狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

……うう……山中伸弥先生……

土曜日、カープの試合の終わりあたりを見てから、15キロ走ろうと家を出たのです。18時近いのに蒸し暑くてかないません。数キロで頭がボーッとし、胸がムカムカします。30分ほど我慢すると風が少し涼しくなったけど、それでも気分が悪いんです。ぎりぎりキロ6分ペースで12キロ走ったところで終了しました。熱中症気味だったのかもしれません。

途中、首に巻いている山中伸弥教授推薦のネックウォーマー(バフ)がつらいのだと気づきました。周囲に人がいないときは口を覆わないんですけど、首に巻きつけておくとそこに熱が籠ります。暑い日は首のうしろに水かけながら走るのに、今年は温めているんですもんね。

山中教授は学者としてはもちろん、市民ランナーとしても尊敬していますけど、例のニセマスク(やわらかい言い方をすると、エチケットマスク)の件に関しては恨んでいます。

山中氏はランナーが背後にウイルスを撒き散らす衝撃的な動画を紹介し、エチケットのためバフを巻こうと提案されました。ワイドショーなどでも取り上げられたようです。以来、ランナーはバイ菌扱いされるようになりました。走っている私とすれ違うときに(もちろん山中氏推奨のニセマスクを着け極力距離を空けています)くるっと身体ごと横を向かれたり、ぎろりと睨まれたり、鼻をつままれたり、さんざんです。

先日、人が少ない坂道を登っていたら建物から出てきてタバコを吹かす40代くらいの男性が遠目に見えたので、エセマスクで口を覆い(タバコを避ける意味でも)その男性と最大限距離をとってすれ違いました。すると、背後から「よ、そ、を、走、れ、よ」と怒鳴られましたわ。コロナの前にはそんなこと言われたことはございません。振り返ると、建物の中に消えていました。しばらく先で折り返し、もう一度同じ地点を通りがかって確認すると予備校でした。先生だか職員だか知らないけど、生徒相手に威張り散らしているんでしょう。道路でタバコ吸ってんじゃねえ。

石井好二郎さんという方が書かれたリンクの記事にもあるとおり、問題の動画は査読前のものですし、そもそもが時速14.4km(0.9mile)のシミュレーションなんです。フルマラソン2時間55分のペースでジョギングする人は滅多にいません。

私は有料会員ではないので最後までは読めませんけど、以下の部分は溜飲が下ります。

 海外では、すぐにこの研究の問題点が指摘された。重要と思われる部分を以下に要約する。

①研究は査読(審査)経て公開されるものであるのに、著者らはその過程を踏まずネット上に学術論文ではない形で公開した。

②方法や結果の記載が不十分であり、実施したコンピューターシミュレーションがどのように導き出されたかが不明である。しかし、自分たちの発見については詳述している。

③研究グループにウイルス学研究者、疫学研究者などの医学研究者を含んでおらず、著者自身が、「気体力学の研究であり、ウイルス学的、医学的、疫学的な感染リスクについての結論は導き出していない」と述べている。

 この研究に対し、疫学者のハーバード大学のウィリアム・ハナージ准教授は、「この情報はウイルスのように拡散し有害であり、私の血を沸騰させる」と怒りをあらわにしている。

 筆者は、この研究は人々に疑心暗鬼を生じさせ、不要ないさかいを生んでしまうと危惧する旨を自身のフェイスブックに4月15日に投稿しているが、同様の思いをシドニー大学のエマニュエル・スタマタキス教授も抱いており、インターネット上の学術情報サイトに以下のようなコメントを残している。

 「この研究に社会へのアドバイスや行動変容をさせる根拠はない。不確かなシミュレーションで、ライフスタイルへのアドバイスをするのは無責任だ。このアドバイスに従うと一部の都市では運動がほぼ不可能となり、人々の外出を妨げてしまうことは間違いない。また、この情報を信じる人が出てくる危険性がある。それは、他人に対し『配慮が無い!』と思ってしまうことを生み、人々の間に対立と摩擦を生じさせる」

とはいえ、この記事には、山中先生と山中氏が紹介した動画ほどの影響力はありません。ランナーが反撥をして社会の分断を生むのも本意ではありません。夏用の冷却ニセマスクを探さなきゃならないでしょうか。ひととまったくすれ違わないコースがあればいいのになあ。