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『湛山回想』

湛山回想 (岩波文庫 青 168-2)

湛山回想 (岩波文庫 青 168-2)

  • 作者:石橋 湛山
  • 発売日: 1985/11/18
  • メディア: 文庫
 

急に涼しくなったのに、なかなかランの調子が上がりません。どこか悪いのかなと感じて、12日土曜日はお酒も飲まずに寝ちゃいました。

さて、最近読んだ本のなかから、またひとつ。

1ヶ月ほど前に『石橋湛山評論集』について書きました。その後、書棚に、いつか買っておいた岩波文庫『湛山回想』を見つけ出しました。GHQによって公職追放されたときに書かれたもので、1951年(昭和26年)に刊行されたようです。明治末から第二次大戦による敗戦直後の近代史としても読めました。総理大臣になる前に書かれているため──解説で補完されていますが──その時代の述懐がないのは少し残念です。

やはり偉い人だなあ。

石橋湛山は1884年(明治17年)に山梨県に生まれました。父親は日蓮宗僧侶です。進学した甲府中学の校長はクラークの薫陶を受けた人物で、どうやら、湛山のリベラル思想は日蓮宗とキリスト教が影響しているらしい。本人も「有髪の僧のつもり」で生きてきたと書いています。

大正デモクラシーや労働運動を鼓舞し、帝国主義を批判した『東洋経済新報』時代は言わずもがな、学生時代や一年志願兵として入営した話もなかなか面白かった。軍隊では社会主義者と見做されて相当警戒されたらしい。彼の戦争反対論には、実弾で練習したさいの経験が反映されていると書かれていました。

『石橋湛山評論集』に収められた第二次大戦中の文章は検閲を逃れるために、真っ向から戦争を否定していませんが、提案みたいな形などで軍を批判していました。昭和18〜19年に内務省警保局長だった町村金五という人によれば、《東条首相から特に東洋経済新報を好ましからぬ雑誌としてうんぬんせられ》ていたそうです。それなのに戦後、戦争に加担したとして公職追放されたのはナゾです。

石橋湛山評論集 (岩波文庫 青 168-1)

石橋湛山評論集 (岩波文庫 青 168-1)

  • 作者:石橋 湛山
  • 発売日: 1984/08/16
  • メディア: 文庫