」と思って丸一年。
 ロング走のつもりで参加しました。
 京王相模原線の京王多摩川駅で降りて河原まで歩きます。京王閣のそばです。
 1月3日なのにあったかい。富士山がよく見えました。短パン&長袖・半袖シャツの重ね着を選択しましたが、半袖でもよかったな。
 フルマラソンの部は9時10分スタート。
 42kmを走りきれることの確認と、年末年始の日本酒&餅を消費するのが目的です。「疲労を残したくないから今日はジョグで走り、結果サブフォーでいいんかな」程度に考えていました。ときどき寄らせてもらうウルトラランナーの週末フルマラソンは5:30/kmペースでもかなり速いんです。ところが、この大会はスピードを出す人がけっこういて、つられます。まあいいや、5:00/kmペースで行こう、と切り替えました。
 多摩川の土手を走るからコースはフラットです。いつものホームコースですから発見はない。退屈です。府中四谷橋の先のパチンコ屋のところで折り返し、一度スタート地点に戻ってハーフ終了。さらに、同じコースをもう一往復します。ああ、退屈。
 そこそこあった風が強くなったか、あるいは自分が耐えられなったのか、35km過ぎたころ向い風に足が止まりました。給水が(ハーフ地点以外は)水だけだったからエネルギー切れ気味だったのかもしれません……いやいや、ロング走不足だな。ラスト2kmでなんとか恢復しましたが、情けないかぎりです。タイムは3時間30分台。まあ、タイムはどうでもいいんですけど。

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5:10/5:03/4:59/4:59/4:58/4:56/4:57/4:56/4:56/4:56/
4:59/4:56/4:55/4:54/4:58/4:53/4:58/4:57/4:54/4:57/
4:54/5:12/4:57/4:52/4:49/4:56/4:56/4:56/4:58/4:55/
4:59/4:59/4:49/4:55/4:59/4:59/5:20/5:20/5:06/5:20/
4:59/4:45/1:08
(42.27km、3:30:16)

 毎回、非公認レースを走るたび、「本番じゃないから、と油断して大失敗。準備を怠ったためトラブルが起きた」と書いている気がします。ソーティマジックを履いていたんですが、マメ対策をしなかったので今回はずっと左足の裏が燃えているようでした。
 お尻の筋肉や大腿四頭筋も痛んだし、まだまだ鍛え方が足りません。
 これからすこし上げていきます。

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2017年、あけましておめでとうございます。

 あけましておめでとうございます。

 仕事を積み残しているのでスッキリしませんが、気分にかかわらず新年はやってきます。大晦日も元日も吞んだくれました。休みと決めた日は徹底的に弛む作戦です。
 ただいま2日。ぼちぼち仕事を始めました。
 走り初めは明日です。^^

 元日はお昼まで寝ていたので、ニューイヤー駅伝は最後だけ観ました。
 旭化成が18年ぶりに優勝。村山兄弟、市田兄弟の双子二組が走ったそうです。宗猛総監督ももちろん双子。
 双子ランナーがなぜ長距離界で力を発揮するのか、に関しては、「互いに切磋琢磨できるから」とか「相手を通じて自分を客観視できるから」などと聞いたことがありますが、それならほかのスポーツでも双子の優位性が活きるはず。モハメド・ファラー選手は、8歳のときに生き別れた双子の兄と再開した、と2年くらいまえに報じられましたが、となると、ファラーは兄弟の二人三脚で強くなったわけではありません。双子ランナーが持久走で活躍する背景には、もっと生理学的な理由がある気がしますが……。

 本日は、箱根駅伝の往路の日。5区だけ視聴しました。
 私は箱根駅伝を観る習慣はありません。22歳になるまでテレビ中継がなかったからだと思います。母校を応援することもありません。
 ただ、某大学が勝つか負けるかで新年の仕事の内容がほんの少し変わるものですから結果は気になります。青山学院大学の5区の選手が、私と同じ町の出身と知り、にわかファンになりました。出身大学の帰属意識は希薄なくせに、出身高校や広島出身の選手は応援したくなります。原晋監督も広島県出身です。
 ともかく往路が無事に終わってよかった。テレビ局も箱根ファンも、内心トラブルを期待しているんじゃないかと思うことがあります。ケガや脱水で失速したり、もうちょっとというところで襷がつながらないといった「ドラマ」が起きたら視聴率は跳ね上がるんでしょうし、ニュースでも映像が繰り返し流れます。とはいえトラブルは起きないに越したことはない。
 復路もみんな無事で、実力を発揮されんことを祈ります。明日、彼らが箱根路をキロ3分で走っているころ、私はキロ5分半で多摩川を走る予定です。

        

 ひとが頑張っているのに自分がボンヤリしてちゃいけませんよね。
 2017年の自分のこと。
 毎月400km走っていたのを、いまは300kmに減らしていますが、今後はジョグを極端に減らして、週3回のポイント練習のみにしてみようと思います。平日2回スピード練習&週末ロング走といった感じです。絶対的に足りないスピードを底上げするのが目的です。
 萩往還があるので4月はロング走をたくさん入れますけど、それ以外は心肺強化に努めてみます。
 スピード練習は坂道ダッシュ(上り、下り)、インターバル(400mを10〜15本とか、1,000m5〜7本など)、ビルドアップ、レペティション、ペース走などを組み合わせる予定。うまくいくかどうかわかりませんが、なんちゅうか、人体実験です。
 走らない日は、筋トレやストレッチにあてます。疲労抜きの研究もしなくちゃ。
 では、また更新します。

いつもこの日は……12月24日の日記。

 水曜日(21日)にぶつけてしまった太腿前面は、アザにこそなってないけど、案外痛みました。2日間休み、天皇誕生日でお休みだった金曜日夕方に走り始めたものの、着地のたびに大腿四頭筋が痛みます。平坦な道しか走れず、ジョグペースで20km。

 翌土曜日は、17時スタート。
 ぶつけた箇所よりも、やや内側の膝寄りに痛みが移動した感じです。少しは恢復している気がします。平坦なところは飽き飽きしたので、7キロくらいから緩い坂道を昇って降りてきました。
 約2時間、18km走ったんですが、すれちがったのは学生らしき男性2人だけ。歩く人も少ないんです。「みんな昼間に運動を終わらせたのかなあ。それとも世間に何かあったんかなあ?」と不思議です。しばらく考えたあと、クリスマスイブに思いいたって納得しました。例年、この日はランナーが少ないんです。
 数年前のクリスマスイブ、すれ違ったランナーは1人だけでした。それが若い美ジョガーでして。互いに視線を交わすことなくすれ違ったんですが、見知らぬ女性と秘密を分かち合った気がした……ということにしたのでした。

 クリスマスイブといったら、キリスト教徒でないかぎり、「子供がケーキ食べてプレゼントをもらう日」だから、うちとは関係ありません。
 帰宅後、妻に「夕飯はなに?」と言うと、「水餃子よ」と返します。
 食後少し仕事して、焼酎のお湯割りをすすりましたとさ。

痛てて。……12月21日の日記。

 昨晩のこと。多摩川沿いをジョギングしていました。19時くらいでも、冬至の1日前だから真っ暗です。見慣れないイルミネーションが目につきました。近づいて見てみようと方向転換したら、

 ガツン!

 右腿前面に衝撃。しばらく悶絶しました。
 木の手すりの端っこに右腿前面をぶつけていました。
 暗がりにまぎれてよく見えなかったんですね。
 そこから2キロほどゆっくり走ってみたところ、右足を接地するたびに衝撃が走ります。大腿四頭筋が衝撃を吸収してくれるということはようくわかりました。
 方向転換するときスピードを緩めたので、歩くようなスピードだったんです。「あの速度での打撲なんだもの、すぐに治まるだろ」とタカをくくり、いちおうアイシングと湿布で対処しましたが、1日経っても痛みは引きません。
 しばらくジョグだなあ。
 みなさんも暗がりランにはお気をつけくださいまし。

『日本のマラソンはなぜダメになったのか』感想

歴代のフルマラソン日本最高記録保持者である(以下敬称略)宗茂、瀬古利彦、中山竹通、児玉泰介、犬伏孝行、藤田敦史、高岡寿成のインタビュー集です。

ひとりにつき一章割いて、当時の練習法、現在のマラソン界への提言が披露されます。お風呂のお伴に、1日1人か2人ずつ読みました。

私は駅伝を重視しているかぎり日本のマラソンの将来は暗いと思っています。日本の中長距離界はガラパゴス化していて、その最たる証拠が「日本人1位」なる単語でありましょう。マラソン中継でも、私は後方で駆け引きする日本人よりアフリカ系のランナーに注目しています。

そんな私でも、過去、日本最高記録を叩き出したランナーの考え方を読むのはやはりとても面白かった。

1965年生まれの私が子供のころ、世界に伍する選手だとワクワクさせてくれた3大アスリートは王貞治、具志堅用高、そして瀬古利彦でした(次点は縄跳びの鈴木勝己かな)。瀬古選手のレースは面白かった。宗兄弟やイカンガーにぴったりくっついて、トラックに入ってから見せるラストスパート! じつにテレビ向きな勝ち方でした。

宗兄弟や瀬古に翳りが見えはじめたころ、中山竹通という傑出したスピードを誇る選手が現れます。1985年のワールドカップマラソン広島大会で、中山選手は2:08:15(当時の日本最高記録)の2位になりました。私はたまたまレースを沿道で応援していました。

その後、何度か記録が塗り替えられ、2002年に高岡寿成選手が2:06:16をマークしましたが、その記録がいまだに破られないばかりか、2時間6分台の選手すら出ていないのはみなさんご承知のとおりです。アフリカ勢はどんどん記録を伸ばしていますが……。

日本マラソンの練習法は、宗兄弟や瀬古が確立した基本を軸に、後続の選手が練習の意味を考え抜き、自分の個性を伸ばすため工夫を重ねたとわかります。中山をのぞく6人の練習メニューが公開されていますが、月間距離も内容もすさまじい。ハイペースの40キロ走が当たり前だったことにも驚きました。彼らは人一倍練習し、失敗を糧にして記録を樹ち立てたのです。

悲しいかな、それら練習法の伝統は途絶えてしまったようです。たしかに非科学的な根性論にも見えるんですよね。しかし正しい科学的トレーニングに最大公約数的な正解もがあるわけじゃないんです。ケニアのカレンジン族は宗や瀬古ほど走り込んでないかもしれませんが、彼らが科学に基づくトレーニングをしているとも聞きません。

現在の選手は、月間1,000km走るような練習を古いと考え、自主的に工夫することもなく監督のメニュー通りにやるだけだ、マラソンの練習をやってケガするより正月に駅伝に出ていればいいと思っている、ペースメーカーにしたがって自分でレースをつくらない、アフリカ勢に負けると端から決めているから追わずに「日本人何位」を気にする……など、手厳しいことがいろんな元ランナーの口から発せられます。

何度か名前が出てきた川内優輝選手は、彼らより練習量は劣るかもしれませんが、自分で工夫して泥臭く努力する、ある意味昭和っぽいランナーです。往年の選手の40キロペース走が、彼の場合、レースなのかもしれません。防府読売マラソン、ガンバレ!

登場する7人の歴代日本最高記録保持者のうち、箱根駅伝を走ったのは瀬古(早稲田)と藤田(駒澤)だけ。その2人も学生時代にフルマラソンを経験しています。高岡は龍谷大に進学して中距離を走り、あとの4人は高卒で実業団入りしているから、全員、箱根駅伝至上主義とは違うかもしれません。

われわれ市民ランナーはトップ争いや日本記録更新なんて無縁でしょうが、目標タイムや昨日の自分、特定のライバル(←私にはないけど)と競っています。この本には参考になることも見いだせるはずです。

私の場合、たとえば、

(略)他人がやらないことをしなければいけないと思います。それをやらなければ勝てるはずはない。私の場合は「ケニア人は自転車に乗っていないから俺も歩こう」と思ってずっと歩いていました。それを若い選手に何度言ってもわからないんです。
(第二章 瀬古利彦)

同じチームに5000mを13分26秒78で走ってハーフマラソンも1時間01分36秒の記録を持っていた年下の選手がいて、ポイント練習では太刀打ちできないくらいでした。でも彼は歩く時、腰が落ちた遅い歩きをしていたので、「そこを直さないからマメができて、2時間10分を切られへんのや。歩くときはキチンと歩け」とよくスタッフから注意されていましたし、私もしていました。彼はそれを理解しようとしなかったので(略)結局ベストは3回目のレースで出した2時間10分07秒に留まりました。体力もあるのでつなぎのジョグも練習内容もすごかったのですが、本人はそれで十分だと考えて走っていたのだと思います。
(第五章 犬伏孝行)

などなど。 

私ももう少し工夫して頑張ります。