狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

30年前の消費税10%論?

消費税が10%に上がりました。「8%から2%上がった」と言われますけど、正確には25%のアップです。軽減税率があると喧伝していますが、単に税率を据え置いた品目があるということだし、かえってわかりづらい。老後に備えて貯金しろ発言(撤回)もあり、今後、消費が伸びる要素はありません。景気がどんどん悪くなりますよ。

1988年だったかな。消費税導入が議論となり、各地でデモが起きました。経済音痴の私でも逆進性が高い税制ですから警戒しました。一方、テレビに映るデモ参加者(多くは女性)が口々に言う反対理由に違和感も抱いたのです。「消費税が3%になると財布に1円玉が増える」「お菓子を買いに行く子どもに1円玉を持たせるのか」って。……皮膚感覚だか主婦感覚だか知りませんけど、財布に1円玉が増えるから消費税反対なんて税制議論の本質と遠すぎる。理性の破滅と感じたのです。

翌年、4月に消費税が導入されました。消費税率は3%です。

その夏、大学4年になった私は就職活動しました。

某社の集団面接(面接官3人と学生5人)では、矢継ぎ早にくだらない質問をされます。ほかの学生はマジメに応じますが、内容よりも咄嗟の反応を見ているのだと感じた私は、わざと他の学生と逆の発言をしたり冗談を繰り出しました。

たとえば、「松田聖子と中森明菜はどちらが好きか、理由とともに答えてください」と質問されます。中森明菜が自殺未遂をした直後で同情を集めていたときでしたから、みんなが中森明菜が好きだと言いました。私は松田聖子だと答え、なにか理由をくっつけました。

「嫌いな女性のタイプは?」という質問には、「一度使ったサランラップを洗ってもう一度使う女です」と答えます。すると、面接官のおじさんがヒャヒャヒャと笑い、椅子からズリ落ちそうになりました。

「消費税には賛成か反対か。はい、今度はそちらから」と私と反対側の学生が指名されました。順々に答える学生4人は「1円玉が増えるから反対です」と判を捺したように答えるのです。これはどうしたわけでしょう? 例の、理性の破滅論理ではありませんか。私は少しムッとして「賛成です。1円玉がイヤなら、消費税は10パーセントにすればいい」と言いました。また、さっきのおじさんがまた腹をよじって笑いました。(あとで知ったのですが、その人は人事部長でした)

帰宅途中の電車内で、消費税が10パーセントでも1円はなくならないことに気づきました。これはしまった。面接に落ちたかな、と不安になりました。(結局、その会社に12年間お世話になりました)。

あれから30年……ほんとに消費税10%になりました。でも、当時みたいに与党に逆風が吹きません。もしかして……キャッシュレス化が進んで1円玉は溜まらないからでしょうか? 昭和の終わり、みんなが1円玉がイヤだと言ったのは本気だったのかもしれません。