狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

テレビでは伝わりにくい市民マラソンの魅力

 今年も東京マラソンについて、レースの翌朝、ワイドショーでやっていたのでしょうか。私はほとんどテレビを見ないのでわかりませんが、うちでとっている東京新聞にも市民ランナーが何人も採り上げられていました。

 テレビなどに登場するのは、たいてい難病をのりこえた方、震災地から復興を祈って参加する方、フィニッシュ後プロポーズするカップル……。芸能人親子が一緒に走って絆を深める、なんて演出もあります。
 思うに、世間では「マラソン = つらいもの」という印象があり、なにかの苦難を乗り越えてフルマラソンを走る人は、より高いハードルを乗り越えることになり、視聴者や読者の感動がいや増すのでありましょう。

 トップランナーが走るマラソンでさえ、地味だから嫌いだという人は多いのです。まして取材相手は市民ランナー。テレビには誰にでも一見してわかるドラマを求めます。
 以前、ある女性から「マラソン走ったら、ゴールで泣くんですか」と質問されました。おそらく彼女がテレビで見た市民ランナーは、みんな感激して泣いていたにちがいない。「みんなニコニコ笑ってビール飲んでますよ」と言うと驚かれました。
 私はもちろん、美談のノンフィクションを否定するつもりはありません。登場したランナーの努力には素直に敬意を払います。しかし、テレビに採り上げられるほどの物語をもつ人は、せいぜい東京マラソンを走るなかの0.1パーセント以下じゃないでしょうか。私は99.9パーセントのランナーにも敬意を表するのです(練習しないで参加し、膝が痛いと泣きながら関門に引っかかるような人にだけは感情移入しにくいんですが……)。

 ハンデを背負っているわけではない大半のランナーだって、ただ右足と左足を交互に動かして、無感動にフルマラソンを走破するわけではありません。
 1年間努力を重ねて東京マラソンに参加し、苦しいところを踏ん張って目標を達成してジーンと感動したり、失敗して落胆するような個人のドラマ・マラソンの魅力は、ひとさまには伝わりにくく、体験してみるまでわからないのでしょう。

 第10回東京マラソンは、出走36,150人、完走34,694人で、完走率は95.97%だったとのこと。みなさんお疲れさまでした。