狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

新型コロナウイルスの政府対応について……

前口上

走ってはいますが、忙しくもあり、ブログを書いていませんでした。

仕事の合間、国会中継も見ています。いまは衆議院予算委員会。野党の議員は論理的で鋭い質問を浴びせますが、大臣連中や官僚がはぐらかし答弁を繰り返すのです。テーマは多岐にわたります。IR汚職、辺野古基地問題、経済の諸問題、検事長の脱法的な定年延長問題、入試改革問題、領土問題、環境問題、公文書管理法の問題……。「与党もひどいが野党もひどい」とか「国会では『桜を見る会』ばかり」という人は国会中継を見たことがないにちがいありません。どこかに転がっていた定型文を口から発しているだけなのです。宮台真司さん言うところの「言葉の自動機械」でしょう。

桜を見る会に関して、安倍首相は「議論すべきことがたくさんあるのに、この問題の質問ばかりだ」とか「前夜祭で出た寿司は久兵衛だと黒岩議員にデマを飛ばされた」などと野党にイラつきます。自分が正しいなら、前夜祭の明細書や招待客の推薦者名簿をドンッと出して「不正はないだろ!」と啖呵を切ればいい。寿司が久兵衛かどうかもわかります。やはり安倍さんは不正なんてしてなかったのね、カッケーとなり、支持率も急上昇するでしょう。でもね、どうしてなのか、自分が正しいことを証明する証拠をわざわざ探さないとか調査しないと言うのです……?

新形コロナウイルスに対する政府対応

現政権の、新型コロナウイルスの対応もおかしいのです。ご承知のとおり、武漢を中心とした新しい感染症が蔓延していることを1月にはみんな知っていて、中旬にはタイにも感染者がいることが明らかになりましたが……。

以下、時系列にみていきます。

昨年4月、共産・田村智子議員が「国立感染症研究所の人員と予算が削減されている」と参議院内閣委員会で質問。加計学園の獣医学部には金を出すのに、おかしいなあ。

1月16日に、日本国内で感染者の報告あり。(武漢から帰国後、1月10日に入院し、15日に退院)

2020年の中国の春節は1月24〜30日でした。1月23日、安倍氏は中国国民に向けて「祝辞」を出しました。《春節に際して、そしてまた、オリンピック・パラリンピック等の機会を通じて、更に多くの中国の皆様が訪日されることを楽しみにしています。その際、ぜひ東京以外の場所にも足を運び、その土地ならではの日本らしさを感じていただければ幸いです。》(すでに消されている模様。→まとめサイトhttps://togetter.com/li/1462521

1月29日、立憲・杉尾秀哉議員が「対策本部をつくらないのか」と質問(もっと以前から、野党は要求していたようです)。安倍氏は「明日つくる」と答弁。

1月30日、春節の最終日に対策本部を設置。第1回の議事概要を見ると、この段階でチャーター便で帰国した人ふくめ11人の感染者がいた……しかし、閣僚はじめ政府関係者しか出席せず、専門家が1人もいません。会議もたった10分で終了。翌日の第2回は50%増しの(?)15分

2月1日、ダイヤモンド・プリンセス号が沖縄に寄港。そのさい乗客と接触したタクシー運転手が新型肺炎と判明したのが14日のことです。

2月3日、同クルーズ船が横浜に入港。キットが足りないと言って全員検査をしません。船内感染がどんどん拡がっていきます。

2月6日、政府はWHOにも働きかけ、6日から日本の感染者数に「ダイヤモンド・プリンセス号」の感染者を含めず、同船の感染者は「Other」と表記されるようにさせたそうです。WHOに1000万ドル寄付した見返りなのかしら? マスコミにも、日本国内とクルーズ船の感染者数を分けるように指示。(→リテラhttps://lite-ra.com/2020/02/post-5256.html

2月8日、立憲・阿部知子が「人獣共通感染症の最先端研究をすると謳って設置認可された加計学園は新型コロナウイルスの研究をやっているのか」と質問。これに対し、萩生田大臣は「研究はしていませんが、授業で扱っています」と答弁、私はずっこけました。(日本一の獣医学部をつくると宣言した加計学園は、バイオセーフティレベル3の実験室をつくると言って認可されたのに、そんな実験室はないことが昨年、国民民主・森ゆうこ議員の質問で明らかになっています。そのときの内閣府の説明は以下の通り。「あ、あのう……最先端の研究と、バイオセイフティレベルは必ずしもリンクしません」──このときも私は椅子からズリ落ちました)

2月13日、神奈川県内に住む80代女性が死亡。テレビ朝日「モーニングショー」で、医療ガバナンス研究所理事長・上昌広医師が「このウイルスに限らず、ウイルスのPCR検査というのは日常的に(民間で)やられています」「(政府が)やる気になればすぐできます」と発言。しかし、国が保険適用にしないらしい。金がかかるから……なんのために国民は保険料を払っているんでしょう。

2月14日、菅義偉官房長官「現時点で国内流行と判断に至る疫学的情報が集まっているわけではなく、今後早急に収集を図る」と発言。前日に公明党が要求したのをうけ、自民党がやっと専門家会議を設置。

2月16日、最新のニュースでは、ダイヤモンド・プリンセス号の乗員乗客3711人のうち計355人(本日70人増えました。乗船客の1割近くが感染とは! うち111人は無症状)の感染が確認されたとのこと。チャーター機の帰国者をふくめ、日本国内で感染が確認された人は50人以上。

──クルーズ船に関していえば、確実に「人災」ですよね。感染するまで下船できない状態でした。まだ全員の検査は終わっていません。

桜を見る会問題にすら対応できない政権が、まともに新型コロナウイルスに対応できるでしょうか。彼らは国民の人権や健康より金を重視します。インバウンドを当てにして対策を遅らせ、東京オリンピック・パラリンピックのイメージ悪化を怖れて感染拡大を過小評価します。残念ながら安倍支持者には高齢者の生活困窮や病気を「自己責任」と言う人たちがいるのです。「新型肺炎といっても死ぬのは高齢者や糖尿病患者だろ」と問題を軽視する人たちがいないことを祈ります。

余談

新型コロナウイルスを当ブログ向けの話題にするなら……。

パンデミックは狩猟採集時代にはなかったのです。小集団で暮らしていて人口密度が低かったので、起こりようがありません。農耕が始まり人口爆発が起き、都市ができてネズミなどと暮らすようになり、環境が汚染されてから、ペストなどの集団感染が発生するようになりました。

もうひとつ。市民ランナーの端くれとしては言いにくいんですが、この状況が続くなら市民ランナーが参加するマラソン大会は中止したほうがいいのではないでしょうか。

世界中から人が集まる東京マラソンはとくに心配です。今回はエリートランナーだけの大会にして、一般ランナーの部を中止にする代わりに何かしてあげられないかなあ、と感じます。中止にしたらインバウンドが失われるし、なにより東京オリンピック・パラリンピックのイメージが落ちるから、おそらく強行するでしょうけど、それが正しい選択なのか……。