狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

小池祐貴選手、9秒98。

ロンドンでのダイヤモンドリーグ陸上で、小池祐貴選手が9秒98(+0.5m)とのこと。おめでとうございます。あまりニュースになってないようですが……。

今シーズン、次に9秒台で走るとしたら小池選手だと私は言ったでしょ。ほほほ(あれ、書いたのは別のところかな)。海外レースでの達成は大きい。ただ、このタイムで4位ですよ。

ちなみに、200mは20秒24(+0.9m)で4位。2位までが19秒台で、優勝した謝震業選手はアジア記録の19秒88でした。

日本人同士のレースが9秒台で決まる時代が来たのは確かですが、これを「1人が切れば、『10秒の壁』の精神的な足枷が取れ、どんどん9秒台を出す」と説明する人がいます。ほんとですかね。

その説明のもとになっているのは、絶対に越えられないとされた「マイル(1600m)4分の壁」を1954年にロジャー・バニスターが破った途端、数十人が次々と壁を破った事実を基にしています。でも、当時の陸上選手は、スパイク、トラック、練習方法などが発展途上にあり、しかも選手は完全なアマチュアでした。現代の100mとは同一視できません。

フランスのルメートルがコーカソイドとして初めて10秒を切ったのは2010年。以後、10秒を切った白人はわずか4人(多分)かな。

モンゴロイドとして10秒を初めて切ったのは2015年の蘇炳添選手。中国人選手としては2018年に謝震業選手が達成しました。日本人は、2017年に桐生祥秀、今年サニブラウン・ハキームと小池が立て続けに9秒台をマークしました。

これは、10秒を切ったコーカソイドやモンゴロイドや日本人の最初の選手のおかげで精神的障壁がなくなり次々に9秒台で走った……といえる人数でしょうか。

すべて「10秒の壁」精神論で片づけたら、当人の努力やコーチなどのサポート、スポーツバイオメカニクスなどの研究に対して失礼な気がするんです。

パーフェクトマイル―1マイル4分の壁に挑んだアスリート

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