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『「3時間切り請負人」が教える!……』に既視感!?

「3時間切り請負人」が教える!  マラソン<目標タイム必達>の極意 (SB新書)

「3時間切り請負人」が教える! マラソン<目標タイム必達>の極意 (SB新書)

 

 東京マラソンの当選発表前後にマラソンの教則本がたくさん刊行されます。
 とりわけその時期をターゲットに毎年刊行するのはソフトバンク新書です。岩本能史、吉岡利貢、猫ひろし、田中猛雄、中野ジェームズ修一、鈴木清和、砂田貴裕、松本翔に続き、今年は白方健一、福澤潔のおふたりが本を出されました(すべて敬称略です、すみません)。
 ソフトバンク新書のラインナップを見ると、目標タイムが同じでも練習メニューはまちまちです。相反する考え方もあったりしますが、タイム短縮のためにはいろんなアプローチがあるということかな。玉石混淆とまでは言いませんが、内容の濃いのと薄いのがあるので、書店で確認してからお買い求めください。
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 今月の新刊・福澤潔著『「3時間切り請負人」が教える!マラソン〈目標タイム必達〉の極意』(タイトル長い!)はなかなか面白かった。著者はサブスリーのサポートをしてきた方。ミズノランニングクラブの監督だそうです。
 ロング走もインターバルも不要。イヤな練習、辛い練習はするな、という宣伝文句を見ると、まるで《練習しなくても速くなる!》といった内容に見えます。テレビの通販番組みたい。しかし予想とは違いました。

 マラソンは42.195kmという長距離を走るスポーツですが、基本的にはスピードも持久力も10kmまでの積み重ねでしか育たないというのが私の持論です。(p.34)

 一般的にマラソン練習は、スピードと持久力を養成し、ふたつを統合していくというのがスタンダードな考え方です。スピード養成期、持久力養成期など、計画的に期分けしたうえで、インターバル、ウインドスプリント、ペース走、ファルトレク、坂ダッシュ、ロング走、レストなどを織り交ぜます。
 しかし著者は、短い距離を毎日走ることにより、スピードと持久力を積み上げると主張するのです。具体的には、ふだんの練習は10km程度を「ゆっくり走る」「気持ち良いペースで走る」のが基本で、週1〜2回「キロ6からビルドアップして結果的にレースペースまで上げる」ことで走力が上がると言います。

 私の練習法の基本は10km(60分)までのジョッグと週1、2回のビルドアップ走での基礎的な能力の確認です。(p.36)

 へえ、驚いた。
 経験論とはいえ、福澤氏は市民ランナーを実際にサポートしてきたわけですから、傾聴すべき点はあると思います。(本書では、福士加代子選手が初マラソンのときに40km走を繰り返したため失敗したとありますが、当時、福士選手は40km走をしなかったと報道されました。その後はロング走をやっているようですけど……私の勘違い?)
 ただしこの本、ラクして速くなるなんて単純な話ではなさそうです。サブ4レベルで月間距離100〜150km、サブ3.5で150〜250km、サブ3で250〜400kmと書かれています。私の実感としては50km少ないんですけど、それは元来私が持久走に向いてないからかもしれません。
 田中宏暁『賢く走るフルマラソン』も、LT走以下の練習で充分であり、スピード練習はとくに必要ないと書かれていました。「3時間切り請負人」の福澤氏は、LSDやカーボローディングを否定しているので、正確には田中先生とは違うんですけど。
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 そういえば、以前「練習はジョグのみ」と主張していた奴がいたっけ。あれは誰だったかなあ、と数秒考えました
…………あっ、私でした!
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 私はつらいのはイヤなので、とにかく「ジョグだけでタイムが伸びるか人体実験してみよう」と、ひたすらキロ5分半〜6分のランを繰り返したのです。『賢く走るフルマラソン』の影響もありました。たまに変化走やビルドアップ走をしたのも、ジョグとしてスタートしたあと、「調子がいいからやるか」という感じだったのです。
 福澤氏の方法と違うのは、毎週末に30kmをやったことです。LSDのことも多かった。個人的にはロング走は時間がかかるだけで大変じゃないんです。フル終盤の落ち込みが少なくなったから、効果はあったんじゃないかと思っています。
 レース1ヶ月前にはロングペース走もしました。練習というよりスピード持久力の確認という意味合いです。「サブフォー、サブ3.5を達成した非常に個人的な練習」に書いた通り、ジョグ中心でも月に200km走るとサブ4が、300km走ったらサブ3.5が、400km走ったら3時間10分が切れました。自然にタイムが伸びた気がしています。
 しかし、3時間15分あたりで停滞してしまったため、昨年からインターバルやペース走を週1〜2回繰り返すようになったのです。しかしスピードがついたという実感もなく、秋口から走る気自体が失せていたという次第。
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 この本には賛否両論あると思います。Amazonのレヴューが楽しみです。

 私は全面的に信頼するわけではありませんが、これを機に自分の原点に戻り、しばらくジョグをメインに据えようと思います。週末のロング走は月2〜3回くらいはやりますし、ペース走を週1で入れます。
 もしかすると、私の場合は月間500kmのジョグが突破口になるかもしれませんけど、レストのことを考えると、1日に20kmが必要です。年に一回くらいはやれますが、いまは時間が確保できません。