狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

GoToトラベルなど

先月からいろいろあってあまり走っていません。大会もなく、走る気自体が失せ気味なので、何かでモチベーションを上げないと……と感じる昨今です。ほとんど外出することはありません。あいかわらずうちで仕事&読書&映画鑑賞&室内バイクです。

さて、臨時国会が開かれています。予算委員会が少ないのが不満ですけど……。

例のGoToトラベル見直しについて、菅義偉総理大臣、田村憲久厚労大臣、西村康稔経済再生担当大臣らが、いいかげんで、しかも冷酷きわまりない答弁をしています。

たとえば「GoToトラベルが感染拡大につながったというエビデンスはない」と言うのです。そりゃそうでしょう、追跡調査してないんだもの。

状況証拠を積み上げて帰納的に推論をすれば、GoToトラベルと感染に相関がありそうだとわかります。森永卓郎さんが作ったグラフを見てみましょう(株価バブルは崩壊間近 | | 森永卓郎 | 毎日新聞「政治プレミア」 2020/11/8)

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新型コロナウイルスは発症まで14日間かかると言われます。グラフの赤い線は1週間の平均なので、GoToトラベルに東京が追加された10月1日の顕在化するのは17.5日後です。ほら、増えています。

そちらは、あくまで状況証拠ですが、こんな解析も報じられています。(「GoTo東京追加で道内の感染加速」 脇田・国立感染症研究所長:北海道新聞 どうしん電子版 2020/11/7)

脇田隆字・国立感染症研究所長《感染研が国内約1万件の新型コロナの遺伝子を分析した結果、4月ごろに東京から道内に持ち込まれたウイルスは1度駆逐されたが、夏に東京から再び流入したと判明。札幌・ススキノを中心に広がった。理由については「業態が多様なため、各業界への検査のお願いが行き渡らず、十分な検査につなげられなかった可能性がある」と述べた。

ウイルスは変異しているので、遺伝子情報をチェックすれば動きがわかるのです。

蚊を媒介とする感染症などと違い、コロナは人の移動によって拡がるのです。都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ Coronavirus COVID-19 Japan Case (2019-nCoV)を見れば、新幹線や飛行機でウイルスが移動していることがはっきりわかります。大きな都市にまず運ばれたウイルスは、ローカル線や高速バス、自家用車などに乗ってさらに移動するのでしょう。

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人の移動と感染症の関係は昔からわかっていたことです。たとえば、安政五年にコレラが流行したときは、旧暦五月にアメリカ船によって出島に持ちこまれ、長崎市中に拡がり、中国、関西、翌月下旬に東海道沿いの街で流行して、七月に江戸へ入って多くの死者を出し、さらに八月には東北地方に拡がり、九月の終わりに終熄しました。(酒井シヅ『病が語る日本史』講談社学術文庫)

感染症と人の移動で拡がることは江戸時代の人たちも知っていました。「歴史に学べ」というレベルの話ですらありません。

なぜ現政権は「GoToトラベルが感染拡大につながったというエビデンスはない」なんて与太を飛ばすのでしょう。裏には利権やらなにやらがあるはずです。そんな政治家はTwitterや新聞投書で批判して、次の選挙で落選させるべきです。

では、対策はどうすべきか? 野党が提案しているとおりだと思います。東京、大阪、北海道など感染者が多い地域のGoTo(発・着ともに)を中断する。濃厚接触者の網を拡げてたくさんPCR検査する。介護職なども検査の対象にする。困窮者に支援金を出す。……

感染した自覚のない陽性者がスーパー・スプレッダーとなり市中感染が起きることを極力抑制しなければなりません。だから広く検査して無症状感染者を洗い出さなきゃならない。PCR検査は3割の偽陰性が出るという人がいますが、陽性反応が出た人の7割が行動しないのは、全国民の7割が自宅待機するのと同じ効果があります。簡単な算数です。

さきほど、11月27日の東京の感染者が過去最高の570人と発表されました。

病が語る日本史 (講談社学術文庫)

病が語る日本史 (講談社学術文庫)

  • 作者:酒井 シヅ
  • 発売日: 2008/08/07
  • メディア: 文庫